ONE FF177=TEAM TEPPEN山﨑一央選手が三日月蹴りで2度のダウン奪取!判定3-0で再起 極真空手仕込みの打撃技術と左右の構えを使い分ける攻撃でタイ人選手を攻略

2026.11.6
【©️ONE Championship 】

2026年11月6日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された「ONE Friday Fights 177 & The Inner Circle」。フライ級キックボクシングに出場したTEAM TEPPENの山﨑一央選手が、タイのプン・スア・ムアン選手から2度のダウンを奪い、判定3-0で勝利した。

8月のベン・ロングスタッフ選手との一戦では、初回に3度のダウンを喫してTKO負け。今回は敗戦からの再起を懸けた重要な一戦だったが、山﨑選手は得意の三日月蹴りを効果的に使い、試合を通じて攻撃の主導権を握った。最終ラウンドにも腹部への強烈な蹴りで2度目のダウンを奪い、復活を印象付けた。

今回の勝利は、単にダウンを2度奪ったという結果だけではない。相手の構えや前進に応じて左右のスタンスを切り替え、ミドルキック、ハイキック、カーフキック、パンチ、ヒザ蹴りを連動させるなど、攻撃の組み立てにも見応えがあった。

 


▪️極真空手を原点にプロのキャリアを構築 積み上げる技術の向上


山﨑一央選手は極真空手をバックボーンに持ち、2023年9月に北海道の「BOUT」でプロデビュー。その後、RISEやKROSS×OVERなど国内のキックボクシング大会に参戦し、実戦経験を重ねてきた。

2025年10月にONE Friday Fightsへ初出場。モロッコのアブデハミド・タルビ選手との一戦では、互いにダウンを奪い合う激しい展開を制し、判定勝ちを収めた。

2戦目ではカーボベルデのディオゴ・ミゲル・シルバ選手に判定負けを喫したものの、3戦目のホン・チェンジー選手との試合では、得意の三日月蹴りによるKO勝利を記録。さらに4戦目では中国のチェン・ジャーイー選手を判定で下し、ONEで3勝1敗と勝ち越していた。

しかし、2026年8月のベン・ロングスタッフ選手との一戦では状況が一変する。相手の攻撃を受けて初回に3度のダウンを喫し、TKO負け。今回は敗戦からどのように立て直したのかが問われる再起戦となった。

格闘技では、敗戦後にどのような修正を施し、次の試合でその成果を示せるかが重要になる。特にKO負けからの再起戦では、攻撃力だけでなく、相手のプレッシャーに対する防御、距離の管理、被弾後の対応なども問われる。

山﨑選手にとって今回の試合は、再び勝利を手にするだけでなく、自身の持ち味である打撃技術を国際舞台で発揮できるかを確認する機会でもあった。

 


▪️1ラウンドから三日月蹴りが炸裂 上下の蹴り分けで相手の防御を崩す


対戦相手のプン・スア・ムアン選手は、タイの路上ボクシングにも出場していると紹介されたファイターで、ONE初参戦。試合開始直後から積極的な攻撃を見せた。

1ラウンド、山﨑選手は右ミドルハイを2発放ち、まずは蹴りの距離を確認する。サウスポーのプン選手も左ミドルで応戦し、山﨑選手の左ミドルにワンツーを合わせるなど、前に出る姿勢を見せた。

山﨑選手は相手の反応を見ながら左の三日月蹴りを繰り出す。さらに左ミドルハイを見せた直後、同じ左足で三日月蹴りを突き刺した。

ここで注目したいのが、蹴りの軌道と攻撃する高さの使い分けだ。

ミドルキックやハイキックは、相手にとって軌道を予測してガードを構えることが重要になる。一方、三日月蹴りは腹部に向かって直線的に突き刺す性質があり、横方向から飛んでくる通常のミドルキックとは防御の対応が異なる。

山﨑選手は上段への蹴りを意識させた直後に腹部を狙うことで、プン選手の防御を揺さぶった。

セコンドから「効いた」との声が飛ぶと、山﨑選手は再び右の三日月蹴りを放つ。プン選手は一瞬遅れてダウン。山﨑選手が先制のダウンを奪った。

再開後も山﨑選手は攻撃の手を緩めない。右三日月蹴りを連続して狙い、プン選手が左ミドルを返してくると、左ミドルから右フック、さらに右三日月蹴りへとつなげた。

プン選手のワンツーはしっかりとブロックし、飛び込んでのヒザ蹴りも繰り出す。右三日月蹴りから右ハイキックへと攻撃を変化させ、相手に防御の選択を迫った。

三日月蹴りは、単発でダメージを与えるだけでなく、繰り返し狙うことで相手の腹部への警戒を高める効果もある。ボディを守ろうとすれば顔面への攻撃に対応しにくくなり、上段を意識すれば腹部への蹴りが入りやすくなる。

