デュ・プレシがウスマンを圧倒し再起戦で完勝 全ラウンドで集中力を切らさず“進化”を証明「タイトルに挑戦させてくれ」
【©️UFC】
ミドル級戦線に、前王者が完全復活を印象づける勝利を挙げた。
7月18日(日本時間19日)、米オクラホマ州オクラホマシティで開催された『UFC Fight Night: Du Plessis vs. Usman』のメインイベントで、元UFCミドル級王者ドリカス・デュ・プレシ選手(南アフリカ)が、元ウェルター級王者カマル・ウスマン選手(ナイジェリア)を相手に5ラウンドを戦い抜き、50-45、49-46、49-46のユナニマス判定で勝利。ハムザト・チマエフ戦で喫した完敗から約1年、見事な再起を果たし、タイトル戦線への返り咲きを強くアピールした。
デュ・プレシ選手にとって、この一戦は単なる復帰戦ではなかった。
昨年、チマエフ選手のレスリングとコントロールに封じ込められた屈辱を払拭し、自身が再び王座争いの中心に立つ資格を証明する舞台でもあった。
試合は序盤から互いに慎重な立ち上がりとなったが、デュ・プレシ選手は独特のリズムから繰り出す打撃とカーフキック、ジャブを巧みに散らしながら主導権を掌握。ウスマン選手が得意とするレスリングのプレッシャーにも冷静に対応し、自らのペースを最後まで崩さなかった。
大きな分岐点となったのは第2ラウンドだった。
デュ・プレシ選手は研究を重ねてきたという左ハイキックを何度も繰り出し、さらに左ヒザ蹴りや右オーバーハンドを立て続けにヒット。元王者ウスマン選手のバランスを崩し、打撃戦で明確な優位を築いた。ウスマン選手はタックルから流れを変えようと試みるものの、デュ・プレシ選手は優れたテイクダウンディフェンスとスクランブル能力でそれを許さず、レスリング勝負にも応じることなく試合をコントロールした。
この試合で際立ったのは、
5ラウンドを通して一瞬たりとも集中力を切らさなかった点だ。
チマエフ戦では終始受け身に回る時間帯が続いたが、この日は別人のようだった。
打撃では攻撃の手を緩めず、ディフェンスでは不用意なミスを徹底して排除。
ウスマン選手のフェイントやタックルに対しても冷静に反応し、攻守の判断を最後まで維持した。5ラウンドという長丁場で戦術を遂行し続けた精神力と集中力こそが、この完勝を支えた最大の勝因だったと言える。
第3ラウンド以降もデュ・プレシ選手の優位は揺るがない。左ミドルや左ハイキックでダメージを積み重ね、ウスマン選手がようやく成功させたテイクダウンでも、すぐに立ち上がって主導権を渡さなかった。
第4ラウンドには再び左ハイキックでウスマン選手をぐらつかせ、終盤に右ストレートを被弾しても決して下がらず応戦。最終ラウンドでは判定逆転を狙うウスマン選手の猛攻を冷静に受け流しながら距離を管理し、最後まで試合運びを崩さずフィニッシュまで戦い抜いた。
ジャッジ3者全員がデュ・プレシ選手を支持し、
スコアは50-45、49-46、49-46。内容、支配力ともに文句なしの判定勝利だった。
試合後、デュ・プレシ選手は「メインイベントはフィニッシュを狙う試合をするべきなんだ。ウスマン、対戦してくれてありがとう。この勢いでベルトを取り返す。左ハイは作戦だった。どうすれば止められないかを徹底的に研究してきた。チームには感謝している。過去最高の仕上がりだった。タイトルに挑戦させてくれ」と力強く宣言。
王座奪還への決意をあらためて口にした。
一方、敗れたウスマン選手も「デュ・プレシがタフなのは分かっていた。できることはやった。蹴りは効いた。でも年齢は気にしていない。まだ戦える。またジムに戻って、どんな相手とも戦う」と前を向いた。
チマエフ戦で突き付けられた課題を克服し、レスリング巧者のウスマン選手を相手に攻守両面で成長を証明したデュ・プレシ選手。5ラウンドを通して集中力を一切途切れさせない成熟した戦いぶりは、前王者が再び頂点を目指す資格を十分に示す内容だった。
今回の完勝によって、ミドル級タイトル挑戦への機運は一気に高まる。
【文:高須基一朗】


