佐々木麟太郎選手をマーリンズが8巡目指名 担当スカウト「当日の朝に本格検討」 MLBドラフト制度が映し出す評価の難しさ

2026.7.13

米大リーグ(MLB)の2026年ドラフト会議が7月12日(日本時間13日)、米フィラデルフィアで2日目を迎え、スタンフォード大学の佐々木麟太郎選手(21)がマイアミ・マーリンズから8巡目(全体235位)で指名を受けた。会議後には球団スカウト陣が指名に至る経緯を明かし、「当日の朝に本格的な候補として浮上した」と舞台裏を語った。

佐々木選手は昨秋のNPBドラフトで福岡ソフトバンクホークスから1位指名を受けながら入団を保留し、スタンフォード大学へ進学。日本球界、MLB、大学残留という複数の進路を持つ異例の立場で今回のドラフトを迎えていた。


 

▪️担当スカウト「ドラフト当日の朝に名前が浮上した」

マーリンズのスコット・フェアバンクス氏(ナショナル・スカウティング・コーディネーター)は、ドラフト後のオンライン会見で指名までの経緯を説明した。

「今朝、改めてドラフトレポートを見直したところ、麟太郎の名前が非常に目立っていた。そこから現実的な選択肢として本格的な議論が始まった」

さらに、高校時代から注目を続けていたことも明かし、「スタンフォード入学後の2年間で選球眼が大きく向上し、打席内容も着実に成長している。大学首脳陣からは実力だけでなく、人間性や謙虚な姿勢も高く評価されていた」と語った。

入団交渉については「難しい決断になるだろう」と前置きしながらも、「マーリンズには選手をより強く、速く、パワフルに育てる育成システムがある。ここで必ず成長できる」と球団の育成環境をアピールした。

 

▪️MLBドラフトは「順位=評価」ではない

佐々木選手が8巡目まで残ったことに驚きの声も上がったが、

MLBドラフトでは巡目だけで選手の評価を判断することはできない。

MLBドラフトは日本のプロ野球ドラフトとは制度が大きく異なる。

対象となるのはアメリカやカナダの高校生、大学生のほか、米国内の大学に在籍する海外出身選手も含まれる。一方、日本や韓国など海外プロ球団に所属する選手は通常ドラフト対象外となり、25歳未満の場合は国際FA制度を通じて契約するケースが一般的だ。

また、ドラフトでは各球団に「ボーナスプール」と呼ばれる契約金総額の上限が設定されており、各指名順位には目安となる契約金(スロットバリュー)が割り当てられている。球団は限られた予算の中で契約金を配分するため、「上位で契約が難しい選手を避け、後半で挑戦する」という戦略を取ることも珍しくない。

そのため、有望選手が下位指名になる背景には、純粋な実力だけではなく、

契約金の希望額や進学・残留の可能性、球団の補強方針など複数の要素が絡み合っている。

 

▪️「契約できるか」がドラフト戦略を左右

MLBドラフトでは、球団が指名したすべての選手と契約できるとは限らない。

大学へ進学する、高校へ戻る、あるいは別の進路を選択するなど、指名選手が契約を見送るケースもある。そのため球団は、実力だけでなく「契約に応じる可能性」まで含めて総合的に判断して指名を行う。

佐々木選手も現在、マーリンズとの契約、ソフトバンク入団、スタンフォード大学への残留という3つの選択肢を持っている。MLB球団との契約期限は米東部時間7月27日午後5時(日本時間28日午前6時)で、日本球界との契約期限も今月末に設定されており、その決断に日米の野球関係者から大きな注目が集まっている。

佐々木選手は岩手・花巻東高校で高校通算140本塁打を記録した高校球界屈指のスラッガーとして知られる。

スタンフォード大学2年目となった今季は54試合に出場し、16本塁打、47打点をマーク。長打力に加え、課題とされた選球眼や打席での対応力も向上したことが評価され、MLB球団のスカウトからも高い注目を集めてきた。

6月末に一時帰国した際には、「次の人生の選択がかかっている。プレッシャーもあるが、楽しみの方が多い。3つの選択肢すべてに感謝し、自分にとって最善の道を選びたい」と語っていた。