フィギュア ロシア代表 ワリエワ選手の国際大会復帰が消滅 国際スケート連盟 ISUがAIN資格を正式取り消し「中立選手」の条件満たさず

2026.9.11

2022年北京五輪でドーピング問題に揺れたカミラ・ワリエワ選手(20)の国際大会復帰が、正式に見送られることになった。

国際スケート連盟(ISU)は10日、ワリエワ選手について、個人の中立選手(AIN)としてISU主催大会に出場するための要件を満たさなくなったと発表。すでに認められていたAIN資格を取り消した。

4年間の資格停止処分を終え、今季から国際舞台への復帰を目指していたワリエワ選手だが、競技そのものとは別の部分で再び大きな壁に直面した形だ。


 

■234選手を個別審査 ワリエワらがAINの条件を満たさず

ISUによると、ロシアとベラルーシの選手が国際大会に復帰するための手続きとして、234選手から中立性に関する申告書が提出された。

ISUはこれらを個別に審査。その結果、ワリエワ選手と、男子シングルで北京五輪に出場したマルク・コンドラチュク選手(23)について、AINとして参加するための要件を満たさなくなったと判断した。

コンドラチュク選手は決定に異議を申し立てたものの、ISUはこれを退けた。

AINとして出場するには、ISUが定める複数の条件をクリアする必要がある。そのうち一つでも参加不適格と判断されれば、中立選手として国際大会に出場することはできない。

 

■問われたのは「戦争への関与・公的支持」

ISUが示しているAINの参加不適格基準には、ロシアまたはベラルーシの軍隊、国家安全保障機関への現役所属が含まれる。

さらに2022年2月以降、ウクライナに対する軍事作戦に積極的に参加していた場合、あるいは戦争を積極的かつ公に支持していた場合も対象となる。

今回の判断で、ワリエワ選手もこの基準に該当すると認定された。

つまり、今回のAIN資格取り消しは、過去のドーピング違反に対する4年間の資格停止処分を改めて科すものではない。ドーピング処分とは別に設けられた「中立選手として国際大会に参加できるか」という審査で、条件を満たさないと判断されたことがポイントになる。

 

■ロシアと対立のウクライナ側がISUに再審査を要請

今回の判断に先立ち、ウクライナ側からもワリエワ選手のAIN資格について問題提起が行われていた。

ウクライナのフィギュアスケート連盟は、ワリエワ選手が、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐって制裁対象となっているタチアナ・ナフカさんのクラブを代表して活動していることなどを問題視。

ISUに対し、ワリエワ選手の中立性について再審査を求める書簡を送っていた。

今回のISUの正式決定によって、ワリエワ選手が今季のISU主催国際大会へAINとして復帰する道は閉ざされることになった。

 

■ステパノワ、ブキン組も出場資格を認められず

ISUはワリエワ選手だけを対象にしたわけではない。

アイスダンスのアレクサンドラ・ステパノワ選手、イワン・ブキン選手組についても、AINとしてISU主催大会に出場するための要件を満たしていないと判断。

今後の大会には参加させないことを決めた。

ロシア勢の国際大会復帰をめぐっては、選手個人の競技力だけでなく、

AINとしての中立性をどう判断するかが重要な要素となっている。

 

■北京五輪で発覚したドーピング問題

ワリエワ選手をめぐっては、北京五輪が開催されていた2022年2月、2021年12月に採取された検体から禁止薬物トリメタジジンが検出されたことが明らかになり、大会の大きな問題となった。

当時15歳だったワリエワ選手は、北京五輪の団体戦でROCの金メダル獲得に貢献。女子シングルでは優勝候補の一人として出場したものの、ドーピング問題を受けて失格となった。

その後、CAS(スポーツ仲裁裁判所)はワリエワ選手に4年間の資格停止処分を科した。

この影響で北京五輪のフィギュアスケート団体戦の順位も変更され、ROCは金メダルから外れ、米国が金、日本が銅から銀へ繰り上がることになった。

 

■「復帰」目前で新たな壁 ワリエワの国際舞台は遠のく

ワリエワ選手にとって、今回の決定は競技生活の大きな転機となる。

4年間の資格停止期間を終えたことで、本人はAIN資格を取得して国際大会へ戻る可能性が生まれていた。しかし、その復帰を実現するには、ドーピング処分を終えるだけでは十分ではなかった。

ISUが定める中立選手としての条件を満たすことが必要であり、今回の審査によってその資格を失った。

北京五輪で一躍世界の注目を集めたワリエワ選手が、

再び国際大会のリンクに立つ姿は、今季については実現しない。