ボクシング世界挑戦権 ウィテカー 華麗な“ダンスボクシング”から一転…終盤にまさかの大苦戦 12Rを耐え抜き3-0判定で世界挑戦権
華麗なフットワークと鋭いパンチで主導権を握りながら、
最後は防戦を強いられた。
英国ライトヘビー級の人気ボクサーのベン・ウィテカー選手(29)が
4日に英バーミンガムのユーティリタ・アリーナで行われたIBF世界ライトヘビー級最終挑戦者決定戦で、コナー・ウォレス選手(30)と対戦。3-0の判定勝利を収め、WBCシルバー王座を防衛するとともに、IBF世界ライトヘビー級王座への挑戦権を手にした。
判定は117-111、116-112、115-113。
スコアだけを見れば、ウィテカー選手の勝利は明確だった。
しかし、試合の中身は数字ほど単純ではない。
前半に見せた鮮やかなボクシングと、終盤に追い込まれた姿。
そのコントラストが、今後世界王座を狙ううえでの現在地を浮かび上がらせる一戦となった。
▪️序盤はウィテカー選手の独壇場 スピードと距離感でウォレス選手を翻弄
試合開始からウィテカー選手は、持ち味であるスピードと距離感を存分に生かした。
鋭いジャブを突きながら右を狙い、ウォレス選手が踏み込もうとすれば、素早いステップで距離を外す。
サウスポーのウォレス選手も左ストレートを返し、フットワークを使って対抗したが、序盤の主導権はウィテカー選手にあった。
パンチをまとめて相手を下がらせる場面もあり、KOへの期待を感じさせる攻撃を見せる。
さらに試合中には、ウィテカー選手らしい軽快な動きから“ダンスボクシング”とも呼ばれるパフォーマンスも披露。余裕を感じさせる動きに会場も沸いた。
直近4試合をすべて2ラウンド以内のKOで終えているだけに、この試合でも早い決着を予感させる立ち上がりだった。
▪️ところが終盤 10Rから試合の景色が変わった
大きく流れが変わったのは終盤だった。
10ラウンドに入ると、ウォレス選手が前進する時間が増える。
左ストレートを軸にパンチを当て、さらに左右の連打でウィテカー選手を後退させる。
それまで距離を自在に操っていたウィテカー選手も、次第にクリンチで相手の攻撃を止める場面が目立つようになった。
それでも完全に攻撃を失ったわけではない。
ラウンド終盤には右を打ち返し、パンチをヒットさせるなど、要所ではウィテカー選手の技術が光った。
問題は、その攻防が12ラウンドまで続いたことだった。
▪️最終12Rにウィテカー選手がまさかのピンチ
そして最終ラウンド。
ウォレス選手は最後まで攻撃の手を緩めなかった。
強烈なパンチを連続して浴びせられたウィテカー選手は、再びクリンチで攻撃をしのぐ。
さらにクリンチの最中には、ウィテカー選手が膝をつくような場面もあった。
ダメージによるものだったのか、バランスを崩したものだったのか。その場面でレフェリーはダウンを宣告しなかった。
ウィテカー選手にとっては、まさに最後の最後で訪れた最大のピンチだった。
それでも終了のゴングまで耐え抜いた。
華麗な動きで試合を支配していた前半とは対照的に、最後は相手の攻撃を受けながら12ラウンドを完走。勝利そのもの以上に、世界戦を見据えれば意味のある経験になった。
▪️3者ともウィテカー選手を支持 無敗記録を13勝1分に
判定は117-111、116-112、115-113。
ジャッジ3者すべてがウィテカー選手を支持し、3-0の判定勝利となった。
これで戦績は13勝(9KO)無敗1分。
WBCシルバー王座を守り、さらにIBF世界ライトヘビー級王座への挑戦権も獲得した。
ただし、今回の勝利はウィテカー選手にとって、単純に「世界戦への切符を手にした」というだけの意味ではない。
これまでKOで試合を終わらせることが多かった選手が、初めて12ラウンドを戦い抜いた。
そして、その過程でスタミナや守備面の課題がはっきりと表れた。
▪️世界王座を狙うなら・・・問われるのは「最後まで動けるか」
試合後、ウィテカー選手自身も後半について「集中力を切らしてしまった」と振り返った。
これは今回の試合を考えるうえで重要な言葉だ。
ライトヘビー級で世界王座を狙うなら、スピードや技術だけでなく、12ラウンドを通して同じ精度を維持できるかが問われる。
今回のウィテカー選手は、前半で自らの才能を示した一方、後半では相手のプレッシャーにさらされた。
つまり、世界挑戦への切符を手にした試合であると同時に、世界王座を獲得するために何を伸ばすべきなのかが見えた試合だった。

