久保建英選手が今季初のベンチスタート Rソシエダードが4-4-2で再構築する新たな攻撃プラン…序列低下ではなく「勝つための起用法」に変化か
スペイン1部リーグ第3節が29日に行われ、
Rソシエダードは本拠地アノエタでエスパニョールと対戦。
2-1で今季初勝利を飾った。
日本代表MF久保建英選手は今季初めて先発を外れベンチからスタート。
後半33分からピッチに入り、右サイドでプレーした。
一見すれば「久保の序列が下がったのではないか」と受け止められかねない起用だ。
しかし、スペインや海外の報道を追うと、今回のベンチスタートは、単純な評価低下というよりも、ペッレグリーノ・マタラッツォ監督がRソシエダードの攻撃の形を変化させていることが大きな要因とみられる。
むしろ今季のRソシエダードでは、久保をどの位置で、
どの時間帯に起用するかという「使い方そのもの」が新たなテーマになっている。
■今季初のベンチスタート
Rソシエダードはエスパニョール戦で4-4-2を採用。
先発にはミケル・オヤルサバルとオリ・オスカルソンが2トップに入り、
両サイドにはアンデル・バレネチェアとルカ・スチッチが配置された。
久保選手はベンチから試合を見守る形となった。
そしてチームは前半4分、オヤルサバルのアシストからバレネチェアが先制。
後半には再びオヤルサバルのアシストからオスカルソンがゴールを決め、2-1で勝利を収めた。
スペイン紙『EL PAÍS』も、オヤルサバルが2アシストを記録してチームを今季初勝利に導いたと報じている。
Rソシエダードにとっては、開幕から続いていた苦しい流れを変える重要な3ポイントとなった。
■久保を外したのではなく「4-4-2」を優先した可能性
今回の起用で注目したいのがチーム全体のシステムだ。
Rソシエダードを率いるマタラッツォ監督は、
これまでにも4-4-2を積極的に使用している。
スペインの『Mundo Deportivo』も、マタラッツォ監督のチームが4-4-2をベースに、サイドを積極的に使いながら攻撃を組み立てていることを分析している。
さらに『La Vanguardia』も、マタラッツォ体制では4-4-2の両サイドに攻撃的な選手を配置し、右サイドの久保選手を左サイドの選手を使う形が特徴になっていると報じている。
つまり久保選手は、マタラッツォ監督の構想から外れているどころか、
新システムの中でも重要な攻撃オプションの一人として考えられている。
■マタラッツォ監督は久保を高く評価
さらに興味深いのが、マタラッツォ監督自身の久保に対する評価だ。
スペインメディアが伝えた指揮官の発言では、
久保選手について「左足で大きな危険を作り出せる選手」と高く評価。
その一方で、試合によっては「スタート時に別のタイプの選手が必要になる場合もある」という考えを示している。
これは能力を否定する発言ではない。
むしろ、相手や試合展開に応じて先発メンバーを変え、
その中で能力を最大限に生かすという起用法を示していると考えられる。
実際、今季のRソシエダードは攻撃陣に複数の選択肢を持っている。
オヤルサバル、オスカルソン、バレネチェア、スチッチ、グエデス、そして久保。
全員を固定するのではなく、それぞれの特徴を生かして組み合わせることが、
マタラッツォ監督のチーム作りのポイントになっている。
■久保にとっても「途中出場」は重要な意味を持つ
今回、久保選手は後半33分から登場した。
チームが2-1とリードしていた時間帯だった。
つまり、求められたのは「先制点を奪うためのスタートダッシュ」ではなく、リードを維持しながら、攻撃のクオリティーを加えることだったと考えられる。
海外メディアでも、今回の久保のベンチスタートが大きく取り上げられている。
韓国メディア『Chosun』も今季初めて先発から外れたことを報じている。
一方で、Rソシエダードが久保をベンチに置いたまま試合を終えたわけではない。
