マーティン・マクドナー監督の新作「ワイルド・ホース・ナイン」が話題沸騰 ジョン・マルコビッチに早くもアカデミー賞の声

2026.9.6

「スリー・ビルボード」「イニシェリン島の精霊」で知られるマーティン・マクドナー監督の最新作「ワイルド・ホース・ナイン」が、2026年の映画賞レースで大きな注目を集めている。

第83回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で世界初上映された同作は、上映後に約13分間にわたるスタンディングオベーションが起きるなど、観客から熱烈な反応を受けた。主演を務めるジョン・マルコビッチには、早くもアカデミー賞を見据えた評価が広がっている。


 

「ワイルド・ホース・ナイン」は、1973年のチリを舞台にしたブラックコメディ。

チリで軍事クーデターが起きる直前、CIAの工作員クリスをマルコビッチ、相棒のリーをサム・ロックウェルが演じる。

2人はチリのサンティアゴから遠く離れたイースター島へ向かうことになるが、そこでそれぞれが抱えてきた過去や、CIAをめぐる複雑な事情が浮かび上がっていく。

マクドナー監督らしい鋭い会話劇とブラックユーモアを軸に、友情、後悔、人生の終盤を迎えた男の心情を描いた作品となっている。

海外メディアからも高い評価が相次いでいる。

英NMEは、マクドナー監督がこれまで描いてきた「イン・ブルージュ」や「イニシェリン島の精霊」に通じる、2人の男による掛け合いを評価しながら、作品が賞レースでも注目を集める可能性を指摘。マルコビッチとロックウェルの共演にも高い評価を寄せている。

英Time Outも作品を5つ星で評価し、マルコビッチの演技を絶賛。マルコビッチとロックウェルの掛け合いが作品の大きな魅力になっていると紹介している。

さらに米国の映画評論サイト、RogerEbert.comもマルコビッチ、ロックウェル、スティーブ・ブシェミの演技を高く評価。特にマルコビッチについて、キャリアを代表する演技の一つともいえる存在感を見せていると評している。

海外で特に注目されているのが、マルコビッチの存在だ。

マルコビッチはこれまでアカデミー賞に2度ノミネートされているものの、受賞には届いていない。「ワイルド・ホース・ナイン」で演じるクリスは、長年にわたって諜報活動に携わってきたベテラン工作員。自身の過去や死と向き合いながら、相棒との関係にも変化が生まれていく。

ベネチアでの上映後にはマルコビッチが感極まった様子を見せる場面もあり、13分間に及んだスタンディングオベーションが作品への期待をさらに高めた。

マクドナー監督にとっても、ベネチアは特別な舞台となっている。

2017年の「スリー・ビルボード」、2022年の「イニシェリン島の精霊」に続き、今回もベネチアで新作を披露。「スリー・ビルボード」はアカデミー賞で7部門、「イニシェリン島の精霊」は9部門の候補入りを果たしており、マクドナー作品がベネチアを起点に賞レースへ進んできた実績もある。

「スリー・ビルボード」ではサム・ロックウェルが助演男優賞を獲得しており、今回も同監督とロックウェルの再タッグには大きな期待が寄せられている。

海外では、マルコビッチだけでなくロックウェルの演技にも注目が集まっている。英Screenは2人の演技を作品の大きな見どころとして評価し、歴史的な政治情勢を背景にしながら、物語の中心には2人の男の人生と関係性があると紹介している。

一方で、作品そのものについては海外メディアの評価が完全に一致しているわけではない。英Guardianなどは作品の魅力を認めながらも、マクドナー監督の過去作品と比較した際の評価には慎重な見方を示している。

それでも、ベネチアでの大きな反響と主演陣への高評価によって、「ワイルド・ホース・ナイン」が今後の賞レースで重要な存在になる可能性は十分に高まった。

とりわけ、ジョン・マルコビッチがアカデミー賞主演男優賞の候補として浮上するかどうかは、今後の映画賞シーズンにおける大きな注目ポイントになりそうだ。

「ワイルド・ホース・ナイン」は米国で2026年11月6日に劇場公開予定。