エロール・スペンスJr選手がティム・チュー選手に判定負け 試合後に現役引退を表明

2026.7.27

元ウェルター級3団体統一王者のエロール・スペンスJr選手(米国)が、日本時間27日にオーストラリアで行われたティム・チュー選手(オーストラリア)との一戦に0-3の判定で敗れ、試合後に現役引退を表明した。約3年ぶりのリング復帰となった一戦は、名王者にとってキャリア最後の試合となった。


 

2023年7月、テレンス・クロフォード選手との4団体統一戦で9回TKO負けを喫して以来、約3年間リングを離れていたスペンス選手。

この日はブランクを感じさせる場面も多く、

序盤からチュー選手の圧力に押される苦しい展開が続いた。

【©️PBC】

それでもスペンス選手は得意のボディーワークを軸に反撃。

粘り強く前へ出てチュー選手のボディーを攻め続けたが、

勢いを止めるまでには至らなかった。

チュー選手は右ストレートを効果的に打ち込みながら主導権を握り続け、

最後まで攻勢を維持。

ジャッジ3者ともチュー選手を支持し、

ユナニマス・デシジョン(3-0判定)で勝利を収めた。

試合後、スペンス選手はリング上で現役生活に終止符を打つ決断を明かした。

「家族に恵まれ、お金にも困らず、こうして頭がしっかりした状態で競技生活を終えられることに感謝している。神にありがとうと言いたい」

穏やかな表情で語った言葉には、数々の激闘を戦い抜いた王者らしい潔さがにじんでいた。

スペンス選手はキャリア全盛期にウェルター級3団体統一王者として君臨。

ケル・ブルック選手を敵地イギリスで破って世界王座を獲得すると、ショーン・ポーター選手との王座統一戦など数々のビッグマッチで勝利を重ね、世界最高峰のウェルター級を代表する存在として一時代を築いた。

また、現役生活では交通事故による重傷や左目の網膜裂孔という大きな試練を乗り越え、不屈の精神でリングへ戻ってきたことでも知られている。しかし36歳となった今回は、若さと勢いに勝るチュー選手のプレッシャーに最後まで対応しきれず、復帰戦を白星で飾ることはできなかった。

会場で試合を見届けた宿敵テレンス・クロフォード選手も自身のX(旧ツイッター)で「反射神経が失われているように見えた」と投稿し、かつてのライバルの姿に言及した。

一方、チュー選手は試合後、リング上でスペンス選手と抱擁を交わし、最大級の敬意を表現。今後は世界王座挑戦を目標に掲げ、WBA世界ミドル級王者エリスランディ・ララ選手との対戦にも意欲を示した。

さらに勝利インタビューでは、「エロール・スペンスJrのような偉大な選手に勝てたことは、自分にとってどんな世界タイトルにも匹敵する価値がある」とコメント。

元統一王者へのリスペクトを惜しまなかった。

敗戦という形で現役生活に幕を下ろしたスペンス選手だが、ウェルター級黄金時代を支えた名王者として、その功績は今後もボクシング史に刻まれ続ける。