ONE SAMURAI3第10試合 メイン 吉成名高選手 キックボクシング初戦で圧倒的判定勝利 ミャンマーの強豪を追い詰めるもKOならず「思い描くパフォーマンスができなかった」
【©️ONE Championship 】
ONEアトム級ムエタイ世界王者の吉成名高選手が、待望のキックボクシングデビューを果たした。
9月12日、横浜BUNTAIで開催された「ONE SAMURAI 3」のメインイベント。ムエタイで世界の頂点に立つ吉成選手が、初めてキックボクシングルールに挑戦した。
対戦相手は、ミャンマー出身のハー・リン・オム選手。
32勝6敗の格闘技戦績を残してきた強豪だ。
今回は、前日の計量とハイドレーションテストをクリアできなかったハー・リン・オム選手が、吉成選手より重い状態で試合を迎えるという特殊な条件での試合成立となった。
ただ、公式には発表は無いが吉成選手にはかなり不利な条件で、
メインの試合をャンセルにはできないと使命感から、
相手選手のルールを守らない不誠実な条件を飲まざる負えない事情で試合を行った。
吉成選手は、試合開始直後から持ち味である鋭い蹴りを見せ、主導権を握っていった。
1R、吉成選手は左ロー、左ミドルを中心に距離を支配。
キックボクシングルールでありながら、これまで培ってきたムエタイの技術を随所に織り交ぜ、ハー・リン・オム選手を後退させていく。
一方のハー・リン・オム選手も、右フックを一度クリーンヒットさせるなど、完全に一方的な展開を許したわけではない。
また、互いにワンキャッチを見せる場面もあった。
その中で、吉成選手が足をつかんでから膝を繰り出す場面があり、キックボクシングルールでは認められない動きとして口頭注意を受ける。
ムエタイを主戦場としてきた吉成選手にとって、長年染みついた攻撃の感覚を短時間で切り替える難しさも垣間見えた。
試合が進むにつれて、吉成選手とハー・リン・オム選手の力関係はより明確になっていく。
吉成選手は攻撃の手数を増やし、相手を追い込んでいく。
しかし、ハー・リン・オム選手も最後まで倒れない。
特に3Rは、吉成選手が前に出て攻撃を続ける一方、ハー・リン・オム選手は被弾しながらも決定的なダメージを避けるような戦いを選択。
吉成選手としては、相手を追いかけながらKOを狙う展開となった。
それでも最後まで攻撃の手を止めることはなかった。
跳び膝など、持っている武器を次々と繰り出し、最後までフィニッシュを狙い続けた。
しかし、ハー・リン・オム選手のタフネスを崩すことはできず、試合は3Rを戦い切って判定へ。
判定3-0で吉成選手が勝利し、キックボクシングデビュー戦を白星で飾った。
▪️「勝つことはできたんですけど」
結果だけを見れば、吉成選手が圧倒的な力差を示した一戦だった。
一方で、本人にとっては満足できる内容ではなかった。
試合後、吉成選手は自身のパフォーマンスについて、
「結果として勝つことはできたんですけど、自分の思い描くようなパフォーマンスはできなかったので。悔いの残る試合になりました」
と振り返った。
勝利そのものよりも、KOまで持っていけなかったことへの悔しさが残った。
「ONE SAMURAI 1」で武尊選手、「ONE SAMURAI 2」で野杁正明選手が大会の大舞台でKO勝利を飾ってきただけに、メインイベントを任された吉成選手自身も、最後はKOで大会を締めくくることを強く意識していた。
▪️キック初戦で見えた、さらなる可能性
今回の試合では、ムエタイで培った左の蹴りや距離感など、吉成選手の高い技術力が随所に表れた。
その一方で、キャッチからの膝を含め、ムエタイで自然に出てくる動きをキックボクシングのルールへ完全に適応させるという課題も見えた。
ルールへの適応を進めれば、これまでのムエタイの技術にキックボクシングの攻撃を融合させ、さらに幅の広いファイトスタイルへ進化する。
そして、吉成選手には早くも次の舞台が待っている。
10月17日に開催される「ONE SAMURAI 4」では、
リファディン・マスドール選手を相手に
ONEアトム級ムエタイ世界王座の防衛戦に臨む。
キックボクシング初戦で味わった悔しさを、
次は自身が最も得意とするムエタイのルールでぶつけることになる。
【文:高須基一朗】



