GOATが第3回へ テレビ東京で地上波生中継 ISKA世界キックボクシング3大タイトルマッチ実現! 日曜の夕方には家族向けレギュラー格闘技番組も “団体ではなくイベント”が仕掛けるキックボクシング新戦略
14日、都内でキックボクシングの枠を超えた
新たな格闘技イベント「GOAT」が、次なる展開に乗り出す記者会見が行われた。
発表では、第3回となる「キックボクシングフェス GOAT」を
10月25日(日)に開催しテレビ東京で16時から17時15分まで
生中継でキックボクシングの試合を放送する構想が明らかにされた。
解説出演の武尊さんと出場選手たちが記者会見で登壇。
「GOAT」は、特定の格闘技団体が主催するシリーズではない。
その特徴を象徴するのが、イベントそのものを「団体」ではなく
「キックボクシングのフェス」と位置づけている点だ。
▪️地上波生中継にこだわるGOAT “試合を放送する”から“番組として届ける”へ
今回の大きなポイントは、地上波での生中継だ。
発表された内容によれば、10月25日の日曜日、16時から17時15分までテレビ東京で試合を生中継する。
これまでの格闘技中継では、大会を開催して後から地上波で放送するスタイルも少なくなかった。
それに対してGOATは、テレビとの関係をイベント設計の中心に置こうとしている。
さらに午後6時から6時30分には、レギュラー番組「Let’s キックGOAT」を展開。家族でキックボクシングを学ぶことをテーマにした番組として、芸人のレインボーがMCを務める予定だという。
格闘技ファンだけを対象にするのではなく、子どもや親世代まで含めてキックボクシングに触れる入口をテレビ番組として作る。
この発想は、単なる大会のテレビ中継とは意味が違う。
「試合を見る人」を増やすだけでなく、「キックボクシングを知る人」を増やすことが狙いになっている。
▪️“裏番組”を意識した発言も テレビ東京らしい会見に
会見では、日曜夕方の人気番組を意識した発言も飛び出した。
特に日曜日のテレビの顔として知られる「ちびまる子ちゃん」と同じ時間帯での放送。
ここをライバル視して意識した趣旨のコメントは、テレビ業界を知る側からすれば興味深い。
格闘技イベントの記者会見で、競技そのものだけではなく、
同時間帯のテレビ番組との関係まで話題にする。
ここにテレビ東京らしい“テレビ番組としてのGOAT”という考え方が表れている。
もちろん、視聴率という意味では強力な番組と競合する時間帯になる。
それでも、あえて日曜夕方のファミリー層へ挑戦する。
「格闘技だから格闘技ファンだけを見る」という発想から離れ
家族で見るテレビコンテンツへ広げようとしている点は、
GOATの今後を考えるうえで壮大な野望と構想であり重要なポイントになりそうだ。
▪️3つの世界タイトル戦にKOボーナス100万円
第3回では、ISKA公認のキックボクシング世界タイトル戦を懸けた注目カードも組まれる。
この日は、
- 龍聖―ボガドのISKA 世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
- 現王者・ヴァンゲリス・ジョルジス(26=ギリシャ)―南原健太(28=TARGET SHIBUYA)のISKA 世界ライトクルーザー級タイトルマッチ
- 笠原友希(25=シーザージム)―ソヘイユ・ドリディ(21=フランス)のISKA 世界スーパーライト級王座決定戦
3大世界タイトル戦が発表された。
さらに特徴的なのが、KO勝利に対する100万円のボーナスだ。
勝敗だけではなく、「KOを狙う」という選手の姿勢を大会そのものが後押しする仕組みとなる。
キックボクシングでは、判定決着でも高度な技術戦を見ることができる一方、
一般層をテレビへ引き込むには、一瞬で試合が動くKOのインパクトも大きい。
GOATが地上波生中継を重視するのであれば、このKOボーナスは競技面とテレビ的な見せ場をつなぐ施策ともいえる。
▪️笠原友希「しっかり準備して戦いたい」前戦の敗戦から再び大舞台へ
笠原友希は、今年5月の第2回GOATで軍司泰斗に敗れた。
2Rにダウンを奪われ、判定0―3で敗れたものの、
3Rまで打ち合いを続けた一戦は大会を代表するカードとなった。
その後、8月22日のシュートボクシングでは
ロムイーサン・TIGER REONに判定3―0で勝利。敗戦から再起を果たしている。
会見では、軍司戦について「実力を出し切れなかった」と悔しい思いを語り、
次の大舞台へ向けて「しっかり準備して戦いたい」と意気込みを示した。
第2回の敗戦から続く物語という意味でも、笠原の存在は大会の重要な軸になりそうだ。
重量級からは南原健太が存在感を放つ。
南原は会見で、RISEでは90キロで戦っていたが、今後は世界の強豪との試合を見据えて85キロ級を自身の適正階級と捉え、今後は戦っていく考えを示した。
「僕の試合にハズレはない」という強烈な自己評価も飛び出した。
