K-1 女子格闘家 木村萌那選手が延長判定で5戦5勝 必殺“もな蹴りを完全に封じられる

2026.9.12

【©️K-1】

“リアル春麗”の異名で注目を集める木村萌那選手が、初めてと言っていいほど苦しい勝利を手にした。

9月12日、東京・国立代々木競技場 第二体育館で開催された「K-1 WORLD MAX 2026」で、木村選手はK-1女子フライ級のワンマッチに出場。スイスのマリン・ニコル選手と対戦し、延長ラウンドの末、3-0の判定勝利を収めた。

これで木村選手はプロ戦績を5戦5勝(2KO)に伸ばした。K-1公式記録でも、2024年11月のプロデビュー以来、無敗を維持している。

ただ、今回の勝利はこれまでとは意味が違った。


 

▪️“もな蹴り”を熟知する海外強豪が徹底対応

試合前から注目されていたのが、木村選手の代名詞ともいえる前蹴りだった。

木村選手は、その独特の蹴り技からゲームキャラクター「春麗」を思わせる存在として注目を集め、SNSなどを通じて大きな話題を呼んできた。

一方、今回の対戦相手となったニコル選手は、蹴り技を得意とするサバットの元王者。K-1側も試合決定時から、両者による“前蹴り対決”を大きな見どころとして打ち出していた。

さらにニコル選手は、過去に木村選手とSNSでコラボした経験もあり、木村選手のスタイルを知る選手でもあった。

木村選手自身も試合前には「前蹴りだけじゃないんだぞというところを見せたい」と語り、ボクシングをベースとした左ストレートを武器として挙げていた。キックボクシングの練習環境も変え、新たなスタイルを磨いていることを明かしていた。

しかし、リング上では、その準備とは別の難しさが待っていた。

 

▪️ニコルの距離と構えに苦戦

ニコル選手は一定の距離を保ちながら、左右の構えを頻繁に切り替えるなど、木村選手が攻撃を組み立てにくい展開を作った。

木村選手が得意とする片足立ちからの前蹴り、横蹴りも、相手の対応によって思うように出せない。

試合が進むにつれ、木村選手はボクシングを軸にした攻撃へとシフト。

それでも、ニコル選手の蹴りを警戒しながら自ら攻撃を仕掛ける難しさに直面した。

試合後、木村選手は「点数がつけられないような戦いでした」と振り返り、思い描いていたパフォーマンスを出せなかったことへの悔しさをにじませた。

 

▪️3R終了時点でジャッジは割れて延長Rへ

試合は3ラウンドを終えても決着せず、ジャッジの裁定も割れた。

木村選手を支持するジャッジが1人、ドローが1人、ニコル選手を支持するジャッジが1人。

まさに僅差の勝負となり、勝敗は延長ラウンドへ持ち込まれた。

延長では木村選手が手数を増やして主導権を握り、最終的に3-0の判定で勝利。

苦しみながらも最後まで戦い切り、無敗記録を守った。

試合前日の計量では木村選手が51.8キロ、ニコル選手が51.1キロで契約体重をクリア。木村選手は「格の違いを見せつけて勝ちます」と強気の姿勢を示していた。

その言葉通りの圧勝とはならなかったが、結果として木村選手はプロ5戦目で新たな経験を手にした。

 

▪️過去一の練習してきたからこその悔しさ

試合後の木村選手を苦しめたのは、敗戦ではない。

勝ったにもかかわらず、自分が準備してきたものを十分に出せなかったことだった。

「過去一番練習してきた」という自負があっただけに、実戦でそれを発揮できなかったことへの戸惑いも大きかった。

「やってきたことがここまで出ないと、どうしたらいいか分からない。自分を見つめ直したい」

そう語った木村選手。

さらに、前蹴りへの対応を徹底されたことで、自分から攻撃を組み立てることの難しさも痛感した。

これまで前蹴りで試合を動かせていたからこそ、相手がそこを消してきたときにどう戦うのか。

今回の一戦は、その答えを探すきっかけになった。

木村選手は今回の苦戦について、

「今まで前蹴りでどうにかできちゃって、あんまり辛い思いとかしてなかった」

と振り返った。

そして、

「プロって甘くないし、チャンピオンは簡単に取れるもんじゃないんだと思った」

と率直な思いを口にした。

これは、5戦5勝という数字だけを見れば見落としやすい部分でもある。

プロデビューから無敗を続けている一方で、まだキャリアは5戦。

今回の試合で、「自分の得意技を警戒し、そこを消してくる相手と向き合った。

だからこそ、今回の延長判定勝ちは、単なる1勝ではなく、

今後の木村選手にとって重要な経験になった。