UFCマカオ大会と「ROAD TO UFC」日本勢11人参戦の意味 鶴屋怜選手の再起戦と、アジアMMA勢力図の変化

2026.3.31

【©️UFC】

総合格闘技イベント「UFC」が再びアジア戦略を加速させている。2026年5月30日、中国・マカオで開催される大会と、若手登竜門トーナメント「ROAD TO UFC シーズン5」。そこに、日本人選手が大量参戦することが決まった。
この動きは単なるカード発表にとどまらず、アジアMMAの勢力図、日本人ファイターたちの平均値のレベルが高い点をを示す出来事でもある。


 

▪️鶴屋怜選手がキャリア初黒星からの再起戦

2026年5月30日に中国・マカオのギャラクシー・アリーナで開催される大会で、日本のフライ級ファイター鶴屋怜がメキシコのヘスス・アギラーと対戦することが発表された。

鶴屋はMMA戦績10勝1敗。
「ROAD TO UFC」シーズン2を制してUFC契約を勝ち取り、本戦デビュー戦ではカルロス・ヘルナンデスに判定勝利。しかし2025年3月、後に王者となるジョシュア・ヴァンとの激闘に敗れ、キャリア初黒星を喫した。

今回の試合は、それ以来およそ1年3カ月ぶりの再起戦となる。

まだ23歳という年齢を考えれば、キャリアはむしろこれからだ。だが、UFCのフライ級は世界でも屈指の競争の激しい階級であり、一度の敗戦がランキング戦線から遠ざかる現実もある。再起戦の意味は小さくない。

 

▪️対戦するアギラーは“極め”の技巧派フィニッシャーで難敵

対戦相手のヘスス・アギラーは、12勝4敗の実力者で、

一本勝ちを多く持つグラップラー型ファイターだ。
柔術をベースにギロチンチョークなどのサブミッションを得意とし、フィニッシュ率の高さが特徴。小柄ながら打撃から組みへ繋ぐ展開がうまく、試合巧者として知られている。

レスリング力では鶴屋が優位と見られるが、打撃からの組みの攻防、スクランブルの攻防が勝敗を分ける可能性が高い。

 

▪️平良達郎選手のタイトル戦と 日本フライ級の熾烈なランキング争い

興味深いのは、この試合が日本フライ級戦線の流れと密接に関係している点だ。

2026年4月10日には、同門の平良達郎選手が

王者ジョシュア・ヴァンへのタイトル挑戦を控えている。
もし平良選手が王座を獲得し、鶴屋選手が再起戦に勝利すれば、

日本フライ級勢がUFCの中心ファイターに入る可能性も出てくる。

かつてUFCでは日本人ファイターが減少した時期もあったが、

近年は再び若い世代が台頭し始めている。

フライ級は、日本人選手が世界で輝ける象徴的な階級と言えるだろう。

さらに、この階級には日本人のエース級ライターに

堀口恭司選手に朝倉海選手の存在も忘れてはならない。

そして前王者のパントージャの怪我からの復帰時期も気になる点だ。

 

▪️ROAD TO UFC、日本人11人参戦のインパクト

さらに注目されるのが、5月28日・29日に開催される

「ROAD TO UFC シーズン5」だ。
これはアジア太平洋地域の有望選手がトーナメント方式で戦い、

優勝者がUFC契約を獲得する登竜門シリーズである。

今回、日本からは以下の11選手が参戦する。

松田亜莉紗

福田万智

小田魁斗

内田タケル

鈴木崇矢

有本亮我

南友之輔

田嶋椋

宮口龍鳳

栁川唯人

青井人

これだけの人数が同時に出場するのは、

日本MMA界にとっても大きな節目と言える。

 

▪️本格化するUFCのアジア戦略とマカオ開催の意味

今回のマカオ大会は単発イベントではない。
UFCとギャラクシー・マカオは複数年契約を結び、

2026年から2029年までに複数回の大会開催が予定されている。

つまり、UFCは再びアジア市場を本格的に開拓しようとしている。
中国、韓国、日本、モンゴル、中央アジアなど、アジアのMMAレベルは近年急速に上昇しており、ROAD TO UFCはその人材発掘装置でもある。

かつてUFCはアメリカとブラジルが中心だったが、現在は欧州、中央アジア、そしてアジアへと勢力図が広がっている。
今回のマカオ大会とトーナメントは、その流れの中心に日本がいると位置付けられる。