井上拓真選手と那須川天心選手の再戦「WBC記念リング」勝者の名前刻む特別仕様 初戦から10カ月 2人が再び世界王座を懸けて激突
プロボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチ、王者・井上拓真選手(30)=大橋=と同級1位・那須川天心選手(28)=帝拳=の再戦を前に、WBCが特別な記念リングを用意した。
9月27日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOで行われる12回戦の勝者には、メキシコの高級ジュエリーブランド「マエストロス・ジョイエロス」が製作したWBC記念リングが贈られる。
WBCのマウリシオ・スライマン会長は今回のリングについて、ボクシングのライバル関係を歴史に刻む力と、世界戦、2人の日本人ボクサー、そしてジュエリーの芸術性が融合したものだと説明。「日本には深く情熱的なボクシング文化が存在し、WBCがこのような特別な瞬間に立ち会えることは光栄です」とコメントした。
▪️初戦から約10カ月 今度は「王者」と「挑戦者」の立場で
今回の再戦は、昨年11月24日に行われた初対決の続編となる。
当時は空位だったWBC世界バンタム級王座を懸けて対戦し、井上選手が12回判定で勝利。那須川選手にプロボクシングで初めての黒星をつけ、自らは2度目の世界王座に就いた。
初戦ではWBCがオープンスコアリングを採用。各ラウンド終了後の採点が両陣営に伝えられる方式で、終盤に向けた両者の戦略にも注目が集まった。
今回、立場は変わる。
井上選手は王者としてベルトを守る側。一方の那須川選手は、世界王座を奪うために再び挑戦する側となった。
しかも、両者は初戦後、それぞれ別の強敵を突破して再戦の舞台に戻ってきた。
▪️井上拓真選手は井岡一翔選手から2度ダウンを奪って防衛
井上選手が今年 は大きな試練がすでに一つ乗り越えている。
それが兄 井上尚弥選手が中谷潤人選手が戦った同日に行われた
5月2日の東京ドームだった。
挑戦者は元世界4階級制覇王者の井岡一翔選手。
世界戦の経験を豊富に持つ井岡選手を相手に、井上選手は2回と3回にダウンを奪い、3-0の大差判定で勝利。
118-108、119-107、120-106という採点でWBC王座の初防衛を果たした。
この試合は、今回の再戦を考えるうえでも重要な結果の一つだ。
最初の対決で那須川選手に勝って王座を獲得した井上選手が、
その後の世界戦で元4階級制覇王者から2度のダウンを奪って勝利。
王者としてのキャリアを積み上げた状態で、再び那須川選手と向き合うことになる。
▪️那須川天心選手はエストラーダ選手を9回TKO 再挑戦への道を切り開く
一方、那須川選手は初黒星からわずか約4カ月半後の4月11日、
両国国技館で再起戦に臨んだ。
相手は元世界2階級制覇王者、フアン・フランシスコ・エストラーダ選手。
WBC世界バンタム級の挑戦者決定戦という大舞台で、那須川選手は9回TKO勝ち。初戦の敗戦から立ち上がり、再び世界王座へ挑戦する道を切り開いた。
WBCによると、那須川選手はこの勝利によって世界タイトルへの挑戦権を獲得。初戦で敗れた相手との再戦を、自らの勝利によって引き寄せた形になった。
つまり今回の再戦は、単純な「初戦の再戦」ではない。
井上選手は世界王者として最強の挑戦者を相手に東京ドームで防衛戦を経験し、
那須川選手は強豪エストラーダ選手との一戦を経て、再び同じ相手の前に立つ。
約10カ月の間に、両者それぞれ大きな経験を積んで道のりが加わった。
▪️WBCが注目する「日本のボクシング文化」
WBCは今回の再戦について、単なるタイトルマッチとしてだけではなく、日本のボクシング文化を象徴する一戦としても紹介している。
井上選手は世界王者としてバンタム級を支える存在。一方の那須川選手は、キックボクシングで築いたキャリアを経てプロボクシングへ転向し、世界王座に挑み続けている。
異なるキャリアを歩んできた2人が、同じWBC世界バンタム級王座を巡って再び対峙する。
WBC公式プレビューでは、今回の再戦を日本のボクシング界にとって大きな注目を集める一戦として紹介。両者がそれぞれ強敵を乗り越えて再び王座を懸けることにも触れている。
▪️「記念品」ではなく、2人の再戦そのものを残すリング
今回製作されたリングは、単なる勝者へのトロフィーという位置づけだけではない。
WBCの発表によれば、2つのリングはそれぞれ今回の対戦を象徴するコレクターズアイテムとして考案された。
井上選手が勝てば「INOUE」「TAKUMA」。
那須川選手が勝てば「NASUKAWA」「TENSHIN」。
4パターンが発表されている。
試合結果が、豪華リングに名前が刻まれることになる。
製作したマエストロス・ジョイエロスは、メキシコのジュエリーの伝統を受け継ぎながら、現代的な技術も取り入れているブランド。
WBCの発表では、同ブランドが1993年から続くジュエリーの系譜を持ち、2019年には4代目の世代へと発展したことも紹介されている。
世界タイトルと日本人2人の名前、そしてジュエリーという異なる要素を一つのリングにまとめた今回の企画は、世界戦の「記録」を形として残す試みともいえる。
▪️Prime Videoも再戦までの10カ月を追う
今回の一戦は、試合そのものだけでなく、両選手が再戦までどのような時間を過ごしたのかにも注目が集まっている。
Prime Videoでは「独占密着 9.27 PRIME VIDEO BOXING 16」として、両者を追ったドキュメンタリーを展開。
8月5日配信のエピソード1では7月23日の記者発表や試合決定後の両選手に密着。9月1日配信のエピソード2では、武尊選手、武居由樹選手、平本蓮選手ら、那須川選手と縁の深い人物の言葉を通じて、そのキャリアにも迫っている。
さらに最新の紹介では、井上選手については井岡選手からダウンを奪った防衛戦、那須川選手についてはエストラーダ選手との勝利を経た再挑戦という、それぞれの10カ月の変化にも焦点が当てられている。
今回の再戦は日本国内だけの話題ではない。
WBCは公式サイトで英語・スペイン語でも試合を大きく取り上げ、海外のボクシングメディアも9月27日の再戦を世界戦として報じている。
米国向けにはDAZNでの配信が予定され、WBCの公式プレビューでは日本ではAmazon Prime、米国ではDAZN、中南米ではESPN Knockoutでの放送・配信予定が案内されている。
日本のボクシングファンにとって大きな一戦であるだけでなく、世界王座を巡る日本人同士の再戦として海外からも視線が集まるカードとなっている。


