西田凌佑、2階級制覇ならず グッドマンの接近戦に苦しみ判定負け「やられたなという気持ち」

2026.9.27

 

 

IBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦が27日、東京・TOYOTA ARENA TOKYOで行われ、同級1位の西田凌佑選手(六島)は同級2位のサム・グッドマン選手(オーストラリア)に0-3の判定で敗れた。

元IBF世界バンタム級王者の西田選手は、1階級上げての世界2階級制覇を目指したが、グッドマン選手の絶え間ないプレッシャーと接近戦に苦しみ、再び世界のベルトを手にすることはできなかった。

一方、グッドマン選手は判定勝ちでIBF世界スーパーバンタム級暫定王座を獲得。試合後には、同級の正規王者である井上尚弥選手との対戦を見据える発言も飛び出した。


 

▪️グッドマンが序盤から距離を潰す

試合前、西田陣営が想定していたのは、中間距離を使いながら左ストレートを当てていく展開だった。

しかし、グッドマン選手は序盤からその想定を崩すように前へ出た。

1回から西田選手の懐に入り、パンチを打つスペースそのものを狭くする。2回になると、さらに距離を詰め、ゼロ距離に近い位置からショートフックやアッパーを織り交ぜて攻め込んだ。

西田選手にとっては、得意とする中間距離を作りにくい展開。強い左を打ち込む前にグッドマン選手に懐へ入られ、思うようにパンチを伸ばせない時間が続いた。

グッドマン選手の接近戦の技術と距離の詰め方が、試合序盤から大きなポイントとなった。

 

▪️西田の左ボディー、それでも下がらないグッドマン

3回に入ると、西田選手が中間距離を取り戻す場面も増えた。

左ストレートに加え、左ボディーも効果的に入り始める。

4回は両者が激しくパンチを交換する乱打戦となった。西田選手の左ボディーがグッドマン選手を捉える場面もあったが、それでもグッドマン選手は下がらない。

右のショートフックをかぶせるように放ち、西田選手の顎付近を捉える場面もあった。

西田選手が距離を作れば、グッドマン選手が踏み込む。

この構図が中盤以降も繰り返された。

 

▪️近距離での削り合い、西田に減点も

5回以降もグッドマン選手は前進を止めなかった。

至近距離からショートフック、ショートアッパーを連続して打ち込み、西田選手にロープ際での対応を強いる。

6回には西田選手の右フックが浅く入る場面もあったが、グッドマン選手がコーナーへ押し込んで連打する時間が目立った。

7回も両者が左ストレート、右ストレートを交換。西田選手が正確に当てる場面がある一方、グッドマン選手は接近戦を継続し、手数と圧力で対抗した。

8回にはグッドマン選手の頭が接触するバッティングで減点1。さらに西田選手もローブローで減点1となり、試合が大きく動いた。

それでもラウンド終盤には両者が打ち合い、会場を沸かせた。

 

▪️再び活路を見出す西田の左ボディーを浴びても前進

9回、西田選手は左ボディーを好角度で打ち込む。

それでもグッドマン選手は距離を取らず、前進を続けた。

一方の西田選手には、少しずつ消耗が見え始める。

10回にはフェイントからの左ストレートをクリーンヒットさせる場面もあったが、グッドマン選手は大きなダメージを見せない。

西田選手にはこの回、再びローブローによる減点が加わった。

11回になると、グッドマン選手には足を使う余裕も生まれた。

序盤から続けてきた接近戦と手数で西田選手の体力を削りながら、終盤では無理に打ち合うだけでなく、距離を変える場面も見せた。

 

▪️最終12回もグッドマンの距離支配

最終12回、西田選手は最後まで打ち合いを求めた。

しかし、グッドマン選手はダッキングを交えながら距離を詰め、西田選手のパンチをかわしては近距離へ入り込む。

西田選手が得意とする距離を最後まで十分に作らせなかった。

12ラウンドを終え、判定は3-0。

グッドマン選手がIBF世界スーパーバンタム級暫定王座を手にした。

試合後、西田選手はグッドマン選手の戦い方について、

「グッドマン選手は想定していた通りのうまい選手で、やられたなという気持ち。思っていたよりも接近戦がうまかった」

と振り返った。

試合前には「1ポイントも取らせずに」と完封勝利を掲げていた西田選手だったが、実際のリングではグッドマン選手の距離の詰め方に苦しめられた。

また、西田選手は日本開催の実現について関係者やファンへの感謝を述べたうえで、今後については「これから話し合っていく」とコメント。グッドマン選手との再戦については「今はないです」と話しており、現時点で次戦について明言はしていない。

 

▪️約1億円の興行権入札で実現した世界戦

今回の一戦は、開催までの経緯も注目された。

IBFは、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥選手の今後の防衛スケジュールを考慮し、暫定王座の設置を決定。西田選手とグッドマン選手に暫定王座決定戦を行うよう指令していた。

両陣営の交渉がまとまらなかったため興行権は入札となり、六島プロモーションが61万ドル(当時約9900万円)で落札。グッドマン陣営の提示額58万3500ドルを上回り、日本開催が決まった。

その意味でも、今回の世界戦は西田選手にとって大きな意味を持つ一戦だった。

 

▪️当日計量もクリアして決戦へ

前日計量では西田選手が55.3キロ、グッドマン選手が55.2キロで、ともにリミットをクリア。

さらにIBF独自の当日計量も行われ、西田選手は59.5キロ、グッドマン選手は59.7キロでクリアした。スーパーバンタム級の前日計量リミット55.3キロに対し、当日は10ポンド(約4.5キロ)までの増加が認められるルールだった。

万全のコンディションでリングに上がった両者だったが、最後にベルトへ手を伸ばしたのはグッドマン選手だった。

 

▪️グッドマンは次の標的に井上尚弥を指名

今回の勝利によって暫定王者となったグッドマン選手は、試合後、正規王者の井上尚弥選手との対戦を意識した発言をしている。

グッドマン選手は過去に井上選手との対戦が2度予定されながら、負傷によって実現しなかった経緯がある。今回、日本のリングで西田選手を破って暫定王座を獲得したことで、井上選手との対戦をめぐる構図にも変化が生まれることになった。

西田選手にとっては、バンタム級に続く2階級制覇の夢は持ち越しとなった。

一方で、今回の試合ではグッドマン選手の接近戦に対する対応という、スーパーバンタム級で戦っていくうえでの課題も浮き彫りになった。

プロ戦績は西田選手が13戦11勝(2KO)2敗、グッドマン選手が24戦23勝(8KO)1敗となった。