超RIZIN.5 速報テキスト 第6試合 平本蓮がダウトベックとの激闘を判定で制す MMA5勝目「大晦日帰ってくる」
「ANGEL CHAMPAGNE presents 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り」が9月10日、大阪・京セラドーム大阪で開催され、第6試合のフェザー級(66.0kg)で平本蓮選手(剛毅會)がカルシャガ・ダウトベック選手(カザフスタン)を2-1の判定で下した。
判定は29-28、29-28、27-29。平本選手にとっては、2024年7月の朝倉未来戦以来となる774日ぶりのMMA復帰戦だった。
強豪ダウトベック選手を相手に、1Rはテイクダウンを許したうえ、強烈な左ストレートを何度も受ける苦しい展開。それでも倒れず、2R、3Rと打撃で反撃しながら組みの攻防にも耐え続けた。
試合終了時にはダウトベック選手が勝利を確信したようにガッツポーズを見せた一方、平本選手は判定を待つ間に涙を浮かべる場面もあった。
そしてジャッジが示したのは、平本選手の勝利だった。
▪️1Rにダウトベックの左パンチとテイクダウンに苦しむ
立ち上がりから、両者の距離は近かった。
ともにサウスポーの構えからスタートすると、平本選手がプレッシャーをかける。そこへダウトベック選手がダブルレッグで飛び込み、早々にテイクダウンを奪った。
平本選手は下から上体を起こして立ち上がろうとするが、ダウトベック選手は両足を抱えてリング中央へ戻すなど、簡単にはスタンドへ戻させない。
平本選手がようやく立ち上がると、今度は激しい打撃戦へ移行した。
ここでダウトベック選手の左ストレートが何度も平本選手の顔面を捉える。
平本選手が大きくバランスを崩す場面もあり、1Rはダウトベック選手が明確に試合の主導権を握った。さらにラウンド終盤にもテイクダウンを許し、平本選手にとっては厳しい立ち上がりとなった。
それでも、平本選手は倒れなかった。
強烈なパンチを受けながらも前へ出続け、パンチを返す。
この「倒れない」という強さが、後半の反撃につながっていく。
▪️中盤に平本が左から右にスタンスを変えてカーフキックを軸に打撃で反撃
2Rに入ると、平本選手の戦い方に変化が見えた。
左構えから右構えへスイッチし、右ストレートを軸に攻撃を組み立てる。
さらに右カーフキックをヒットさせ、ダウトベック選手の前足を削っていく。
ダウトベック選手は組み付いてテイクダウンを狙うものの、平本選手も1Rより対応できるようになり、スタンドへ戻す場面が増えた。
一方で、ダウトベック選手はパンチから組みへつなげることで、平本選手に打撃戦だけを続けさせない。
このラウンドでは、平本選手がスタンドで有効打を返しながら、ダウトベック選手の組みを受け止める展開となった。
平本選手にとって大きかったのは、1Rに受けたダメージを引きずらなかったことだ。
強打を受けた直後から戦い方を修正し、スタンスを変え、蹴りを交ぜながら試合のリズムを変えていった。
▪️終盤戦は組みで休むダウトベックと打撃を貫く平本の交錯する死闘
勝負の3R。
ダウトベック選手は再びパンチから組みへとつなぎ、テイクダウンを狙う。
平本選手もカウンターを合わせ、右の三日月蹴りやボディへの攻撃を織り交ぜて応戦した。
それでもダウトベック選手は組みを諦めない。
ロープ際でテイクダウンを仕掛け、平本選手を倒してからは立ち上がらせない展開を作った。
レフェリーによるブレイク後も、ダウトベック選手は再び組み付き、終盤までグラウンドの攻防を選択。
平本選手は倒されても立ち上がろうとし、最後まで打撃を当てる姿勢を失わなかった。
そして3R終了。
両者ともに勝利を確信できるほど、評価の分かれる試合となった。
ジャッジの採点は、
ダウトベック選手は試合終了直後、勝利を確信したようにガッツポーズ。
一方の平本選手は判定を聞いた瞬間、驚いたような表情を見せた。
それほどまでに競った試合だった。
実際、海外のMMA専門メディア「MMA Fighting」も、平本選手の勝利をスプリット判定による接戦として報じている。
判定そのものについては試合後、さまざまな見方が出た。
ただ、3Rを通じて両者の攻防が拮抗していたことは間違いない。
平本選手が打撃でどれだけダメージを与えたか。
ダウトベック選手がどれだけテイクダウンとグラウンドコントロールで試合を支配したか。
その評価の比重によって、採点が分かれる内容だった。
▪️平本蓮「強靱なアゴに産んでくれた親に感謝」
試合後、平本選手は笑顔を見せながら、死闘を振り返った。
