山本アーセン選手、激闘を制し完全復活への第一歩 ヒロヤ選手との真っ向勝負で示した”闘う覚悟”
【©️RIZIN】
RIZINフライ級戦線において、一人のファイターが確かな存在感を示した。
7月18日、広島グリーンアリーナで開催された「RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA」。注目を集めたフライ級(57kg)5分3ラウンドで、山本アーセン選手(KRAZY BEE)がヒロヤ選手(JAPAN TOP TEAM)との激闘を
判定3-0で制し、約10カ月ぶりの復帰戦を白星で飾った。
スコアは29-28、29-28、30-27。
数字以上に内容の濃い一戦だった。
両者とも後がない状況で迎えた一戦は、打撃と組み技が
何度も交錯するハイレベルな攻防となり、
最後まで勝敗の行方が分からない熱戦を演じた。
▪️レスリング力の無尽蔵の体力を軸に主導権を掌握
試合は序盤からアーセン選手が持ち味を発揮した。
サウスポースタイルからプレッシャーをかけると、ヒロヤ選手の蹴りを巧みにキャッチして組みの展開へ持ち込み、ケージ際ではレスリングで優位に立つ。バックコントロールやクリンチワークを駆使し、相手に自由な攻撃を許さない試合運びを見せた。
一方のヒロヤ選手も、要所で鋭い右フックやヒジ、ヒザ蹴りを返して応戦。序盤から互いの持ち味がぶつかり合う緊迫した展開となった。
▪️第2ラウンドで試合の流れを引き寄せる
勝敗を左右したのは第2ラウンドだった。
アーセン選手は開始直後から積極的にタックルを仕掛け、テイクダウンに成功。
バックポジションを奪うなどグラウンドで主導権を握ると、
立ち際にも細かな打撃を重ねて着実にポイントを積み重ねる。
さらに左ストレートや左ミドル、グラウンドでのヒザ蹴りなど
攻撃のバリエーションも光り、ヒロヤ選手にプレッシャーを与え続けた。
ヒロヤ選手も粘り強く体勢を入れ替え、
ケージ際では互角以上の攻防を演じたものの、ラウンド全体では
アーセン選手が優勢を印象付けた。
▪️最終ラウンドは意地と意地がぶつかる打撃戦
迎えた最終ラウンド。
互いに疲労が色濃く見える中でも、一歩も引かない姿勢が会場を沸かせた。
ヒロヤ選手は終盤にパンチをまとめ、逆転を狙って前へ出続ける。一方のアーセン選手も得意のレスリングを軸に組みの展開へ持ち込みながら、三日月蹴りや右フック、ジャブを織り交ぜて応戦。残り1分を切ってからは両者が真っ向から拳を交える壮絶な打ち合いとなり、会場のボルテージは最高潮に達した。
最後まで攻め続けた両者に、大きな拍手が送られた。
「男らしく殴り合えた」──アーセン選手が語った復活への決意
ジャッジは3者とも山本アーセン選手を支持し、判定3-0で勝利。
試合後、マイクを握ったアーセン選手は、広島のファンへ感謝を伝えたうえで、率直な胸中を明かした。
「チームメイトと作ってきた動きは4分の1くらいしか出せなかった。でも男らしく殴り合えたから、悔いはないです」
さらに、自身が所属するKRAZY BEEをはじめ、Fight BaseやNO FACEなど国内トップレベルの練習環境に言及し、「東京に集まって一緒に強くなろう」と若いファイターへ呼びかけるなど、日本格闘技界全体の底上げへの思いも口にした。
フライ級戦線へ向けた大きな一勝
今回の勝利は、単なる1勝以上の意味を持つ。
約10カ月ぶりの実戦というブランクを感じさせない動きに加え、レスリングの強さ、フィジカル、そして打撃戦にも応じる覚悟を示したことで、アーセン選手が再びRIZINフライ級戦線の中心へ返り咲く可能性を強く印象付けた。
一方、敗れたヒロヤ選手も最後まで勝利を諦めず打ち合いに応じ、
勝利への貪欲なファイティングスピリットは
多くのRIZINファンの胸を打った。
【文:高須基一朗】

