ONE Fight Night 43 タン・カイ選手が“破壊的カーフ”で王座死守 ダゲスタン最強レスラーを完全封殺、支配力際立つV2劇
【©️ONE Championship 】
5月16日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Fight Night 43』第9試合。フェザー級MMA世界タイトルマッチでは、王者タン・カイ選手(中国)が、挑戦者シャミル・ガサノフ選手(ロシア)を4ラウンドTKOで撃破。ダゲスタン勢屈指のレスリング力を誇る難敵を相手に、圧巻のテイクダウンディフェンスを披露し、2度目の王座防衛を果たした。
勝負を決定づけたのは、積み重ねるように効かせ続けた“右カーフ”だった。
試合終盤、タン・カイ選手の一撃を受けたガサノフ選手は、その場で足を折るように崩れ落ちる。立ち上がる意思を見せながらも、ダメージは限界に達していた。最後は追撃のパウンドが襲いかかり、レフェリーが試合を止めた。
静かに削り、最後に一気に刈り取る―。
王者の完成度の高さだけが際立つフィニッシュだった。
タン・カイ選手は2022年、当時絶対王者として君臨していたタン・リー選手を破り、中国人男子として初めてONE世界王座を獲得。さらに2024年には、暫定王者となっていたタン・リー選手との王座統一戦をKOで制し、“本物の王者”としての地位を確立した。
一方で昨年1月にはアクバル・アブドゥラエフ選手にKO負けを喫したが、相手の計量失格により王座は移動せず。今回の防衛戦は、王者としての真価が改めて問われる一戦でもあった。
対するガサノフ選手は、ダゲスタン仕込みのレスリングと極めの強さを武器に連勝を重ねてきた実力者。16勝のうち9勝が一本勝ちというフィニッシャーであり、今回が満を持しての世界戦初挑戦だった。
しかし、その“最大の武器”が、この日は完全に封じ込まれた。
1ラウンドからタン・カイ選手は不用意に打ち合わず、長い距離を保ちながらジャブとローを丁寧にヒット。ガサノフ選手は前進しながらタックルを繰り返すが、王者は体勢を崩さない。切って、離れて、また打つ。単純なようでいて、高度な防御技術が随所に光った。
特筆すべきは、ガサノフ選手が仕掛けた20度に及ぶテイクダウンを、タン・カイ選手がすべて切り切ったことだろう。
4ラウンド中盤には、タックルに入ったガサノフ選手を逆に潰し、首相撲からヒザ蹴り。さらに上のポジションを奪ってヒジを落とすなど、グラウンドでも主導権を掌握した。
そしてスタンド再開直後、蓄積していたダメージがついに爆発する。
右カーフキック一閃。ガサノフ選手の脚は耐えきれず、悶絶しながらマットへ沈んだ。
レスラーに何もさせず、最後は打撃で破壊する。
ONEフェザー級戦線において、タン・カイ選手の王者としての支配力を改めて印象づける、防衛劇となった。
■『ONE Fight Night 43』
5月16日(日本時間)タイ・バンコク・ルンピニースタジアム
▼フェザー級MMA世界タイトルマッチ
〇タン・カイ選手(中国/王者)
TKO 4R2分41秒 ※右カーフキック→パウンド
●シャミル・ガサノフ選手(ロシア/挑戦者)
※タン・カイ選手が2度目の防衛に成功
【文:高須基一朗】

