五輪マラソン銀メダリスト有森裕子氏が日本陸連新会長に就任 創立100年で初の女性トップ誕生 

2025.6.25

【有森裕子さん公式インスタグラムより画像】

 

日本陸上競技連盟(日本陸連)は6月25日、都内で開いた理事会で新たな執行部体制を決定。新会長には、1992年バルセロナ五輪女子マラソン銀メダリストの有森裕子氏(57)が就任した。日本陸連の設立から100年の節目にあたる今年、女性が会長を務めるのは史上初。スポーツ界全体のジェンダー平等が叫ばれる中、象徴的な人事となった。

 

▪️“自分で自分をほめたい”名言の有森氏が歴史的就任

岡山県出身の有森氏は、高校時代こそ全国大会出場は果たせなかったが、日本体育大学で頭角を現し、社会人では小出義雄監督のもとで才能を開花。1990年の大阪国際女子マラソンで初マラソンながら当時の日本最高記録をマークすると、翌年にはさらに記録を更新。

91年東京世界陸上で4位入賞を果たし、日本代表として確固たる地位を築いた。

92年のバルセロナ五輪では銀メダル、96年アトランタ五輪では銅メダルを獲得。日本人女性選手として初となる五輪陸上2大会連続メダルの快挙を達成し、「初めて自分で自分をほめたいと思います」という名言は、その年の流行語大賞にも輝いた。

現役引退後は、社会貢献活動やスポーツマネジメント事業に注力。NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」や株式会社RIGHTS.を立ち上げるなど、アスリート支援とスポーツ文化の発展に寄与してきた。2010年にはIOC女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞。日本陸連では理事、副会長、さらにアジア陸連および世界陸連の理事なども歴任しており、その経験が新体制での手腕に期待されている。

 

▪️現役アスリートからも理事誕生 走高跳の戸邉が就任

この日の理事会では会長選出とあわせて執行部人事も刷新。副会長には室城信之氏が留任し、新たに内山了治氏が就任。風間明氏は退任となった。

また、理事22人のうち13人が新任され、現役アスリートからも新たな顔が加わった。男子走高跳の戸邉直人(JAL)はアスリート委員長を務める傍ら、自身も理事に選出。競技者の声を理事会に届ける橋渡し役として、期待されている。