アジア大会で初「バーチャルテコンドー」誕生 体格・年齢・性別を超えた新競技、女子が男子を破ることも
愛知・名古屋アジア大会で、これまでの格闘技とは一線を画す新たな競技が登場した。
2日に初めて実施されたのが「バーチャルテコンドー」。
VRゴーグルやセンサーを装着した選手が、仮想空間のアバターを操作し、実際には接触しない状態でテコンドーの技を競い合う。
▪️「接触しない格闘技」という新発想
会場では、選手がそれぞれ別のコートに入り、誰もいない空間へ向かって蹴りを繰り出す。
一見すると不思議な光景だが、スクリーンに映し出されるアバターは選手の動きと連動。仮想空間では激しい攻防が展開され、蹴りのスピードや正確性などが得点につながる。
最大の特徴は、従来のテコンドーにある体格差や直接的な接触を競技から切り離している点だ。
アバターの体格は同じ条件に設定されるため、身長や体重だけでなく、年齢や性別の違いを超えた対戦も可能になる。
▪️女性選手が男性を破ることも
バーチャルテコンドーでは、単純なパワーだけが勝敗を左右するわけではない。
蹴りの加速度や技を当てる正確性などが重要になるため、男女が対戦した場合でも女性選手が男性選手を上回るケースがあるという。
日本代表の中島美鳳選手(尚志塾)は、この競技の魅力について「違いを超えて対等になれる点」を挙げる。
格闘技に興味があっても、ケガへの不安から実際の競技を始めることにためらいを感じる人にとって、仮想空間を利用した競技は新たな入り口になる可能性がある。
▪️日本代表同士の対戦も実現
1回戦では、いきなり日本代表同士の男女対決が実現。
中島選手は鈴木颯選手(新宿ク)と対戦し、惜しくも敗れた。
その鈴木選手も準々決勝で敗退し、初代大会の優勝はフィリピン選手が手にした。
競技としては技術面や演出面など、今後さらに発展していく余地も残されている。
それでも、実際の身体接触を伴う格闘技とは異なる形で「スポーツをする」「対戦する」という体験を成立させた意味は大きい。
▪️年齢や性別を越える「新しいスポーツ」の可能性
バーチャルテコンドーが示したのは、単なるテコンドーのデジタル化だけではない。
身体的な条件を一定程度そろえ、センサーとVR技術によって選手の動きを競技へ変換することで、これまで同じ舞台に立つことが難しかった人同士が対戦できる可能性が生まれる。
さらに、ケガへの不安が比較的小さい環境で格闘技を体験できることも、この競技ならではの特徴だ。
eスポーツとも異なり、実際に選手自身が身体を動かし、その動きをリアルタイムで仮想空間へ反映させる。
「スポーツ」と「デジタル」の境界線が変わりつつある中、今回のアジア大会は、その新たな可能性を世界に示す舞台にもなった。
今後、競技ルールや観戦方法、技術がさらに進化すれば、バーチャルテコンドーがどこまでスポーツとして定着していくのか。


