那須川龍心選手「映える倒し方は狙っている」吉成名高への対抗心むき出し「なめんなよ」 11・18 ONE参戦で世界への存在感を示す
キックボクシングのRISE世界スーパーフライ級王者・那須川龍心選手(20)が10月29日、11月18日に東京・EBARA WAVEアリーナおおた(大田区総合体育館)で開催される「ONE SAMURAI 5」に向け、千葉県松戸市の所属ジムで公開練習を行った。
龍心選手は、モロッコのマフディー・ジャマリ選手との一戦を前に、兄・那須川天心選手を引き合いに出しながら、観客の記憶に残るKO勝利への意欲を表明。さらに、ONEアトム級ムエタイ世界王者の吉成名高選手についても言及し、「眼中にない感じを受ける。なめんなよ」と強烈な対抗心をのぞかせた。
若き世界王者が見据えるのは、目の前の一戦だけではない。将来的な世界最高峰の対決を視野に入れ、ONEのリングで自らの価値を証明しようとしている。
【©️ONE Championship 】
▪️「映える倒し方」は意識している 兄・天心選手が築いた存在感
公開練習では、スピード感のあるコンビネーションに加え、ハイキックや三日月蹴りなどを披露。今大会に出場する玖村将史選手、GUMP選手とのマススパーリングでは、攻撃だけでなくディフェンス面でも高い技術を見せた。
報道陣から、今回も観客を驚かせるようなKOパフォーマンスを狙っているのかと質問されると、龍心選手は「いい倒し方、映える倒し方っていうのはもちろん狙っていますし、そういうのが必要になってくると思います」と回答。
さらに、兄の那須川天心選手についても触れ、「天心もそういうので倒してきて、格闘技界とキックボクシングを盛り上げてきたと思うので、そういうのは狙っています」と語った。
単に勝利を重ねるだけではなく、試合そのものにインパクトを残すこともプロとして重要な要素と考えているようだ。
兄がキックボクシング界で築いてきた華やかな存在感。その背中を追いながらも、龍心選手自身のスタイルで観客を魅了する試合を目指している。
▪️11月18日はモロッコの強豪ジャマリと対戦 ONEストロー級で実力を試す
今回の対戦相手は、モロッコ出身のマフディー・ジャマリ選手。試合はONEストロー級キックボクシング、3分3ラウンドで行われる。
龍心選手は普段、53キロを主戦場としている一方、今回のONEストロー級は56.7キロがリミットとなる。普段より重い階級での戦いとなるため、相手の体格やパンチの威力には警戒を強めている。
公開練習後の取材では、ジャマリ選手について「本当にデカくて一発がある選手」と評価。世界トップクラスの選手との対戦経験もあることから、ONEのストロー級で自分がどの位置にいるのかを測る重要な一戦になると捉えている。
また、龍心選手はジャマリ選手の一発の威力について、直近のRISEで対戦した大﨑一貴選手以上のパワーを感じるとも分析。「一発もらっちゃいけない試合」と警戒心を示した。
一方で、勝利への自信ものぞかせており、
「しっかり勝って次につなげたい」と意気込んだ。
▪️ONE初参戦ではトンプーンをTKO 今回は年間6試合目のハードスケジュール大一番
龍心選手は2026年7月、ONE Friday Fights 163でONEデビューを果たし、トンプーン・PK・センチャイ選手を2ラウンドTKOで撃破。世界的な舞台で鮮烈な印象を残した。
今回の「ONE SAMURAI 5」は、ONE参戦2戦目となる。
本人によれば、今回の試合は年間6試合目。コンスタントに実戦を重ねてきたことで疲労も感じているというが、試合感覚を維持できていることには手応えを感じている。
また、ONE独特の会場の雰囲気についても言及。観客の熱気によって自然と前に出たくなる感覚があるとし、パフォーマンスボーナスについては、最高額となる1500万円を目標に掲げ、笑顔を見せた。
ただし、本人が強調するのは、あくまで勝利が最優先ということ。インパクトのあるKOを狙いながらも、まずはジャマリ選手を攻略することに集中している。
▪️吉成名高に「眼中にない感じを受ける」世界王者への強烈なライバル意識
今回の公開練習で大きな注目を集めたのが、吉成名高選手への発言だった。
ONEのチャトリ・シットヨートンCEOは10月17日の「ONE SAMURAI 4」後、将来的に吉成選手と那須川龍心選手によるキックボクシングの世界タイトルマッチを実現させたい意向を示している。
チャトリCEOによれば、龍心選手の夢は吉成選手とのキックボクシングでのタイトル戦。龍心選手の父親からも、本人が吉成選手との対戦を望んでいると聞いたという。
この構想について質問された龍心選手は、吉成選手に対して
「どこかでちょっとナメられているなっていう感じはするので。ナメんなよっていう気持ちはありつつ、そういう気持ちをずっと持ってONEの試合に臨もうかなと思いますね。
眼中にない感じを受けるので。向こうからしたらそうでしょうけど」
と率直な心境を明かした。
そして、自分よりも吉成選手の方が強いと評価されていることについても、
「やっぱり自分より強いと言われてるので、そこはムカつきますし。そこを倒せば自分が世界一だって名乗れると思う」と語った。
若干20歳の世界王者が、世界的な実績を持つ吉成選手に対して、これほど明確なライバル意識を示したことは興味深い。
▪️43連勝の吉成名高選手 実現すれば日本格闘技界屈指の注目カードに
対する吉成名高選手は、ムエタイを主戦場とする日本を代表する軽量級ファイターだ。
2026年10月17日の「ONE SAMURAI 4」では、リファディン・マスドール選手を2ラウンドKOで下し、ONEアトム級ムエタイ世界王座の2度目の防衛に成功。連勝記録を43に伸ばし、その実力を改めて示した。
ムエタイで世界トップクラスの実績を築いてきた吉成選手と、RISE世界スーパーフライ級王座を獲得し、キックボクシングで世界の頂点を目指す龍心選手。
両者は同じ軽量級で活躍する日本人ファイターだが、これまで歩んできた競技キャリアや得意とするルールには違いがある。
龍心選手は今回の取材で、ムエタイルールでの対戦についても質問を受け、「ちょっとムエタイルールは……」と苦笑いを浮かべながらも、将来的な挑戦については「どこかで挑戦してみても面白いのかな」と含みを持たせた。
現段階で両者の対戦が正式決定したわけではないが、、将来的にチャトリCEOが、このカードを頼盛がるタイミングで実現したい意向を明かしていることもあり、今後の展開に注目が集まる。
▪️RISEからONEへ 龍心が目指すのは兄とは異なる世界への道
龍心選手は今後のキャリアについて、RISEでは53キロ級でやるべきことをやってきたという認識を示し、ONEではまだ経験していない相手や未知の舞台に挑戦したいと語っている。
また、兄の天心選手がONEでは戦った経験がないことにも触れ、自分だからこそ見せられる新しい姿があるとの考えを示した。
ONEでの世界王座獲得も明確な目標に掲げており、52.2キロのアトム級にキックボクシングの王座が新設されるなら挑戦したい意向も明らかにしている。一方で、階級が設けられなければ56.7キロのストロー級で戦う覚悟も示した。
11月18日のジャマリ戦は、単なるONE参戦2戦目ではない。RISE世界王者としての実力を海外勢に示し、将来的なタイトル挑戦、そして吉成名高選手との夢の対決へとつなげるための重要な試金石となる。
【文:高須基一朗 瞬刊モッツ 編集部】


