ONE Friday Fights 154 「世界王者相手に“寝技勝負”で引かなかった」 手塚裕之選手がルオトロに散るも示した日本人ファイターの矜持
【©️ONE Championship 】
5月15日(日本時間)、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Friday Fights 154』。ライト級MMAで、元パンクラス・ウェルター級王者の手塚裕之選手(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)は、ONEライト級サブミッション・グラップリング世界王者ケイド・ルオトロ選手(米国)と対戦し、2ラウンド2分2秒、KO負けを喫した。
結果だけを見れば、世界王者の圧勝。
そう切り捨てることもできない。
だこの試合で手塚選手が見せたのは、“寝技世界王者だから組んではいけない”という常識に抗う姿勢だった。近年、グラップリングエリートがMMAへ参戦する流れは加速している。なかでもルオトロ選手は別格の存在だ。双子の兄タイ・ルオトロ選手とともに、世界のグラップリングシーンを席巻。2024年から本格参戦したMMAでも、デビューから3戦連続一本勝ちを記録し、“次世代の怪物”として注目を集めていた。
そのルオトロ選手に対し、手塚選手は下がらなかった。
1ラウンド開始直後からプレッシャーをかけ、重いパンチを振るいながら前進。
ルオトロ選手は間合いを取りながら何度もタックルを狙ったが、手塚選手は簡単には崩れない。むしろ、組み際のフィジカル勝負では互角以上の場面すら見せた。
中盤にはグラウンドへ持ち込まれる展開もあったが、世界トップグラップラー相手に致命的なポジションを許さず、しぶとく対応。会場からもどよめきが起こった。
終盤、スクランブルから上を取られヒジを浴び、額をカット。それでも、試合の空気は決して一方的ではなかった。
2ラウンドに入ると、手塚選手はボディ攻撃を執拗に打ち込む。
疲労の色が見え始めたルオトロ選手に対し、“削る”戦いで流れを引き寄せようとしていた。実際、ルオトロ選手にも焦りはあったはずだ。
一本勝ちを量産してきた男が、組みでもテイクダウンでも主導権を握り切れない。その事実は、手塚選手の強さを物語っていた。
しかし、一瞬だった。手塚選手が放ったカーフキック。そのタイミングに合わせ、ルオトロ選手の右ストレートが完璧に交差して的確にクリーンヒット。被弾した手塚選手は前のめりに崩れ落ち、追撃のヒジが入ったところでレフェリーが試合を止めた。
ルオトロ選手にとっては、MMA転向後初のKO勝利。
一方で手塚選手にとっては、“世界との差”を突きつけられる敗戦となってしまった。




