井上拓真選手「今はほっとしている」 那須川天心選手との再戦を3―0判定で制す 2度目の防衛成功 次はスーパーバンタム級も選択肢

2026.9.28

WBC世界バンタム級王者の井上拓真選手(大橋)が、

那須川天心選手(帝拳)との再戦から一夜明けた9月28日、横浜市内で会見を行った。

前日の27日、トヨタアリーナ東京で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチで、井上選手は同級1位の那須川選手を3―0の判定で破り、2度目の防衛に成功。

7回にダウンを喫する場面がありながらも、試合終盤に立て直し、再び勝利を手にした。

一夜明けた井上選手は「プレッシャーも大きかったので、今はほっとしている」と率直な心境を明かした。


 

▪️7回にダウン、それでも試合の主導権を取り戻す

今回の再戦は、昨年11月の王座決定戦以来、約10カ月ぶりの再戦だった。

初戦では井上選手が判定3―0で那須川選手を破り、空位だったWBC世界バンタム級王座を獲得。今回はその王座を再び懸けた2度目の対戦となった。

試合は序盤から井上選手がスピードと距離感を生かして先行。

4回終了時点の公開採点でも、2人のジャッジが井上選手を支持し、1人がイーブンとしていた。

流れが大きく変わったのは7回だった。

井上選手が攻防の中で笑みを見せた直後、那須川選手の左ストレートを受けてダウン。挑戦者が一気に攻勢を強める場面となった。

それでも井上選手は8回から立て直す。

右を中心に反撃して再び距離を支配すると、

その後は那須川選手に主導権を渡さず、12回フルラウンドまで戦い抜いた。

最終的な判定は114―113、116―111、116―111の3―0。

7回の一度のダウンを乗り越え、井上選手が世界王座を守った。

 

▪️「天心選手は強い」再戦で感じた成長

試合後、井上選手は那須川選手について

「天心選手、やっぱり強いです」と評価している。

前回対戦から約10カ月。

那須川選手はボクシング転向後の経験を重ね、

今回は7回に左ストレートで井上選手からダウンを奪った。

井上選手自身も、那須川選手の成長を実感したことを明かしており、

それだけに今回の勝利には結果以上の意味がある。

一夜明け会見では、那須川選手の知名度にも触れながら、

「それでも自分を応援してくれるファンの声援のおかげで頑張れた」と感謝を述べた。

 

▪️「まだまだベルト増やす」視線は次の階級へ

今後の進路にも注目が集まる。

所属ジムの大橋秀行会長は、井上拓真選手について

「スーパーバンタム級に上げるのも一つの選択肢」と説明。

バンタム級での防衛を続けるだけでなく、階級を上げる可能性にも言及した。

さらに、今回の防衛戦が指名試合だったことから、

次戦についても指名試合になる可能性があるという。

井上拓真選手は、階級や相手を限定することなく、

「どちらでもいい。誰とやりたいとか、やりたくない、というのはない」と柔軟な姿勢を示している。

27日の試合後の会見では「まだまだベルト増やす」と語っており、バンタム級でのさらなる統一を目指すのか、それともスーパーバンタム級へ進むのか。今後の選択が注目される。

 

▪️兄・井上尚弥選手と「兄弟で統一王者という壮大な野望

井上選手には、もう一つ大きな目標がある。

兄の井上尚弥選手は現在、スーパーバンタム級の4団体統一王者。

拓真選手は27日の試合後、

「兄の背中を追いかけて突っ走っていきたい」と語り、兄弟で統一王者になる目標を掲げた。

30歳の王者にとって、選手のキャリアと向き合いながら「守る」だけではなく、

どの階級で、どのベルトを狙うのかという次の選択が始まる。


【文:高須基一朗 瞬刊モッツ編集部】