“PFP最強”クロフォード氏 日本格闘技ビジネス参入へ 松田元氏と合弁会社設立 平本蓮選手も同席「アジア版TKO」構想の全貌

2026.5.14

米ボクシング界の“生ける伝説”が、

日本の格闘技ビジネスに本格参入へ

abc株式会社の代表取締役社長・松田元氏は14日、都内で記者会見を開き、昨年12月に現役引退を表明した元世界4階級制覇王者テレンス・クロフォード氏と、合弁会社「Crawford Production Japan(仮称)」設立に向けた基本合意に達したことを発表した。


 

クロフォード氏は、米老舗専門誌『ザ・リング』が選定するパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで世界1位に君臨した、ボクシング界を代表するスターの一人。井上尚弥選手や中谷潤人選手ら、日本を代表するトップボクサーたちからも絶大なリスペクトを集める存在だ。

いや、ボクシング界に限らず、“世界中の格闘家たちが憧れるファイター”と表現した方が近いのかもしれない。

そのクロフォード氏を日本プロジェクトへ引き込んだ人物こそ、松田社長だった。

今回の構想でクロフォード氏は、単なる広告塔としてではなく、共同設立者兼株主として経営にも長期的に関与していく方針だという。

会見には、RIZINで高い人気を誇る平本蓮選手も同席。


 

 

“拳による調印式”という異例の演出も披露され、単なるビジネス会見を超えた

「新時代のコンバットエンターテインメント」の幕開けを印象づけた。

構想の中核にあるのは、格闘技を軸としたIP(知的財産)ビジネスの巨大化だ。

関係者によれば、同社は単なる興行会社ではなく、映像配信、ライセンス管理、ファッション、音楽、不動産、インフルエンサービジネスまでを横断的に統合する新たなプラットフォームを目指しているという。

掲げるテーマは、「コンバットエンターテインメント3.0」。

従来の“試合興行”という枠組みを超え、格闘家そのものをIP化し、

多面的にマネタイズするビジネスモデルを志向している。

 

その文脈で、会見中にたびたび飛び出したのが「TKO」というワードだった。

TKOグループとは、世界最大の総合格闘技団体UFCと、米プロレス団体WWEを傘下に持つ世界的スポーツエンターテインメント企業。2023年、米大手エンターテインメント企業エンデバー社主導のもとで誕生し、現在は世界の格闘技・スポーツ興行市場において圧倒的な影響力を持つ。

TKOはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しており、スポーツ業界でも高い企業価値を持っている事でも有名。

特にUFCの収益力が市場から高く評価されている。

UFCが持つ“リアルファイト”と、WWEが築き上げてきた“ストーリーテリング型エンターテインメント”を融合させたTKOグループは、まさに現代スポーツビジネスの象徴とも言える存在だ。

 

松田社長が会見で語った「アジアにおけるTKOのような立場を目指したい」という発言は、単なる比喩ではない。

Netflix、DAZN、Paramountなど海外配信企業との連携可能性にも言及し、

日本の格闘技市場を“世界標準のスポーツビジネス”へ再構築する青写真を示した。

その中で、特に業界関係者の注目を集めたのが、

“ズッファ・ボクシング”への言及だった。

ズッファ社は、UFCを世界最大の格闘技団体へ成長させた立役者として知られる企業。近年はボクシング市場への本格参入構想がたびたび取り沙汰されており、水面下で新たなボクシングプロジェクトを模索しているとも言われている。

会見では、「ズッファ・ボクシングをプロデュースするという認識」「デイナ・ホワイト氏との接点」など、極めて踏み込んだ発言も飛び出した。

もちろん、現時点で正式提携が決定しているわけではない。

しかし、クロフォード氏が持つ米ボクシング界との強固なパイプ、UFC周辺とのネットワーク、そして日本側の配信・興行基盤が重なったことで、“UFC流ボクシングビジネス”がアジア市場へ本格上陸する可能性は、一気に現実味を帯び始めている。

特に注目されるのが、日本国内におけるPPV(ペイ・パー・ビュー)市場改革だ。

会見では、従来型のテレビ放送モデルに対する問題提起も行われ、「ライブ体験」を軸としたアメリカ型スポーツビジネスへの転換が必要だとの認識が共有。

Lemino、U-NEXT、ABEMAなど国内配信プラットフォームの名前も挙がり、格闘技コンテンツの“プレミア化”を推進する構想も示唆された。

さらに、平本選手についても、単なるファイターではなく

「IP」としての価値が強調された。

SNS時代においては、ファイトマネーのみならず、ファンエンゲージメント、ブランド価値、映像価値を含めた総合プロデュースが重要になるという考え方だ。

会見では「20ミリオン級ファイター」という表現も飛び出し、日本発のスター選手をグローバル市場へ輸出する構想も語られた。

 


【文:高須基一朗】