奥脇竜哉選手が証明した日本ムエタイの実力 無敗タイ人選手を衝撃KO勝利でONE3連勝で存在感をさらに高める

2026.6.26

【©️ONE Championship 】

日本のムエタイ界が、再び世界へ向けて大きなインパクトを放った。

「ONE Friday Fights-160-」で奥脇竜哉選手(エイワスポーツジム)が、ONEデビューから5戦全勝(4KO)という勢いを誇っていたハー・NF・ルークスアン選手(タイ)を2ラウンドKOで撃破。35万バーツのパフォーマンスボーナスも獲得し、ONEでの連勝を「3」に伸ばした。


現在のONE Friday Fightsは、世界最大級の格闘技団体ONE Championshipが、ムエタイの本場タイを舞台に世界へ発信する登竜門的シリーズとして高い注目を集めている。そこで無敗を続けてきたタイ人選手をKOで沈めた意味は極めて大きい。タイ人選手が圧倒的な強さを誇ってきたムエタイの本場で、日本人選手が主導権を握って勝ち切ること自体が、高い評価につながるからだ。

奥脇選手は、日本人として8人目となるラジャダムナンスタジアム認定王者。2024年にはWBCムエタイ世界王座を獲得し、その後も元ラジャダムナン王者のウェウワーオ選手を圧倒。2026年にはデッピチャイ選手との激闘を制して王座防衛にも成功するなど、世界最高峰の舞台で着実に実績を積み重ねてきた。

一方で、日本国内ではその実力に比べて知名度が決して高いとは言えない。これはムエタイという競技が、ボクシングや総合格闘技ほど一般市場に浸透していない現状とも無関係ではない。

しかし、世界の評価軸は異なる。

ラジャダムナンやONEで結果を残せる選手は、競技関係者から極めて高い評価を受ける。奥脇選手は、日本では「知る人ぞ知る存在」でありながら、

世界のムエタイ界では着実に評価を高めているトップファイターの一人なのである。

試合内容も完成度の高さが際立った。

第1ラウンドはサウスポーのハー選手が左ミドルと左ローでリズムを作ろうとしたが、奥脇選手は慌てることなく距離を調整。スウェーで左ストレートをかわしながら右ボディストレートを的確に積み重ね、相手の攻撃を冷静に分析するように試合を組み立てていく。

そして第2ラウンド、その積み重ねが一気に実を結ぶ。

セコンドの指示通り右の三日月蹴りでボディをえぐると、動きが止まったハー選手へ左右のボディを連続で打ち込みダウンを奪取。無敗を誇っていたハー選手は立ち上がることができず、レフェリーが試合を止めた。

派手な一撃ではなく、ボディへの継続的なダメージの蓄積によって相手を崩壊させる。

ムエタイの技術と戦術、そして試合運びの巧みさが凝縮されたKO劇だった。

試合後、奥脇選手は「1R目は左ミドルで苦戦しましたが、インターバルで『左ミドルをカットしろ』『三日月でボディを狙え』というセコンドの指示が勝因でした」と冷静に勝因を分析した。

さらに35万バーツのボーナスを受け取ると、「お金、大事に使います」と笑顔。

世界最高峰の舞台で結果を残してもなお、飾らず自然体で振る舞う姿勢は、

競技者としての実直さを物語っていた。


【文:高須基一朗】