祖父江慎さん死去 66歳 革新的装丁で出版界に足跡「東京美女」シリーズなど多彩な仕事

2026.4.27

書籍の常識を覆す斬新な装丁とデザインで知られ、

日本の出版界に大きな影響を与えたブックデザイナーの

祖父江慎さんが、2026年3月15日に東京都内の自宅で死去した。66歳だった。

愛知県出身。葬儀は家族葬で執り行われた。


工作舎勤務を経て、1990年にデザイン事務所コズフィッシュを設立。

小説、漫画、写真集、絵本など幅広いジャンルの装丁・デザインを手がけ、唯一無二の表現で読者に強い印象を残した。吉田戦車さんの『伝染るんです。』では、あえて乱丁や落丁のような仕様を取り入れる大胆な手法で注目を集め、ブックデザインの概念を拡張した。

また、さくらももこさんの著作や、夏目漱石の『こころ』の記念刊行など、時代やジャンルを問わず数多くの作品に関わり、出版文化に深く貢献した。

写真集やグラビアの分野でもその手腕は発揮された。

当社モッツ出版の創業者の高須基仁がプロデュースした写真集のデザインを多数、

手がけたほか、毎日新聞社発行の週刊誌『サンデー毎日』において、高須基仁がプロデュースする人気グラビア企画「東京の街と女優」をテーマにした『東京美女』シリーズでは、約50回にわたる巻頭グラビアのデザインを一貫して担当。

誌面全体の世界観を構築し、企画の魅力を視覚的に引き上げた。

被写体の個性や都市の空気感を繊細に表現する一方で、遊び心と実験性を兼ね備えたデザインは、写真集・雑誌の領域でも高い評価を獲得。作品ごとに異なるアプローチを見せる柔軟性は、多くのクリエイターに影響を与えた。

既成概念にとらわれない発想で「本」というメディアの可能性を広げ続けた祖父江さん。その功績と存在感は、今後も長く語り継がれていく。