CFFC女王誕生―なぜ松田亜莉紗選手の戴冠は「日本女子MMAの現在地」を示すのか

2026.2.7

【©️CFFC】

2026年2月6日(日本時間:7日)、米ペンシルベニア州フィラデルフィア。

日本人女子ファイターが、世界への評価軸が最もシビアな舞台で一つの答えを示した。

Cage Fury FC(CFFC)女子ストロー級王座決定戦で、松田亜莉紗選手はカザフスタンの強豪アヤン・トゥルサンを1ラウンド、腕十字固めで一本勝ち。

勝利そのもの以上に注目すべきは、その内容が「完勝」だった点にある。


 

 

CFFCはUFC Fight Passで配信され、UFCスカウトの視線が常に注がれる団体だ。

そこで無敗のまま王座を奪取した日本人は、2022年11月の神龍誠選手以来・・・

実に約3年ぶりとなる。松田選手の戴冠は、単なるタイトル獲得に留まらない。

▪️“強い相手に勝った”ではなく、“何もさせなかった”という事実

試合は開始直後から一方的だった。

打撃での様子見が続くと見られた瞬間、松田選手はトゥルサンの踏み込みに合わせてダブルレッグでテイクダウン。即座にマウントポジションを奪い、以降は逃げ道を完全に遮断した。

ヒジ、パウンドで削り、体勢が崩れたところで腕十字へ。フィニッシュは教科書通りでありながら、相手の選択肢をすべて奪った“設計された一本”だった。

この勝利は、フィジカルで上回ったからでも、勢いに任せたものでもない。

戦前に想定されたトゥルサンの危険性―強打、組みの圧力、長丁場での粘りを、すべて「起こる前に消した」点に価値がある。

 

▪️女子プロ野球からMMAへ―異色のキャリアが示す「再現性」

松田選手のキャリアは、MMA界では異色だ。

女子プロ野球選手として京都フローラで活躍し、個人タイトルも獲得。

競技の第一線にいながら、27歳でゼロからMMAへ転身した。

結婚・出産によるブランクを挟みながら、31歳で世界を視野に入れる位置に立つ。

重要なのは、彼女の成功が“才能の偶然”ではなく、積み上げの結果として説明できる点だ。
DEEP JEWELSでの王座獲得、ROAD TO UFCでの勝利、そして今回のCFFC制覇。

その一つ一つが、国内→国際→世界基準という明確なステップを踏んでいる。

 

▪️ROAD TO UFCで届かなかった「評価」を、別ルートで奪い返した

2025年の『ROAD TO UFC』で松田選手は勝利を挙げながらも、UFCとの契約には至らなかった。ここで多くの選手が立ち止まる。

そこで軌道修正して評価されやすい場所へ自ら戦場を移した。

CFFCは、UFCに最短距離でつながる団体の一つだ。
その王座を、しかも無敗のまま、内容で奪ったという事実は、UFCのスカウトスタッフにとって無視できない材料になる。

試合後、松田選手はこう明確に語っている。

「次は・・・UFCで戦いたい」これは願望ではない。

条件を一つずつ満たした末の、極めて現実的な宣言だ。