PFL=元ONE世界王者イリアス・エナッシがMMA転向 スーパーレック 選手秋元皓貴選手らに勝利する実力者が新天地へ

2026.8.14

【©️PFL】

元ONEキックボクシング世界フライ級王者のイリアス・エナッシが、キャリアの新たな扉を開く。

オランダとモロッコにルーツを持つエナッシは、長年にわたり世界のキックボクシング界で存在感を示してきたトップファイターだ。2026年8月14日、PFLはエナッシとの契約を正式発表。キックボクシングからMMA(総合格闘技)へ転向し、

PFLの舞台に挑むことが明らかになった。

すでにデビュー戦の日程も決定しているといい、次なるキャリアへのカウントダウンが始まった。


 

▪️11歳から始めたキックボクシング 日本での経験が世界王者への礎に

エナッシがキックボクシングを始めたのは11歳。ジュニア時代から競技に打ち込み、プロへとステップアップしていった。

18歳だった2014年11月には初来日。森井洋介との対戦では1ラウンドKO負けを喫したものの、そこから世界の舞台へ駆け上がっていく。

2016年5月には「Enfusion」で60キロ級世界王座を獲得。同年11月の再来日時には町田光と対戦し、2度のダウンを奪って勝利。「BLADE」61キロ級世界王座も手にした。

さらに2018年にはWFLの63キロ級トーナメントを制覇。欧州を中心に実績を積み重ね、世界トップクラスのストライカーとして評価を高めていった。

そして2019年、エナッシのキャリアは大きな転機を迎える。

 

▪️ONEで世界王者に スーパーレックの挑戦も退けた

2019年8月、ONE Championshipに初参戦すると、ペッダム・ペッティンディーアカデミーを3ラウンドKOで下し、ONEキックボクシング世界フライ級王座を獲得した。

世界王者となったエナッシは、その後もタイトル戦線を牽引。

2021年2月には、現在も世界屈指のムエタイ・キックボクサーとして知られるスーパーレックの挑戦を受けた。この試合でも勝利を収め、3度目の王座防衛に成功している。

エナッシにとって、スーパーレック戦は自身の実力を世界に示す重要な一戦となった。

その後、2023年1月には体重超過により王座をはく奪されたものの、同年2月には約2年ぶりに実戦復帰。バンタム級へ階級を上げ、アリアスガーにKO勝ちを収めた。

 

▪️秋元皓貴選手にも勝利した強剛 ONEで5戦全勝を記録

2024年9月には、日本の実力者・秋元皓貴と対戦。

世界王者経験者同士による注目の一戦で、エナッシは判定勝ちを収めた。これでONEでの戦績は5戦全勝となり、改めてトップファイターとしての実力を証明した。

その後は2025年2月にペッタノン戦が中止となり、同年9月にはナビル・アナンと対戦。しかし、アナンのミドルキックがローブローとなり、エナッシが試合を続行できず、無効試合となった。

これがONEでの最後の試合となった。

キックボクシングでの通算戦績は40勝(8KO)3敗1無効試合。左フックとハイキックを武器としながら、派手な一撃だけに頼らず、距離やタイミングを巧みに操るテクニカルなファイターとして知られる。

そして今回、エナッシが選んだのはMMAという新たなフィールドだ。

長年にわたって磨き上げてきた打撃技術を、今度は組み技や寝技を含む総合格闘技の舞台で生かすことになる。

PFLは公式発表で、エナッシを「世界トップクラスのストライカーの一人」と紹介。

元ONE世界王者がMMAへ転向し、PFLという世界的な舞台に参戦することを歓迎した。

注目されるのは、キックボクシングで世界王座を獲得したエナッシが、

MMAでどこまで適応できるのかという点だ。

打撃の技術はすでに世界最高峰のレベルにある。

一方で、MMAではレスリング、テイクダウンディフェンス、グラウンドゲームなど、キックボクシングとは異なる能力も求められる。

だからこそ、この転向には大きな意味がある。

40勝を積み重ねた世界王者が、これまでとは異なるルールの中で

新たな可能性を追求する。


【文:高須基一朗】