ONEイマンガザリエフ選手が悲願の世界王座戴冠 無敗対決を制す オルチコフ選手との頂上決戦は歴史に残る名勝負

2026.6.26

【©️ONE Championship 】

6月26日(日本時間)、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Friday Fights 160』のフライ級ムエタイ世界王座決定戦で、アサドゥーラ・イマンガザリエフ選手(ロシア)がアスラムジョン・オルチコフ選手(ウズベキスタン)に判定2-1で競り勝ち、悲願だったONEフライ級ムエタイ世界王座を獲得した。


イマンガザリエフ選手はキャリア12戦無敗、ONEでは8戦全勝7KOという圧倒的な実績を誇る一方、オルチコフ選手もONE10戦全勝を含むキャリア24戦無敗という驚異的な戦績を引っ提げてリングへ上がった。世界屈指の無敗同士による頂上決戦は、戦前の期待を裏切らないハイレベルな攻防となった。

 

第1ラウンドは、一撃で流れを変えられる破壊力を持つ両者が慎重な立ち上がりを見せる。オルチコフ選手が巧みにスイッチを繰り返しながらリズムを探る一方、イマンガザリエフ選手は執拗なカーフキックで下半身を削り、着実に試合を組み立てた。

第2ラウンドに入ると距離が縮まり、試合は一気に緊迫感を増す。前へ圧力をかけるオルチコフ選手に対し、イマンガザリエフ選手は冷静なカウンターで迎え撃つ。さらに左ハイキックや多彩な蹴り技を織り交ぜ、試合の主導権を掌握。積み重ねたカーフキックはオルチコフ選手の左足にも確実にダメージを与えていった。

しかし、オルチコフ選手も世界トップクラスの実力者の名に恥じない粘りを見せる。第3ラウンド終盤には、かかと落としを連続で繰り出すと、鋭いバックハンドブローをクリーンヒット。イマンガザリエフ選手の鼻が大きく変形するほどの強烈な一撃を浴びせ、勝敗の行方は再び分からなくなった。

第4ラウンドは長身を生かしたイマンガザリエフ選手が中間距離を支配する場面が目立ったが、オルチコフ選手も強引に懐へ飛び込み、大振りのパンチを何度も打ち込んで応戦。

最終第5ラウンドでも、イマンガザリエフ選手がローキックや三日月蹴りでリズムを作れば、オルチコフ選手はオーバーハンドで応戦するなど、最後のゴングまで互いに一歩も引かない壮絶な打撃戦が続いた。

 

判定は2-1。

ジャッジの評価が割れるほどの僅差決着だった。それは優劣が明確だったというより、両者が世界最高峰の技術と精神力をぶつけ合った結果と言える。勝敗を分けたのは紙一重。イマンガザリエフ選手が積み重ねた蹴りによるポイントメイクと試合運びがわずかに上回ったものの、オルチコフ選手も王者に匹敵する実力を証明した。

イマンガザリエフ選手にとっては、3月に計量失敗で王座獲得を逃した苦い経験を乗り越え、ようやく手にした悲願のベルト。一方で敗れたオルチコフ選手も、その評価を落とす内容では決してなかった。無敗同士による世界最高峰の攻防は、ONEムエタイのレベルの高さを改めて世界へ示した一戦となり、新王者誕生とともに、長く語り継がれる名勝負だった。


【文:高須基一朗】