吉村紗也香選手が氷上のチェス カーリング競技から現役引退を発表 5度目の挑戦で五輪出場の夢を実現カーリング界に刻んだ軌跡

2026.6.24

【©️フォルティウス】

カーリング女子日本代表として2026年ミラノ・コルティナ五輪に出場したフォルティウスのスキップ 吉村紗也香選手(34)が6月24日、現役引退を発表。


 

カーリングは「氷上のチェス」とも称される競技だ。

わずかな角度や力加減、そして一投ごとの判断が勝敗を左右する。その奥深い駆け引きの世界で、吉村選手は長年にわたり日本トップクラスの選手として活躍してきた。

現役生活25年。引退発表では「カーリングが大好きだからこそ、ここまで挑戦を続けてくることができました」と競技への変わらぬ愛情を語った。

吉村選手の競技人生は、まさに挑戦の連続だった。

オリンピック出場を目標に掲げてから16年。同世代の藤沢五月選手らと日本カーリング界を牽引しながらも、五輪への道は決して平坦ではなかった。あと一歩届かなかった大会も少なくなく、日本代表争いの厳しさを幾度となく経験してきた。

それでも歩みを止めることはなかった。

2022年北京五輪代表を逃した後には第1子を出産。

育児と仕事、そして競技生活を両立させながら再びトップレベルの舞台へ戻ってきた。

カーリングは体力だけでなく、高度な戦術理解やチームワーク、経験値が求められる競技でもある。年齢や環境の変化を乗り越えながら競技を続けることは容易ではないが、吉村選手はその難しさと向き合い続けた。

そして昨年9月のミラノ・コルティナ五輪日本代表候補決定戦では、五輪で2大会連続メダルを獲得しているロコ・ソラーレを破り、日本代表の座を獲得。さらに世界最終予選を突破し、5度目の五輪挑戦で悲願のオリンピック出場を実現させた。

結果だけを見れば、本大会は2勝7敗で1次リーグ敗退となった。しかし、カーリングという競技の価値は勝敗だけでは測れない。

長年積み重ねてきた経験、仲間との信頼関係、そして何度壁にぶつかっても挑戦を続ける姿勢。その過程こそが多くのファンの心を動かしてきた。

引退にあたり吉村選手は、家族やスポンサー、ファン、そしてチームメートへの感謝を繰り返し語った。

特に「子ども、家族との時間を大切にしたい」という思いが大きくなったことが、決断の背景にあったことも明かしている。

今後は選手としてリンクに立つことはなくなるが、フォルティウスの一員として活動を継続。普及活動や育成、地域貢献、広報活動を通じてカーリングの魅力を伝えていくという。