RISE中村寛選手「後楽園で出稽古する感覚」 緊急参戦の経緯と世界最強への覚悟「僕が一肌脱いで話が終わるなら、戦いましょうって決めました」
【©️RISE】
RISE後楽園ホールのリングに再び“中村寛”という男の熱量が帰ってくる。
5月16日に東京・後楽園ホールで開催される『RISE198』。本来メインイベントに予定されていた常陸飛雄馬選手の負傷欠場により、大会は突然の危機に直面した。そんな中、わずか3週間前という異例のタイミングで白羽の矢が立ったのが、RISE WORLD SERIES 2025 -61.5kgトーナメント王者であり、第8代ライト級王者の中村寛選手だった。
対戦相手は、前ラジャダムナンスタジアム認定スーパー・フェザー級王者のガイパー・ウォーサンプラパイ選手。急転直下で決まったビッグマッチにもかかわらず、中村選手はどこか飄々としている。
「出稽古に行く感覚ですよね。スパーリングをしに行く場所が、たまたまお客さんを入れた後楽園ホールになったって感じです」
そう言って笑う姿に、現在の中村選手というファイターの“自然体”が凝縮されていた。
■「忙しそうに見えるのは、SNSを始めたから」
主催者インタビュー当日・試合前だからといって、過剰に張り詰めた空気はない。
「普段から節制しているので、条件さえ合えば大体は試合を受けています。昔は違いましたけど、今はいつでもいける感じですね」
近年はタイや東京、名古屋など各地へ足を運び、積極的に出稽古を重ねている印象も強い。しかし本人は、「昔から変わっていない」と語る。
「最近になってSNSに載せ始めただけなんですよ。だから“忙しそう”に見えるだけで、前から同じように練習していました」
今年からはInstagramなどを通じ、自らの“生き様”を発信することも意識しているという。
「正直、昔はSNSの意味が分からなかったんですよ。でも人気商売である以上、超一流になるなら必要だなと思った。今年は反応を見ながら頑張ってみようかなって」
ファンとの距離感も、少しずつ変わり始めている。
「みんなと一緒に自分のアカウントを作っていく感覚ですね。コメントを見ると『こういう風に見えているんだ』って発見もあります」
■RISEが困っているなら自分が出る!
今大会のオファーを受けた理由について問われると、中村選手は団体への思いを率直に口にした。
「メインが消滅して、団体としても真っ白になっていたと思うんですよ。タイから来てくれる選手にも失礼になるし、RWSとRISEの関係性もある。だから僕が必要とされているなら出ようと思いました」
発表時点で試合まで残り3週間を切っていたという異例の状況。
それでも迷いはなかった。
「“相手誰ですか?”って聞いたら、“ラジャの王者です”って言われて、『おー、そうなんですね』って(笑)。でも僕が一肌脱いで話が終わるなら、戦いましょうって決めました」
その口調は軽い。しかし、その裏には団体を背負う王者としての責任感がにじむ。
■後楽園で、この距離感はレア
後楽園ホールでの試合は約3年ぶりとなる。
普段は大規模会場で戦うことの多い中村選手だが、今回は“近さ”に特別な価値を見出している。
「僕みたいな選手を、あの距離感で見られる機会ってあまりないんですよ。遠目では分からない攻防や技術、覇気、空気感まで体感できると思う」
ファンに向けては、“応援の氣”を送ってほしいとも語った。
「その氣を背負って、ラジャの元王者を潰しにいきます」
■「ロッタン選手みたいなタイプ。でも油断はない」
対戦相手のガイパー選手については、「強い」と即答した。
「チャンヒョン選手とかロッタン選手みたいなタイプですよね。前に出てきて、ガチンコで打ち合う感じ。戦い方とか、前に出るスタンスとか。だからこそ全く油断はしていないです」
一方で、その“噛み合い”に大きな期待も感じているようだ。
インタビュー終盤、中村選手は今後の可能性についても言及。
肘ありルールでのRWS参戦にも前向きな姿勢を見せた。
「RISEのチャンピオンとしてキックを貫くことにこだわってきたんですけど、考え方も少しずつ変わってきています。必要とされるなら、RWSも出てみたいですね」
ただし、“ベルト”への執着は薄い。
「ベルトはキャリーバッグに付いてそうで、ビジュアル的にはそんなに好きじゃないですけど(笑)」
また、過去に敗れたチャド・コリンズ選手へのリベンジにも言及した。
「チャド選手が“マイフレンド”って言ってくれたので。個人的にはリベンジしたい気持ちがあります」
最後は、ファンへのメッセージで締めくくった。
「今年から“世界最強の中村寛選手”っていうものを、みんなの力と一緒に証明していきたいと思っています」
急遽決まった後楽園のメインイベント。
しかし、そのリングに立つのは単なる“代役”では無く、RISEという舞台を背負い、“世界最強”を証明しようとする王者の覚悟がある。
【文/構成:高須基一朗】