重量級の日本人キックボクサーは軽量級に比べて層が厚いとは言いにくい。
だからこそ、南原が掲げる「重量級の迫力を届ける」というテーマは、
GOATが地上波を狙う上でも分かりやすい武器になる。
本人が語る「南原劇場」は、試合展開がどうなろうと最後には自分が立っているというスタイルを指す。
テレビ画面を通じて初めてキックボクシングを見る層に、重量級ならではの迫力を伝えられるか。
▪️龍聖はカリスマとしての存在を目指して地上波へ ISKA王者として世界を意識
龍聖も本イベントで大きな注目を集める軸となる
イケメンファイターで人気の一人だ。
ISKAの世界王者の龍聖は、
世界の強豪海外選手との対戦を通じてさらに知名度を高める意欲を示している。
会見では対戦相手について、独特の変則的な打撃を持つ選手という印象を語り、無敗で8KOという相手の勢いを警戒しながらも、さまざまな攻撃のバリエーションを使ってKO勝利を狙う姿勢を明らかにした。
「カリスマとして試合をしたい」。
キックボクサーとして強いだけではなく、
地上波の視聴者に名前を覚えてもらえる選手になる。
そこまで含めて、GOATは格闘家をテレビスターへ押し上げる舞台を目指しているように見える。
▪️「格闘技の正しい形」へ 乱闘や過剰な煽りとは異なる方向性
今回の会見で特に印象的だったのが、格闘技界の「正しい形」に関する選手たちの発言だ。
ここ数年は乱闘や過激なパフォーマンスによって注目を集めるイベントがSNSを通じて格闘技の枠で目の当たりにすることが多くなってしまっていることに言及して、アスリートとして競技に向き合う。
子どもを持つ親が「格闘技をやらせても大丈夫」と思える環境をつくる。
龍聖は、他団体を名指しで批判することはなかったものの、
健全な格闘技を強調して意識する発言が相次いだ。
GOATが「家族で学べるキックボクシング」をテレビ番組として展開するのであれば、競技そのもののイメージをどう作るかは重要なテーマになる。
試合だけでなく、キックボクシングそのものを子どもたちの選択肢にする。
そのために健全に、対戦相手に敬意を持って礼節を持って試合前には対応する。
相手選手を罵ったり、罵声を浴びせたりするのではなく「正しい形」を打ち出すという考え方だ。
16年ぶりの地上波での格闘技イベントの生中継を聞いて、
その頃に何をしていたかとの問い対して、
16年前は武尊さんがタイで試合をしていた時代だったと明かした。
さらに、登壇した3選手に対して、
地上波格闘技で思い出のある試合を一つ挙げるとするならばとのマスコミからの問いに対しては、
️龍聖は、魔裟斗さんとブアカーオの試合など、かつて地上波で大きな注目を集めた格闘技中継への思いも語られた。
魔裟斗とブアカーオの対戦は、キックボクシングを普段から見ない層にもTBSの番組を通じて知られた代表的なカードの一つだった。
その当時は、まだ子供だったがテレビを観ながら興奮したと語られた。
笠原は、自身が子どもの頃に見ていた格闘技の記憶は朧げながら、父親がピーター・アーツを好きだったことなどにも触れ、今度は自分たちが子どもたちの心を動かす試合をテレビ番組を通じて見せる側になることへの重責を受け止める覚悟を語った。
かつてテレビで魔裟斗やブアカーオを見ていた世代から、
今度は龍聖、南原、笠原らが次の世代へキックボクシングを届ける。
▪️“毎週日曜日” 「Let’s キックGOAT」は格闘技レギュラー番組
今回の発表を見ていると、GOATの最大の特徴は試合そのものだけではない。
「Let’s キックGOAT」をレギュラー番組として投入することで、毎週テレビを見る習慣の中にキックボクシングを置こうとしている。
これは格闘技団体の興行戦略というより、
メディアを中心にしたスポーツコンテンツ戦略に近い。
SNSを中心に活動する41万人ものフォロワーがいる人気の
本望あやかさんもGOATのメインキャストの1人として迎えられる。
本望さんは父に環太平洋王者のボクサーを持ち、幼少期から父の経営するボクシングジムで体を鍛える環境に身を置いていた経歴を持つ。
格闘技コンテンツの番組パーソナリティーとしては、
うってつけの経歴だ。
さらに、現在のSNS人気インフルエンサーとして立場を考えたら、
GOATの宣伝効果は大きな武器となる。
会見では、試合を見るだけでなく、
自身もキックボクシングに挑戦することへの意欲を示した。
これには武尊さんも、『ビシバシ鍛えます』と身を乗り出して
キックボクシング挑戦に賛同した。
GOATが目指す「テレビ×SNS×格闘技」という構造を考えれば、
本望さんの存在は若年層への接点として大きな意味を持つ。
「Let’s キックGOAT」の冠番組で家族に届け、「GOAT」でトップ選手の戦いを見せる。
日曜日の夕方に食卓を囲む夕食時に、
キックボクシングを観る習慣を作れるかが楽しみな点だ。
【文:高須基一朗 瞬刊モッツ 編集部】