「強靱なアゴに産んでくれた親に感謝です。死闘を想像していたので」
1Rにダウトベック選手のパンチを受けながらも倒れなかったことについて、平本選手は相手のパンチを想像していたものとは異なるものだったと説明。
「もっとガードの上からパワー系なのかなと思ったんですけど、タイミング系で。最初1ラウンド目、タイミングちょっとミスって、まず(パンチを)もらったんですけど、逆にそれで見えた感じ」
と振り返った。
さらに、テイクダウンされた場合も想定していたとし、
「テイクダウンされてもそこから、というのを思っていたので、とにかく自分はコツコツダメージを稼ぐ」
と、自らのゲームプランを明かした。
判定についても、
「2、3(R)を(試合後に)見返しても、2、3取れてたんで良かったです」
と、自身では2R、3Rを取ったという認識を示した。
▪️右肩より右膝の痛みが大きかった
長期離脱の原因となった右肩の状態も注目された。
しかし平本選手によれば、試合の約2週間前に右膝の外側じん帯を断裂し、骨挫傷も負っていたという。
「逆に脚の箇所のことしか集中できなくて。それのおかげで、右肩痛くなかったんですよ。痛いはずなんですけど、右膝の方が痛かったんで」
右肩への不安よりも、直前に負った右膝の痛みに意識が集中していたという。
774日ぶりのMMA復帰戦というだけではない。
負傷を抱えながら、強豪ダウトベック選手との3Rを戦い抜いたことになる。
▪️「勝利は当たり前」から「もっと強くなって大みそかへ」
試合直後の勝利マイクでは、
「帰ってきました」
と第一声。
続けて、
「KOできなくて泣いちゃいました。勝利は当たり前。もっと強くなって、大みそか会いましょう」
とファンに呼びかけた。
今回の勝利によって、平本選手のMMA戦績は5勝3敗。RIZIN公式プロフィールでも、RIZIN戦績は8戦5勝3敗となっている。
さらに試合後の取材では、次戦について、
「次は大みそかにバンテリンドームを盛り上げたいなと思います。2年ぶりの試合で、死闘をもぎ取れたことが自信になりました」
と、年末大会への出場を希望した。
そして対戦相手について問われると、
「ファイトマネーが良い相手とやりたいですね。仕事なので」
と笑顔で答えた。
競技者としての勝利への欲求だけではなく、プロとしての価値を高める相手を求めるという、平本選手らしい現実的な言葉でもあった。
▪️ダウトベックは「負けたとは思っていない」再戦を要求
一方、敗れたダウトベック選手は判定を受け入れながらも、
試合後のマスコミの会見ブースでは不満を隠さなかった。
1Rに左手を負傷したと明かし、2R、3Rはパンチを打つたびに痛みがあったと説明。
「1Rと3Rは私が取っていたと思います」
と自身の採点を明かしたうえで、
「負けたとは思っていません」
と語った。
さらに、負傷が癒えれば大みそかに再戦したいとの意向も示している。
このコメントによって、今回の一戦は単なる「平本選手の復帰勝利」で終わらない可能性も出てきた。
判定が割れるほどの接戦だったからこそ、再戦というストーリーも成立する。
日本でのルールに適応しきれていない海外勢のコメントだったという見方もできる。
これは過去を振りかれば
朝倉未来選手と2度目に闘ったクレベル・コイケにも同じことが言える。
ラウンドマストである以上、組みとキープの時間を有意性とはみなさないのは、
現在の最新MMAの判定基準では当たり前の話だ。
これはRIZINも同じようにルールを選手たちに伝え続けている点だ。
▪️774日ぶりのMMA復帰で示したもの
今回の平本選手の勝利を、単純に「打撃で勝った試合」と表現するのは正確ではない。
1Rにはテイクダウンを許し、強烈な左を受けた。
それでも倒れず、2R以降に戦い方を修正した。
右構えへのスイッチ、右ストレート、強烈な左からのカーフキックに右構えからのインローキック。
そして組まれた際には、倒されても立ち上がろうとし続けた姿勢。
平本選手が今回示したのは、完成されたMMAファイターとしての姿というより、強烈なストライカーとして知られてきた自身の武器に、組みへの対応力と試合中の修正力を加えながら勝利を拾い上げる力だった。
RIZINでの戦績は5勝3敗。
数字だけを見れば、まだタイトルを獲得した選手ではない。
しかし、11連勝中だったダウトベック選手を相手に、774日ぶりのMMA復帰戦を勝利で終えた意味はとてつもない価値だ。
そして本人は、すでに次を見ている。
「大みそかに会いましょう」
約2年ぶりのMMA復帰戦でつかんだ勝利は、
平本選手にとってキャリアを前へ進めるための一勝になった。

