崖っぷちのスパーズ 逆境を乗り越えられるか 前日会見でウェンバイヤマ選手とフォックス選手が示した反撃への覚悟
【©️San Antonio Spurs 】
NBAファイナルは大きな分岐点を迎えている。
第4戦で最大29点差のリードを守り切れず
逆転負けを喫したサンアントニオ・スパーズは、
シリーズ成績を1勝3敗とされ、後がない状況で第5戦に臨む。
敗戦直後は選手たちにもショックの色が濃く残っていたが、ホームで迎える第5戦を前にした現地6月12日の会見では、チーム全体が前を向く姿勢を強調した。若きエースのビクター・ウェンバイヤマ選手を中心に成長を続けてきたスパーズは、今季も幾度となく苦境を乗り越えてきた。その経験を糧に、最後まで戦い抜く覚悟を示している。
ミッチ・ジョンソン・ヘッドコーチは、外部からの評価や雑音に惑わされることなく、自分たちのバスケットを貫く重要性を強調した。
「大切なのはチームの結束力だ。我々はシーズンを通じて多くの予想を覆しながらここまで勝ち上がってきた。苦しい敗戦も、この舞台で戦う上では避けて通れない経験の一つだ」
また指揮官は、司令塔フォックス選手への信頼を改めて口にした。
勝負どころでボールを託される存在であり続けるとし、その経験と実力に期待を寄せている。
フォックス選手もまた、シリーズの現状を冷静に受け止めている。
「4試合すべてで先に主導権を握ったのは僕たちだった。だからこそ、リードを奪った後の戦い方が重要になる」
対戦相手のニックスが終盤の勝負強さを発揮している一方で、スパーズも各試合で勝機をつかむ場面を作り出してきた。フォックス選手は、接戦での遂行力を高めることこそが反撃への鍵になるとの認識を示した。
さらに、1勝3敗という厳しい状況についても悲観はしていない。
「簡単ではないが、不可能ではない。まずは次の1勝だけを考えている。そこから流れを変えていきたい」
第4戦終盤のプレー選択には大きな注目が集まったが、
フォックス選手は過去を引きずるつもりはない。
「起きてしまったことは変えられない。ミスから学び、次に進むだけだ」
一方、チームの中心として期待を背負うウェンバイヤマ選手も、
精神面での立て直しが問われていた。第4戦後にはアリーナを後にする際、
移動バスから宿泊先のホテルへ入る際に観客から卵を投げつけられる出来事もあったが、
本人は至って冷静だった。
「気にしていない。映像を見て良い気分にはならないけど、それで動揺したりはしない」
さらに、第4戦の痛恨の逆転負けからどのように気持ちを切り替えたのか問われると、
率直な胸の内を明かした。
「あの第4戦から意識を切り替えるのは、これまでのどの試合よりも難しかった。でも今はもう乗り越えた。プレーオフで後悔している時間はない」
終盤に見られた疲労についても言及した。
「確かに疲れはあった。でもプレーオフでは誰もが同じように疲れている。それを言い訳にはできない。中2日の試合間隔もあるし、もう影響はないよ」
スパーズが苦戦を強いられるたびに指摘されるのが経験不足だ。
しかしウェンバイヤマ選手は、その批判さえも成長の糧に変えようとしている。
「このファイナルも含めて、プレーオフを通して僕たちはステップを飛ばすことなく進んできた。ありとあらゆるミスを犯し、そこから学んできた。シリーズが終わるまでにできる限り多くを学び取り、それをコートで表現したい」
そして最後に、若きエースは力強く言い切った。
「僕たちは大丈夫だ。チーム全員が『やるんだ』という気持ちを持っている。先のことを考えてエネルギーを無駄にするつもりはない。目の前の一戦に集中して戦うよ」
スパーズに残された道は、一戦必勝のみ。しかし、若いチームだからこそ持つ成長力と勢いは失われていない。ウェンバイヤマ選手とフォックス選手を中心とする新生スパーズが、ホームの大声援を背にシリーズの流れを引き戻せるか。
第5戦は、このチームの真価が問われる一戦となる。

