元RIZIN王者アーチュレッタ選手が米国で新たな挑戦 39歳 レスリング参戦に意欲、MMAファイターのキャリアを考える
元RIZINバンタム級王者で、Bellatorでも頂点に立ったフアン・アーチュレッタが、米国のプロレスリングリーグ「Real American Freestyle(RAF)」に参戦することが正式に決まった。
10月23日にラスベガスで開催される「RAF14」で、
ディラン・ラグシンと対戦する。
世界のトップ戦線で実績を残してきたアーチュレッタが、今回選んだ舞台はMMAではなくレスリングだ。本人はSNSで「レスリングするの超ワクワクしてる!」と意気込みを表明。39歳のベテランが、新たなフィールドで再び勝負に挑む。
今回の参戦で注目したいのは、競技の変更そのものだけではない。世界王者まで上り詰めたファイターが、どのように活動の場を広げ、キャリアを継続していくのかという点だ。
▪️世界王者の肩書を持つ実力者だがRIZINで経験した栄光と挫折
アーチュレッタは、米国の総合格闘技団体Bellatorで王座を獲得し、国際的な評価を高めたファイターだ。レスリングを基盤とする組み技の技術に加え、MMAで培った総合力を武器に、日本のRIZINでもバンタム級の頂点に立った。
2023年7月の「超RIZIN.2」では扇久保博正選手を破り、RIZINバンタム級王座を獲得。続く大みそかには朝倉海選手とのタイトルマッチが組まれた。
しかし、この一戦では計量で契約体重を超過する事態となり、タイトルを懸けた試合としては実施されなかった。試合も朝倉選手に敗れる結果となり、アーチュレッタにとっては大きな転機となった。
その後はフェザー級でも戦い、クレベル・コイケ選手、ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手と対戦。強豪との試合を経験する一方、RIZINでの出場は2024年9月以降途絶えている。
2025年大みそかには再びRIZINへの出場が予定されていたが、入出国に関する問題で来日できず、参戦は実現しなかった。日本のファンにとって再登場が期待されるなか、今回発表されたのが米国でのレスリングマッチだ。
▪️MMAだけが戦いの舞台ではない レスリング技術で生かされる強み
アーチュレッタにとってレスリングは、MMAとは別の競技であると同時に、自身の技術的な土台でもある。
MMAでは打撃、テイクダウン、寝技、関節技など、さまざまな要素を組み合わせて勝利を目指す。一方、レスリングでは組み技の攻防や相手をコントロールする技術が勝敗を左右する。
競技ルールは異なるものの、長年磨いてきた身体操作や組みの技術を生かせる点は大きい。
また、MMAの試合だけに活動を限定せず、別競技の大会に出場することは、選手としての可能性を広げる選択にもなる。新たなファン層に存在をアピールできるほか、競技者としての経験を別の形で発揮する機会にもつながる。
ただし、今回のレスリング参戦がMMAからの引退を意味するわけではない。
今後のMMA復帰や契約に関する具体的な発表は確認されておらず、今回の挑戦をもって競技生活の方向性が決まったと見るのは早計だろう。
選手にとって現役生活は有限であり、試合を重ねることは実績を積み上げるだけでなく、ファイトマネーを得て競技生活を維持するうえでも重要となる。練習を続け、戦う準備ができていても、出場機会がなければ実力を示すことはできない。
もちろん、アーチュレッタがMMAで戦う場所を失ったと断定することはできない。米国の大会を含め、活動の選択肢は存在する。今回の参戦も、MMAでの将来が閉ざされたことを示すものではなく、競技者として別の可能性を追求する動きと捉えるべきだろう。
それでも、世界王者経験者が複数の舞台を視野に入れて活動する姿は、ファイターのキャリアを一つの団体だけで考えることの難しさを浮き彫りにする。
▪️39歳の年齢を紐解き 選手のキャリアを支える仕組みはどうあるべきか
MMAの興行は、団体が大会を企画し、選手が試合を行い、ファンが観戦することで成り立っている。団体には興行を成功させる責任があり、選手には限られた現役期間のなかで結果を残す必要がある。
その双方の事情を踏まえれば、すべての選手に常に試合機会を用意することは簡単ではない。一方で、実績ある選手が競技への意欲を持ちながら、出場先を探さなければならない状況は、ファイターのキャリア形成という観点から考える余地がある。
複数の団体で活動できる環境や、MMA以外の競技への挑戦は、選手にとって新しい可能性を生むことがある。ただし、契約上の制約や競技ごとのリスクもあるため、誰もが自由に活動の場を広げられるわけではない。
だからこそ、選手自身がキャリアの選択肢を確保することに加え、競技全体としてファイターが長く活動できる環境を整えることも重要になる。