山﨑選手はこうした上下の攻撃を組み合わせ、1ラウンドから試合の流れを引き寄せた。

 


▪️2ラウンドはプン選手がパンチで反撃 山﨑選手も打ち合いに応じて主導権を維持


2ラウンドに入ると、プン選手は左ミドルからワンツーを繰り出し、前進する姿勢を強めた。

山﨑選手は右三日月蹴りと右ミドルで迎え撃つ。プン選手も右フックを振り、パンチを主体とした反撃を試みた。

プン選手は山﨑選手の蹴りをキャッチしてから右ストレートを放つ場面もあったが、この行為についてレフェリーから注意を受けた。

その後もプン選手は左右のフックを連続して繰り出し、山﨑選手も打ち合いに応じる。プン選手の左が先に当たる場面もあったが、山﨑選手も右ストレート、左フックを返して攻撃をつなげた。

山﨑選手の右ハイキックがヒットしたかに見えた場面でも、プン選手は前進してパンチを振るう。山﨑選手は距離を取りながら右ストレートを当て、左フックから右ミドルへと攻撃を展開した。

プン選手が再び蹴りをキャッチすると、今度はイエローカードが提示された。ONEでは反則行為などに対してカードが提示される場合があり、イエローカードにはファイトマネーの減額が伴う。

山﨑選手は右ミドルから右ハイキックへとつなぎ、最後まで攻撃の選択肢を維持。プン選手もパンチで前進を続けたが、山﨑選手は相手の圧力に対応しながらラウンドを終えた。

このラウンドでは、1ラウンドのように蹴りだけで試合を組み立てるのではなく、相手のパンチに対して自らも打撃を返す対応力が見られた。

KO負けからの再起戦という状況を考えれば、相手が前進してくる場面でどのように対応するかも重要なポイントだった。山﨑選手は被弾を警戒しながらも攻撃を返し、試合の流れを相手に渡さなかった。

 


▪️最終ラウンドは左右の構えを変更 2度目の三日月蹴りでダウンを奪取


最終3ラウンド、プン選手は前に出てパンチを狙う。山﨑選手はサウスポーに構えを変え、右カーフキックを放つなど、スタンスを切り替えながら対応した。

プン選手が打ち合いに来ると、山﨑選手も右ストレート、左フックをヒットさせる。さらに右ボディから左フック、右三日月蹴りへとつなぎ、腹部への攻撃を継続した。

左ミドルから左ボディへと攻撃を散らし、プン選手が前進するタイミングにはボディへのヒザ蹴りを連打。サウスポーになると左フック、左ミドルハイから右ストレートを繰り出した。

再びオーソドックスに戻ると右ヒザを突き刺し、プン選手のワンツーには右ハイキックを合わせる。相手の左ストレートにも右ハイを繰り出すなど、構えと攻撃の角度を変えながら試合を進めた。

キックボクシングにおいて、左右の構えを切り替えるスイッチは、攻撃の角度や距離を変えるための重要な技術の一つだ。

ただし、単に構えを変更するだけでは、攻撃後のバランスや防御に隙が生まれる可能性もある。構えを変えた後も攻撃を継続し、相手の反応に対応できる技術が必要となる。

山﨑選手はこの試合で、スタンスの変更を交えながらパンチと蹴りを組み合わせ、プン選手に攻撃の的を絞らせなかった。

そして試合終盤、山﨑選手の左三日月蹴りがプン選手の腹部を捉える。プン選手は再びダウン。立ち上がったところで試合終了のゴングが鳴った。

判定は3-0。2度のダウンを奪った山﨑選手が、明確な勝利を手にした。

 


▪️再起戦で示した攻撃の多様性 次戦へ向けて存在感を取り戻す


今回の試合で最も印象的だったのは、山﨑選手が三日月蹴りを単なる決め技としてではなく、試合全体を組み立てる攻撃の軸として活用したことだ。

ミドルハイで上段を意識させ、三日月蹴りで腹部を狙う。相手が前進すればパンチやヒザで迎え撃ち、距離が開けばハイキックやミドルで攻撃する。さらに左右の構えを変更することで、攻撃の角度にも変化を加えた。

極真空手を原点とする蹴りの技術を、

キックボクシングの間合いに試合展開に合わせて、微妙な距離の変化を加えて

組み立てている点が素晴らしかった。