17歳の壁を越えたRISEフライ級1位の棚澤大空選手がONE初陣で示した適応力
【©️ONE Championship 】
日本の立ち技格闘技界で次代を担う逸材として注目を集めるRISEフライ級1位の棚澤大空選手が、世界最大級の格闘技団体ONE Championshipの舞台で白星スタートを切った。
6月12日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Friday Fights 158』。ストロー級キックボクシングマッチに出場した棚澤選手は、ウズベキスタンの新鋭アドハム・ルジエフ選手との激戦を2-1のスプリット判定で制し、国際舞台での第一歩を踏み出した。
▪️日本でしっかりと積み上げた実績を武器に世界へ
棚澤選手は2025年にDEEP☆KICK-53kg王座を獲得すると、「RUF presents 200万総取りトーナメント GACHI!! スーパーフライ級」を制覇。さらにRISEフライ級王座決定トーナメントでは元王者・数島大陸選手を破るなど、国内軽量級戦線で急速に頭角を現してきた。
デビュー以来無敗を続けていたが、2026年2月のRISEフライ級王座決定戦で松本天志選手に敗れ、初黒星を経験。その敗戦を経て迎えた今回のONE参戦は、再起戦であると同時に世界市場への挑戦でもあった。
近年のONE Championshipは、日本、タイ、中国、中央アジアなどアジア各国の有望選手が集結する巨大プラットフォームへと成長している。国内タイトル獲得だけでは評価されない時代において、若手選手にとってONEで結果を残すことはキャリア形成における重要な指標となりつつある。
▪️17歳同士の対決が映し出した世界の競争環境
対するルジエフ選手も17歳ながら高い評価を受ける新鋭だ。
2026年3月のONE初参戦ではTEAM TEPPENの奥村将真選手と互角の攻防を演じており、
中央アジア勢らしいフィジカルと打ち合いの強さを武器としている。
この日の試合でも、ルジエフ選手は棚澤選手の前進に合わせて鋭い右ストレートを差し込み、攻撃終わりを狙うカウンター戦術を徹底。
若さゆえの勢いだけではなく、極めて戦術的な組み立てを見せた。
棚澤選手のセコンドには那須川龍心選手が入り、
日本トップチームの総力戦とも言える体制で試合に臨んだ。
▪️鍵となった“当てさせて返す”高度な駆け引き
試合序盤、棚澤選手は不用意な打ち合いを避けながら距離を管理。
イン・アンド・アウトを繰り返し、相手に攻撃を出させてから反撃するスタイルでペースを構築した。
右ロー、右ミドル、右ストレートを軸に試合を組み立て、ルジエフ選手の強打を空転させる場面も目立つ。
一方、第2ラウンドではルジエフ選手のヒットも増加。連打からのヒザ蹴りや左ミドルが機能し、試合の流れは一進一退となった。
特にルジエフ選手は、棚澤選手のバックステップに対してパンチではなく蹴りを返す対応へと修正。試合中に戦術をアップデートする適応力を示し、世界レベルの競争の厳しさを印象付けた。
勝敗を左右した第3ラウンド、棚澤選手は自ら前へ出る選択を取った。
ジャブから右ハイ、右ミドル、右ローと多彩な蹴りを散らしながら圧力を強化。さらに右ストレート、バックキック、左フックと手数を増やし、主導権を握りにいく。
ルジエフ選手も応戦したが、終盤は棚澤選手の回転力と積極性が上回った。
判定はジャッジによって評価が分かれる接戦となったものの、最終的に僅差であったが2-1で棚澤選手が勝利。内容的には世界の舞台で十分に通用することを証明する一戦となった。
近年、日本の軽量級キックボクシングは技術水準の高さで国際的な評価を受けている。しかし、ONE Championshipではタイ勢や中央アジア勢、中国勢など、多様なスタイルを持つ選手との戦いが待ち受ける。
今回の勝利は単なるONE初勝利ではない。
18歳の棚澤選手が、世界市場で生き残るために必要な適応力と修正能力を確実に示した点に大きな価値がある。
【文:高須基一朗】


