「負ければタイトルマッチ挑戦権消滅」 RIZIN前王者の井上直樹選手が背負う“日本MMAの看板”…PFL欧州大会で問われる真価
【©️PFL】
日本の総合格闘技界が国際再編の局面を迎えている。
その最前線に立たされたのが、RIZIN前バンタム級王者の 井上直樹 選手だ。舞台は日本ではない。ベルギー・ブリュッセルで開催される米MMA団体PFLの欧州大会。対角線に立つのは、2025年PFLバンタム級ワールドトーナメント覇者の マルシレイ・アウベス・ダ・シウバ。いわば“世界基準”の実力者である。
5月22日に行われた前日計量で、両者は揃って135.5ポンド(61.46キロ)でクリア。
井上選手は極限まで研ぎ澄まされた肉体を披露し、
フェイスオフでは約10秒間にわたりアウベス選手と視線を外さなかった。
だが、この一戦が注目される理由は、単なる国際戦ではない。
井上選手にとって今回は、“再起戦”であると同時に、RIZINタイトルマッチへの査定試合の意味合いを色濃く帯びているからだ。
昨年2025年の大みそか、RIZINバンタム級王座戦で現王者 ダニー・サバテロ に、ただただグラウンドの攻防で塩漬け(ただ・キープポジションを取られただけ)にされて何も出来ず・・敗れた井上選手は、王座から陥落。
RIZIN軽量級の中心選手として期待されながらも黒星となった。
しかし、RIZIN側は井上選手を“終わった選手”とは見ていない。
むしろ、榊原信行CEOはPFLとの提携が進む中で、「海外に送り出せる日本人トップ選手」として井上選手を高く評価。今回のPFL参戦も、単なるスポット契約ではなく、“RIZIN代表”としての意味合いが強い。
近年のMMA界では、UFC一強構造に対抗する形で、PFLが急速に存在感を強めている。ベラトール吸収後は欧州・中東市場への投資を加速させ、各地域リーグを軸にグローバル戦略を拡大。日本市場との接点を模索する中で、RIZINとの協業は重要なピースになりつつある。
つまり今回の試合は、単なる井上選手個人の勝敗にとどまらない。
「RIZINのトップ選手は、世界市場でどこまで通用するのか」
その“答え合わせ”として、業界内でも視線を集めているのだ。
しかも、その先には明確な“報酬”も用意されている。
更に榊原CEOは22日の会見で、井上選手が勝利した場合、7月18日に開催される「RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA」で、サバテロ選手へのタイトル挑戦を組む方針を明言。一方で、敗れた場合については「タイトル挑戦はない」と断言した。
勝てば即タイトル戦。
負ければ、再び列の最後尾・・・。
極めてシビアな条件設定だ。
だが、それこそが現在のRIZINバンタム級戦線の熾烈さを象徴している。
井上選手とサバテロ選手、そして海外強豪勢を交えた軽量級路線は、
いまやRIZINの“収益エンジン”のひとつ。
競技レベルだけでなく、国際カードとしての価値も求められている。
【文:高須基一朗】