勝利を決めるべき局面で、久保を投入している。
これは、久保が「不要な選手」になったという見方とはむしろ逆だ。
試合の状況に応じて投入することで
突破力や左足の技術を生かすというカードの切り方とも考えられる。
■実は「久保をどう使うか」が今季の重要テーマ
これまで、右ウイングからドリブルで仕掛け、
左足でチャンスを作る形を最大の武器としてきた。
しかし、マタラッツォ監督の下では、それだけに限定されない。
『Coaches’ Voice』の戦術分析でもサイドだけでなく、4-4-2のダイヤモンド型ではトップ下、さらにセカンドストライカーに近い位置でもプレーできる選手として分析されている。
つまり今季は、
「右ウイングのレギュラーであり続けるシーズン」
だけではなく、
「複数のポジションを使い分けながら、チームの勝利に貢献するシーズン」
になる可能性がある。
これは日本代表にとっても非常に興味深い変化だ。
■W杯後のコンディション管理も影響か
もう一つ見逃せないのがコンディション面だ。
海外の選手情報サイトでは、久保が2026年W杯後から膝の状態を管理しており、
プレシーズンでも段階的に出場時間を増やしてきたことが伝えられている。
『RotoWire』は、W杯で負った膝の捻挫を管理しながら復帰し、
マタラッツォ監督がコンディションを見ながら負荷を調整していると分析している。
そのため、今回のベンチスタートについても、
単純に「序列が落ちた」と判断するのは時期尚早だ。
シーズンはまだ第3節。
しかもW杯を終えたばかりの2026-27シーズンという特殊な日程でもある。
チームにとっては、長いシーズンを戦い抜くために主力選手の状態を管理する必要もある。
■「久保が控えになった」ではなく「Rソシエダードの選択肢が増えた」
今回の試合で最も重要なのは、久保が先発から外れたことではない。
Rソシエダードが久保を含め、多くの攻撃的な選手を使い分けられるチームになりつつあることだ。
オヤルサバルが2アシスト。
バレネチェアが先制点。
オスカルソンが決勝点。
そして終盤には久保が投入された。
複数の選手が結果を残せるチームになれば、久保自身にとってもメリットは大きい。
相手が久保を徹底的に警戒すれば、別の選手が空く。
別の選手が活躍すれば、今度は久保へのマークが緩む。
この相乗効果こそ、マタラッツォ監督が目指すチーム作りの一つなのかもしれない。
もちろん、今後も久保がベンチスタートを続けるようであれば、
起用法についてはさらに注目する必要がある。
しかし、現時点で「久保の序列が下がった」と結論付けるのは早い。
実際、今季開幕前からスペインメディアでは、
マタラッツォ監督が久保を高く評価していることが伝えられている。
スペイン『AS』も、2026-27シーズンを久保にとって「重要な年」と位置づけながら、マタラッツォ監督が久保を信頼していると報じている。
今回のベンチスタートは、久保の価値が下がったことを示すものではなく、新監督の下でチームの戦い方が変わり、その中で久保の使われ方も進化している途中と見るべきだろう。
■次節セルタ戦、久保は再び先発へ?
Rソシエダードは今季初勝利を手にした。
そして次節はセルタとの対戦が予定されている。
チームが勝利という結果を手にしたことで、
マタラッツォ監督は今後さらに選手の組み合わせを試していくことになるだろう。
その中で再び右サイドの先発に戻るのか。
それとも途中出場から試合を動かす「切り札」としての役割が続くのか。
あるいは、これまでとは異なるポジションで新たな可能性を見せるのか。
いずれにしても、久保建英選手の2026-27シーズンは、まだ始まったばかりだ。
先発かベンチかだけで評価するのではなく、
マタラッツォ監督が久保選手の能力をどのようにチーム全体の勝利へつなげていくのか。
そこに注目すれば、今季はこれまでとは違った新しい魅力が見えてくるはずだ。

