張本智和選手の敗戦後に語った「現環境のルールだとレシーブは難しい」 それでも審判を尊重した姿勢に表れたスポーツマンシップ
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愛知・名古屋アジア大会の卓球男子シングルスで、
張本智和選手が準々決勝でノシャド・アラミヤン選手(イラン)に3―4で敗れた。
世界ランキング4位の張本選手にとっては、男子団体の金メダルに続く個人種目でのメダルを逃す悔しい結果となった。
試合後、張本選手が口にしたのは、対戦相手の独特なサービスについてだった。
「現環境のルールだとレシーブはちょっと難しいかなと」
大会ではTTR(Table Tennis Review=映像判定システム)が使用されておらず、サービスの微妙な違反を映像で確認できない環境だった。ITTFのTTRでは、サービスのトス角度やボールを隠しているかどうかなど、サービスに関する複数の事象がレビュー対象となっている。
ただし、ここで見逃したくないのは、張本選手がこの問題を語りながらも、審判そのものを否定していないことだ。
▪️「違反は違反」でも、審判へのリスペクトを忘れない
張本選手は試合中、アラミヤン選手のサービスについて審判から指摘があったことにも触れている。
そして試合後には、
「審判もフォルトを取ってくれた場面もあり、できる限界はあれかな」
と説明。
さらに、客席からブーイングが起きた場面についても、最後には審判に対して「ちゃんとお仕事した」と伝えたという。
ここに今回の張本選手の言葉を読み解く重要なポイントがある。
判定に疑問を感じることと、審判を尊重することは、決して矛盾しない。
自分自身が厳しい環境に置かれたからこそ、その中で判定を担った審判の立場にも理解を示した。
これは、単なる敗戦後のコメントとは少し違う。
▪️グレーゾーンだからこそ、言い訳にしない
卓球のサービスには細かな規定が存在する。
ITTFのルールでは、ボールを少なくとも16センチ上方へ投げ上げることや、相手からボールを隠さないことなどが定められており、審判にはサービスが規定を満たしているかを判断する役割がある。
一方で、試合中の一瞬の動きをその場で判断することは簡単ではない。
だからこそ、今回のようなケースは「完全に白か黒か」と単純に割り切るのではなく、判定が難しいグレーゾーンが存在したと見ることもできる。
張本選手自身も、そうした難しさを理解していたからこそ、審判への感謝を口にしたのだろう。
そして何より重要なのは、その環境を敗戦の言い訳にはしていないことだ。
張本選手は「競技大会は結果が全て。メダルを取れなかった。それだけ」と語っている。
この言葉からも、判定や大会環境に触れながら、最終的な結果については自分自身の責任として受け止めようとする姿勢が伝わる。
▪️「過去にそれで勝っている」自分自身にも目を向ける
張本選手はさらに、パリ五輪では同じ相手に勝利していることを踏まえ、
「過去に(パリで)それで勝っているわけだし、自分にも弱いところがある」
と語った。
ここにも注目したい。
相手のサービスについて問題を指摘するだけなら、自分の敗因を外部に求める形にもなり得る。
しかし張本選手は、相手のサービスについて言及した直後に、自分自身のプレーにも目を向けている。
第4ゲームでは4―9から逆転し、最終ゲームまで持ち込む粘りを見せた。それでも最後は9―9から連続失点し、あと一歩届かなかった。
だからこそ張本選手は、サービスへの問題意識を示しながらも、自分自身の課題を切り離して考えている。
▪️勝負への厳しさと、周囲への配慮
トップアスリートにとって、勝敗にこだわることは当然だ。
張本選手もまた、勝利への強い思いを前面に出して戦う選手の一人だ。
だからこそ、敗戦直後の難しい状況で審判へのリスペクトを示したことには意味がある。
「違反は違反」とルール上の問題を指摘する一方で、実際に判定を担った審判については、その仕事を尊重する。
さらに、自分自身のプレーにも課題があったと認める。
この三つを同時に語れるところに、今回の張本選手のコメントの価値がある。
▪️問題提起とリスペクトは両立する
スポーツにおいて、ルールや判定について選手が意見を述べることは、競技の改善につながる可能性がある。
一方で、判定を担当する審判もまた、その瞬間の情報をもとに判断している。
今回、張本選手が示したのは、その両者を切り離さない姿勢だった。
「環境には改善の余地がある」と伝えながら、「審判もできる限りの仕事をしてくれた」と認める。
この姿勢は、勝敗だけでは測れないスポーツマンシップとして、
素晴らしい人間性が垣間見れる。
【テキスト 瞬刊モッツ 編集部】

