ハンドルもペダルも無い! テスラ「サイバーキャブ」日本初公開 米国では無人運行開始、日本導入はまだ未定
米電気自動車大手テスラが9月11日、
無人タクシー専用車両「Cybercab(サイバーキャブ)」を日本で初めて公開した。
最大の特徴は、一般的な自動車にあるハンドルやアクセル、ブレーキのペダルを備えていないことだ。
人間が運転するクルマを自動運転化するのではなく、最初から「人が運転しない」ことを前提に設計された2人乗りの車両。テスラが描くロボタクシーの姿が、日本の街に初めて実車として姿を現した。
一方で、日本国内で実際に乗客を乗せて運行する時期については、現時点で決まっていない。
▪️「運転するクルマ」から「乗るためのクルマ」へ
サイバーキャブは、運転席そのものを必要としない設計が大きな特徴だ。
車内にはハンドルもペダルもなく、2人掛けのシートを配置。移動中は乗客が運転操作をする必要がないため、テスラは車内体験そのものを重視した設計としている。
センターには20.5インチの大型タッチスクリーンを搭載。テスラによれば、同社の車両として最大サイズとなるディスプレーで、走行中に動画配信サービスなどを楽しめる仕様となっている。
ドアは左右とも上方へ開くバタフライドアを採用。今回公開された車両は金色のボディーで、従来のタクシーとは大きく異なる未来的なデザインとなっている。
テスラはサイバーキャブを「Robotaxi(ロボタクシー)」向けの専用車両として開発している。Tesla Japanも、人間が運転することを前提とせず、無人タクシー用にゼロから設計した車両と説明している。
▪️8台のカメラとAIで周囲を認識
車両の周囲を確認するのは、人間のドライバーではなくカメラとAIだ。
今回公開された車両には8台のカメラが搭載され、周囲の状況を認識しながら走行する設計となっている。
つまりサイバーキャブでは、「ドライバーがいない」ということだけでなく、従来の自動車に当然のように存在した運転操作そのものを車両から取り払っている。
自動運転技術が進めば、クルマは「所有して自分で運転するもの」から「必要な時に呼び、目的地まで運んでもらうもの」へ変わる可能性がある。
サイバーキャブは、その変化を象徴する車両ともいえる。
米国ではすでにロボタクシーとして動き始めた
日本ではまだ展示段階だが、米国では状況が異なる。
テスラは9月、米テキサス州オースティンの一部地域で、サイバーキャブによる配車サービスを開始した。ロイターも、ハンドルとペダルを持たない2人乗りのCybercabがオースティンの限定地域で乗車サービスを始めたと報じている。
一方、米国では運行開始直後から安全性や規制面にも注目が集まっている。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、ハンドルやペダルなどを持たないサイバーキャブについて、連邦安全基準への適合状況を確認する動きを見せている。
つまり、サイバーキャブは単なる新型車の発売ではない。
「人間が操作することを前提としない自動車を、一般の交通社会でどこまで実用化できるのか」という、クルマそのものの定義に関わる挑戦になっている。
日本では4会場を巡回
今回の日本初公開は、テスラが9月に実施する「Cybercab Japan Tour」の一環だ。
東京・青山を皮切りに、大阪、名古屋、東京・新宿の4会場を巡回する。
東京青山では9月11日から14日まで「OMAKASE青山ガーデン byGMO」で展示。続いて9月17日から20日まで大阪、9月22日から23日まで名古屋、9月26日から28日まで東京・新宿で公開される予定となっている。
今回のツアーは、あくまで実車を一般に披露するためのものだ。
日本国内でサイバーキャブがタクシーとしていつ運行を始めるのか、どの地域でサービスを展開するのか、料金がいくらになるのかといった具体的な計画は、現時点では明らかになっていない。
▪️日本のタクシー業界にも影響する可能性
日本でサイバーキャブが実際に走ることになれば、影響は自動車業界だけにとどまらない。
タクシーはドライバー不足という構造的な課題を抱えているだけに、無人運転が実用化されれば、移動サービスの供給方法そのものが変わる可能性がある。
ただし、日本では自動運転車を公道で運行するための安全基準や道路交通法上の制度、事業としての許認可など、技術以外にも乗り越える必要がある課題は多い。
今回、日本で実車が公開されたことは、直ちに国内でのサービス開始を意味するものではない。
むしろ重要なのは、テスラが日本市場に対してサイバーキャブという「完成形に近い無人タクシー専用車」を持ち込んだことだ。
これまで日本で語られてきた自動運転は、
既存車両をベースにした実証実験という側面が強かった。
それに対してサイバーキャブは、ハンドルもペダルもない。
「自動運転車」ではなく、「最初から人間が運転しないクルマ」。
その発想が日本の都市交通にどこまで受け入れられるのか。
今回の日本初公開は、その未来を考えるうえで大きな一歩になりそうだ。

