ROAD TO UFC=田嶋椋選手が強豪コーレンを攻略し決勝進出 粘り強いレスリングを封じてUFC契約まであと1勝

2026.8.29

【©️UFC】

総合格闘技団体UFCへの登竜門として開催されている「ROAD TO UFC シーズン5」の準決勝が8月28日、中国・上海のオリエンタルスポーツセンターで行われ、バンタム級の田嶋椋選手(OOTA DOJO)がチュングレン・コーレン選手(インド)に判定3-0で勝利。見事に決勝進出を決めた。

パンクラス第6代バンタム級王者でもある田嶋選手にとって、UFC契約まであと1勝。

世界最高峰への扉を、自らの手で大きく開いた。


 

▪️コーレン選手の組みを冷静に攻略

試合開始から中央を取った田嶋選手に対し、コーレン選手は右オーバーハンドや左フック、右カーフを織り交ぜながら前進。打撃戦だけではなく、田嶋選手をケージ際へ追い込み、タックルから組みの展開へ持ち込もうとする。

ここが、この試合の大きなポイントとなった。

コーレン選手はケージ際で田嶋選手の身体を固め、テイクダウンを狙う。しかし田嶋選手は簡単には背中をマットにつけず、相手の圧力を受けながらも粘り強く対応。相手に主導権を渡さないディフェンスを続けた。

一方で田嶋選手も、ただ守るだけではなかった。

組みの攻防から相手を崩すと、マウントポジションを奪ってパウンドを落とす場面も作る。

コーレン選手のレスリングに苦しめられながらも、チャンスを見逃さず攻撃へつなげた。

2R、3Rもコーレン選手は執拗に組みつき、ケージ際で田嶋選手を捕まえようとする。

それでも田嶋選手は冷静だった。

相手の組みをしのぎながら右ストレートやジャブ、カウンターを的確に当て、試合をコントロール。3R終盤にはジャブから左フックをヒットさせるなど、最後まで集中力を切らさなかった。

最終的な判定は3者とも田嶋選手を支持。

30-27、29-28、29-28。

3-0の判定勝ちで、田嶋選手が決勝への切符を手にした。

 

▪️背中をつけない=勝利を引き寄せた冷静な判断

今回の勝利を支えたのは、派手なフィニッシュだけではない。

コーレン選手はこれまで8勝すべてがフィニッシュという実績を持ち、

1回戦では日本の宮口龍鳳選手から一本勝ちを奪って準決勝へ進出していた強豪だった。

その相手に対して田嶋選手は、危険な局面を徹底して潰した。

テイクダウンを狙われても背中を簡単にはつけず、バックを奪われることも許さない。

相手が得意とする組みの展開に付き合いながらも、決定的な場面を作らせなかった。

MMAでは、一瞬の判断が勝敗を大きく左右する。

フィニッシュこそ生まれなかったものの、相手の強みを理解したうえで、その武器を封じて勝ち切ったことは、世界最高峰を目指す田嶋選手にとって大きな意味を持つ勝利となった。

そして、試合後の綺麗な顔の状態がダメージを蓄積させていないことを印象付けるものだった。

 

▪️田嶋選手自身は「もっとできた」と悔しさ

勝利を手にした田嶋選手だったが、試合後の表情には満足感よりも悔しさがにじんだ。

「もっと攻めてパンチを当てたりした方が良かった。もっとアグレッシブに行きたかった」

そう振り返った田嶋選手。

コーレン選手の組みの強さによって、思うように距離を取れず、得意の打撃を十分に展開できなかったことを課題として挙げた。

さらに、自身のパフォーマンスについても「もっとできた」という思いを口にした。

しかし、そこには決勝を見据えた田嶋選手の高い意識がある。

勝ったことだけで満足するのではなく、自分自身のパフォーマンスを冷静に分析し、次の試合へとつなげようとしている。

 

▪️1回戦に続く判定勝ちも着実に世界へ前進

田嶋選手は今年5月のROAD TO UFCシーズン5

1回戦でもティ・ハイタオ選手(中国)との接戦を制し、

判定勝ちで準決勝へ進出していた。

そして今回も判定勝ち。

決して派手な勝ち上がりではないかもしれない。

だが、厳しいトーナメントを一戦ずつ勝ち抜き、ついに決勝までたどり着いた。

しかも準決勝では、強烈なフィニッシュ力を持つコーレン選手の組みを封じ、

3Rを戦い抜いて僅差の勝利を手にしたことは大きな経験となる。


【文:高須基一朗】