元K-1王者リュウ・ツァーがUFC契約を発表 キックボクシングからMMAへ、中国格闘技界の新たな挑戦が始まる
元K-1 WORLD GPクルーザー級王者のリュウ・ツァー(29)が、世界最高峰の総合格闘技団体UFCとの契約を発表した。キックボクシングで数々のタイトルを獲得した重量級ファイターは、MMA転向後わずか4試合で世界最大の舞台への切符を手にした。「これからも世界の舞台で中国の力を示し続ける」と母国SNSで決意を表明。中国格闘技界が育てる新たなスター候補として、その挑戦に大きな注目が集まっている。
▪️キックボクシングで頂点を極め、世界最高峰UFCへ
リュウ・ツァーは、自身のSNSを通じてUFCとの契約締結を公表した。
K-1では第4代WORLD GPクルーザー級王者に輝いたほか、K-1 30周年記念無差別級トーナメント優勝、ISKA K-1ルール・インターコンチネンタル・スーパークルーザー級王座など、国内外で実績を積み重ねてきた。中国国内でも散打やキックボクシングで数々のタイトルを獲得しており、中国重量級を代表する存在として知られている。
プロキックボクシング戦績は18勝(14KO)3敗。高いKO率が示すように、一撃で試合を終わらせる爆発力が最大の武器だ。
▪️わずか4試合でUFC到達 期待される身体能力
2016年に散打を始めたリュウ・ツァーは、翌年に中国を代表するキックボクサー、ウェイ・ルイの下で経験を積み、2018年にプロデビュー。2023年にはK-1無差別級トーナメントを制し、翌2024年にはシナ・カリミアンをKOで下してK-1クルーザー級王座を獲得した。
その一方で2023年からはMMAにも挑戦。現在までの戦績は4戦3勝1敗で、勝利はいずれもKO・TKOによるフィニッシュとなっている。
身長195センチの体格を生かし、MMAではライトヘビー級(205ポンド)で戦う。K-1時代から磨き上げたカーフキックに加え、散打仕込みの組み技も持ち味で、テイクダウンディフェンスや内股による投げなど、打撃だけではない総合力も見せ始めている。
一方で、MMAファイターとしては課題も残る。
2024年10月に開催された『Happy Elephant MMA Champions League』では、当時無敗だったイヴァン・ジニディスキイにTKO負け。打撃からテイクダウンを許す展開となり、バックマウントからパウンドを浴びて敗戦を喫した。
グラウンド局面での対応力やケージ際での攻防は、今後UFCで勝ち抜くために磨くべきポイントとみられる。それでも、打撃主体の選手が短期間でMMAへ適応を進めていることは評価されており、成長の余地は決して小さくない。
▪️ 中国格闘技界が期待する「次の成功例」となるか
近年のMMAでは、キックボクシングや立ち技競技から転向し成功を収める選手が増えている。
元GLORY王者のアレックス・ペレイラ、同じく立ち技で名を馳せたイスラエル・アデサニヤ、散打出身のムスリム・サリコフらはいずれも、打撃の強みを生かしながらレスリングや寝技を磨き、世界のトップ戦線で実績を残してきた。
リュウ・ツァーも同様のキャリアを歩めるかは、今後の競技力向上にかかっている。
UFCは2026年8月29日に中国・上海で『UFCファイトナイト上海』を開催する予定で、中国市場への投資をさらに強める姿勢を示している。中国出身の大型ファイターとして期待を集めるリュウ・ツァーが、その大会でUFCデビューを飾ることになれば、中国格闘技界にとって象徴的な一戦となる可能性もある。

