やせ薬として若者の間で拡散する糖尿病治療薬「マンジャロ」 SNS投稿急増の裏で違法な不正転売で書類送検が続出
糖尿病治療薬「マンジャロ」を無許可で保管・転売したとして、大阪府警は6月2日、男女3人を医薬品医療機器法違反の疑いで書類送検した。SNS上では同薬が“やせ薬”として急速に広まり、府警は個人間での不正売買が横行しているとみて、サイバーパトロールを強化している。
近年、InstagramやXでは「短期間で大幅減量できた」「理想の体型を目指せる」など、マンジャロのダイエット効果を強調する投稿が急増。インフルエンサーによる体験談のほか、美容クリニックによる宣伝も目立ち、「週1回の注射で食欲を抑える」といった文言で利用を呼びかけるケースも確認されている。
マンジャロは本来、2型糖尿病の治療を目的として使用される医薬品だが、医療関係者によると、近年は美容や減量目的での需要が拡大。オンライン診療を通じて比較的容易に入手できることもあり、自由診療では1か月分(4本)あたり1万~3万円程度で提供されている。
販売元によると、2025年3月期の売上高は前年同期比で5倍超となる407億円に達しており、需要の急拡大が浮き彫りとなっている。
開発元である米製薬大手イーライリリーの日本法人も、2025年12月に「美容・痩身目的での使用は、思わぬ健康被害につながる可能性がある」とする声明を公表。厚生労働省も「糖尿病治療以外での有効性や安全性は確認されていない」と注意喚起している。
さらに、適応外となる美容目的で使用した場合、副作用による健康被害が生じても、医療費や年金などを支給する国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性がある。
大阪府内科医会名誉会長で、日本糖尿病学会専門医の福田正博医師は、「患者が希望するからという理由だけで安易に処方することは、本来あってはならない。糖尿病治療以外での使用については十分な検証が行われておらず、医師側はリスクを丁寧に説明する責任がある」と指摘。その上で、「利用者側も薬の危険性を正しく理解する必要がある」と警鐘を鳴らしている。

