NBA=ペイサーズがWWE、AAA、キャデラックF1と異色コラボ!メキシコ市場を狙うスポーツビジネスの新戦略
NBAのインディアナ・ペイサーズが世界的なプロレス団体WWE、メキシコのルチャリブレ団体AAA、そしてF1に2026年から参戦したキャデラックF1チームとの異色のコラボレーションを展開する。
その舞台となるのは、11月7日(現地時間)にメキシコシティで開催されるデンバー・ナゲッツとのNBA公式戦だ。
今回の取り組みは、単なる試合開催に合わせた宣伝活動ではない。バスケットボールに加え、プロレス、モータースポーツ、ストリートファッションなど、異なる分野の人気コンテンツを組み合わせ、メキシコでの新たなファン獲得を目指す戦略だ。
▪️WWEとAAAがペイサーズとタッグ 限定コラボ商品も展開
今回の企画で大きな注目を集めるのが、
WWEとメキシコのルチャリブレ団体AAAとのコラボレーションだ。
ペイサーズのデザインチームとWWEのクリエイティブチームが共同で限定Tシャツを制作。
AAAのメガ王者エル・グランデ・アメリカーノを起用し、
ペイサーズの選手や一部のWWE所属タレントに向けた特別なコレクションを用意する。
さらに、メキシコシティのスニーカー・ストリートウェアショップ「LUST」では、ペイサーズのショップインショップを展開。WWE関連の限定商品を販売するほか、WWEのタレントや親会社TKOの幹部が参加するプライベートイベントも予定されている。
NBAとプロレスという異なる競技のファン層を結びつけることで、双方にとって新たなブランド接点を生み出す狙いがある。
▪️ハリバートンもWWEファン!過去の交流が国際企画に発展
ペイサーズとWWEの関係は、今回突然始まったものではない。
2025年には、ペイサーズの本拠地ゲインブリッジ・フィールドハウスで、WWEのプレミアム・ライブ・イベント「Wrestlepalooza」が開催された。
また、プロレスファンとして知られるタイリース・ハリバートンもWWEとの交流を続けており、今季の開幕戦ではトリプルH(HHH)を思わせる過去のスタイルを再現した姿で登場し、話題を呼んだ。
こうした選手個人の関心やチームとWWEの既存の関係が、今回のメキシコでの大規模な企画につながっている。
▪️キャデラックF1とも連携!メキシコの英雄ペレスを起用
もう一つの注目が、キャデラックF1チームとのコラボレーションだ。
ペイサーズは、メキシコ出身のF1ドライバー、セルジオ・ペレスに関連したコンテンツを制作。ペレスの通算300回目のグランプリ出走という節目に合わせた企画のほか、ペイサーズのユニフォームとF1のレーシングヘルメットを交換する取り組みも予定している。
ペレスはメキシコ国内で高い人気を誇るドライバーであり、母国のファンにとって特別な存在だ。今回の連携は、NBAとF1という世界的なスポーツブランドを結びつけるだけでなく、メキシコのファンにペイサーズを知ってもらう機会にもなる。
キャデラックF1チームは2026年からF1に参戦した新チーム。米国発のモータースポーツブランドとNBAチームが手を組むことで、競技の枠を越えた発信力を生み出そうとしている。
▪️アリーナ全体をゴールドに!ペイサーズの名物企画も海外進出
試合当日には、ペイサーズの恒例企画「Gold Out」も実施される。
これは観客がチームカラーであるゴールドのTシャツを着用し、アリーナ全体をチームカラーに染めるファン参加型の演出だ。
今回はメキシコシティのアリーナCDMXの全座席にTシャツを用意。インディアナポリスで親しまれてきた応援文化を、メキシコのファンにも体験してもらう。
さらに、スポンサーのルーカスオイルと連携したファン参加型企画「Quest for Gold」も展開。インディアナポリスとメキシコシティの両都市で、手掛かりをたどりながら賞品を探すイベントを実施するなど、試合前からファンが参加できる仕掛けを用意している。
▪️NBAのメキシコ開催は通算35試合目!長年の市場開拓が背景に
ペイサーズが今回の企画に力を入れる背景には、NBAとメキシコの長年にわたる関係がある。
NBAのメキシコ開催は1992年に始まり、今回のナゲッツ対ペイサーズ戦で通算35試合目を迎える。米国とカナダ以外では、NBAの試合開催数が最も多い国でもある。
つまり、メキシコはNBAにとって単なる海外開催地ではなく、長年にわたってファンとの関係を築いてきた重要な市場だ。
今回のペイサーズの取り組みは、その市場に対して、バスケットボールだけでは届かなかった層にもアプローチするものといえる。
プロレス、F1、ストリートファッション、地域文化、そしてファン参加型イベント。複数のジャンルを組み合わせることで、競技そのものに詳しくない人々にもチームの存在を知ってもらう機会を広げている。
▪️スポーツの価値は競技場の外にも広がる
世界的なスポーツビジネスでは、チームの人気やブランド価値を高めるため、競技以外のエンターテインメントとの連携が重要性を増している。
今回のペイサーズの戦略で興味深いのは、単に知名度のある企業や団体と名前を並べるのではなく、現地で支持されている文化や人物を企画の中心に据えていることだ。
WWEとAAAによるプロレス文化、セルジオ・ペレスというメキシコを代表するF1ドライバー、そして現地のストリートファッション。これらをNBAの試合と結びつけることで、地域に根差したファン体験を生み出そうとしている。
スポーツチームの国際戦略は、試合を海外で開催するだけの時代から、その土地の文化に入り込み、日常の中でブランドを認知してもらう時代へと広がっている。


