朝倉海選手が右親指を骨折していた オープンフィンガーグローブで強打を繰り出すMMAファイターその拳に刻まれた勝利の代償

2026.9.2

【©️UFC】

UFCファイターの朝倉海選手が、右手親指を骨折していたことを明かした。

8月29日に中国・上海で開催された「UFCファイトナイト上海」で、アオリ・チロン選手を2ラウンドKOで下し、UFCバンタム級転向後2連勝を飾った朝倉選手。その激闘から数日後、自身のYouTubeチャンネルで包帯を巻いた右手を公開し、負傷の詳細を語った。

華々しいKO勝利の裏側で起きていたのは、MMAという競技が持つ、拳への大きな負担だった。

 

▪️強打を生み出すからこそ、その一撃に潜む拳への負荷

MMAで使用されるオープンフィンガーグローブは、ボクシンググローブと比べて拳を覆うパッドが少ない。

そのため、選手はパンチだけでなく、組み技やクリンチ、グラウンドでの攻防にも対応できる。一方で、拳を完全に保護するものではない。

強烈なパンチを打ち込むほど、拳や親指には大きな衝撃が加わる。

特にMMAでは、相手の頭部や肘、肩など、硬い部位に拳が当たる可能性もある。どれほど高度な技術を持つ選手であっても、激しい攻防の中で拳を負傷することは起こり得る。

それでも選手たちは、限られた装具の中で最大限の打撃を繰り出す。

朝倉選手の今回の負傷も、まさにその激しい攻防の中で生まれたものだった。

 

▪️1ラウンドで感じていた異変 それでも止まらなかった朝倉選手の攻撃

チロン選手との試合で、朝倉選手は序盤からカーフキックや左右のパンチを繰り出し、積極的にプレッシャーをかけた。

そして1ラウンド後半、コンビネーションからアッパーを放った際、右親指が相手の肘か顔の一部に当たり、負傷したという。

朝倉選手自身も、試合後の振り返りで「親指が引っかかった」と説明。

1ラウンド終了時点ですでに「絶対折れてるな」と感じていたという。

それでも、朝倉選手は戦いを止めなかった。

「すぐ終わらせたい」―負傷を抱えながら2ラウンドKO

右親指に異変を抱えた状態で迎えた2ラウンド。

朝倉選手はパンチの連打からハイキックをつなぎ、チロン選手をダウンさせる。

さらに追撃のヒザ蹴り、パウンドを重ね、レフェリーストップ。

見事なKO勝利で試合を終えた。

試合直後には右手の負傷を明かしていたが、その後に病院で検査を受けた結果、右親指の骨折が判明した。

ただ、朝倉選手によれば、骨が大きくずれているような状態ではなく、「ヒビに近い」負傷だという。

医師からは「1ヶ月あれば治る」と説明を受けたことも明かしている。

格闘技では、KOや一本勝ちという結果が大きく注目される。

しかし、その一瞬の勝利に至るまで、選手の身体には想像以上の負荷がかかっている。

特にMMAは、打撃だけで試合が完結する競技ではない。

パンチ、キック、タックル、組み、寝技――あらゆる局面が一つの試合の中で連続する。

その中で拳を武器として使い続ける選手にとって、手や指のコンディションを維持することは極めて重要になる。

オープンフィンガーグローブという競技特有の装備も、MMAのスピード感や多彩な攻防を可能にする一方、強打を繰り出す選手にとって拳への負担を無視できない要素となる。

朝倉選手が今回見せたKO勝利も、そうしたMMAの厳しさの中で生まれたものだった。

負傷を美化する必要はない。

しかし、痛みを抱えながら最後まで戦い抜き、勝利をつかんだ事実には、トップファイターとしての強さと覚悟が表れている。

 

▪️朝倉海選手は10月頃に練習再開か!?年内3試合の目標も視野

気になるのは今後のスケジュールだ。

朝倉選手は今回の試合に臨む前から「年内3試合」を目標として掲げていた。

今回が年内2試合目となるだけに、本人は「できればあと1試合やりたい」と意欲を示している。

現在の見通しでは、早ければ10月頃から練習を再開できる可能性があるという。

さらに12月の試合についても、「12月の試合なら間に合うかなと思う」と前向きな姿勢を見せた。

もちろん、復帰時期については患部の回復状況やコンディションなどを見ながら慎重に判断していく必要がある。

それでも、朝倉選手の視線はすでに次の戦いへ向いている。

 

▪️「バンタム級でベルトを目指したい」次なる目標へ

UFCバンタム級転向後、2連勝。

そして今回の上海大会では、負傷を抱えながらも強烈なKO勝利を飾った。

次戦では、さらに上位の選手との対戦が期待される。

朝倉選手自身も「こっからはより本当にトップの選手と組まれることになると思う」と語り、今後の戦いを見据えている。

最終的な目標は明確だ。

「バンタム級でベルトを目指したい」

右親指の骨折という一つの試練を越え、再びケージへ戻る準備を進める朝倉海選手。

強打を武器に世界最高峰の舞台で勝利を重ねる一方、

その拳にはMMAファイターとして戦い続けるための負荷も刻まれている。