ONE FF167= 山﨑一央選手が英国の新鋭ロングスタッフに無念のTKO負け 3度のダウンで連勝ストップも 世界へ挑む24歳に待つ「次の一戦」

2026.8.21

【©️ONE Championship 】

タイ・バンコクの熱気に包まれたルンピニースタジアムで、日本のキックボクサー・山﨑一央選手が、また一つ大きな世界の壁に挑んだ。

8月21日、日本時間で開催された『ONE Friday Fights 167 & The Inner Circle 27』。フライ級キックボクシングで山﨑選手は、英国からONE初参戦を果たしたベン・ロングスタッフ選手と対戦した。

結果は1ラウンド1分44秒、3度のダウンによるTKO負け。

山﨑選手にとっては、昨年から続けてきたONE Friday Fightsでの勢いをさらに加速させることが期待された一戦だった。極真空手をルーツに持ち、日本ではRISEを主戦場の一つとして経験を積み、昨年10月からはアジア最大級の格闘技団体ONEの舞台にも本格的に進出していた。

そして迎えた今回の国際戦。

日本のリングで培った技術と経験を背負い、山﨑選手は英国の実力者と向き合った。

しかし、ルンピニースタジアムのリングで待っていたのは、想像以上に攻撃的で、そして完成度の高いストライカーだった。


 

▪️英国から現れた「20勝2敗」の新たな強豪

対戦相手のロングスタッフ選手は、英国キックボクシング界で実績を積み上げてきた28歳。

今回がONE Championship初参戦だったが、その戦績は試合前の時点で19勝2敗。英国国内のタイトル経験を持ち、ISKAのプロ英国王座、欧州王座などの実績を持つとされる選手だった。

つまり、ONE初参戦という肩書だけを見れば「新顔」だが、その実態は決して未知数の若手ではなかった。

むしろ、英国を中心とする欧州のキックボクシングシーンで実戦経験を積み、満を持して世界最大級の舞台に乗り込んできたファイターだった。

ONE公式も試合前、ロングスタッフ選手について「長い時間をかけてこのチャンスをつかみ、ONEという世界的な舞台で自らの存在を示そうとしている選手」と紹介していた。

一方の山﨑選手も、ONEではすでに勝利を重ね、直近2連勝中。今回の試合は、日本人選手が世界へと階段を上がるための重要な一戦であると同時に、英国から新たに参入する実力者にとっても、自らの価値を証明するためのデビュー戦だった。

言い換えれば、両者にとって「ただの一勝」ではなかった。

世界へ向けたキャリアの分岐点となる可能性を持った一戦だった。

 

▪️開始直後から見せたロングスタッフの強烈な圧力

ゴングが鳴ると、試合はロングスタッフ選手の積極的な前進から始まった。

山﨑選手はロー、カーフキックを使いながら距離をつくろうとした。しかしロングスタッフ選手は下がらない。

プレッシャーをかけながら距離を詰め、パンチを上下に散らしていく。

右ストレートが山﨑選手の顔面を捉えると、試合の空気が一気に緊張感を増した。

そして最初のダウンが訪れる。

ロングスタッフ選手は左のボディ攻撃から右アッパーにつなぎ、最後はレバー付近へのヒザ蹴り。山﨑選手はダウンを喫した。

しかし、ここで試合は終わらなかった。

山﨑選手は立ち上がり、再びリング中央へ戻る。

それでもロングスタッフ選手の攻撃は止まらない。

再びボディを狙い、右アッパーを織り交ぜながら山﨑選手を追い込む。コーナーを背にした山﨑選手は2度目のダウン。

そして最後も、勝負を決めたのはボディへの攻撃だった。

立ち上がった山﨑選手に対し、ロングスタッフ選手は再び腹部を狙う。ダメージを蓄積させる攻撃が山﨑選手を崩し、3度目のダウン。

レフェリーが試合を止めた。

1ラウンド、わずか1分44秒。

ロングスタッフ選手が、衝撃的なONEデビューを飾った。

 

▪️ONE公式も「猛烈なデビュー」と高評価

試合後、ONE Championshipの公式発表では、ロングスタッフ選手が「猛烈なプロモーションデビュー」を飾ったと伝えられた。

特筆すべきは、3度のダウンを奪った攻撃の内容だ。

最初はレバーへのヒザ蹴り。そして続く2度のダウンはいずれもボディへの攻撃によるものだった。

世界のキックボクシングでは、顔面への派手なKOだけが決定力を意味するわけではない。

むしろ、ボディを攻め続け、相手の動きや呼吸、攻撃力を徐々に奪っていく戦い方は、トップレベルのストライカーに共通する重要な技術でもある。

今回のロングスタッフ選手は、まさにその形を徹底した。

結果として、ONE初戦で戦績を20勝2敗に伸ばすことになった。

一方で、山﨑選手にとっては厳しい結果となった。

期待されていた3連勝は実現せず、ONEでの連勝も「2」でストップした。

しかし、この敗戦を単純に「失速」と捉えるのは早い。

むしろ、世界中から実力者が集まるONEという舞台において、日本人選手がさらに上を目指していくための、新たな課題と経験を得た試合だったともいえる。

 

山﨑一央の挑戦は、ここで終わらない

もちろん、今回の敗戦は山﨑選手にとって悔しいものだ。

連勝を伸ばし、さらに大きな舞台へ進むためにも、勝利を手にしたかった試合だった大一番ことは間違いない。

山﨑選手は極真空手をベースに、日本の立ち技格闘技シーンで経験を重ね、さらにONEという国際舞台に自ら飛び込んできた。

安全な場所にとどまるのではなく、世界の強豪と拳を交える道を選んだ。

今回、英国の実力者ロングスタッフ選手に敗れた。

だが、そこで得た経験は、次の試合へ向けた大きな財産になる可能性が高い。

ONEのリングでは、一度敗れた選手が再び連勝を重ね、さらに上のステージへ進む例も少なくない。

今回の敗戦をどう受け止め、どのように修正し、

再びルンピニースタジアムのリングへ戻ってくるのか。

世界には、まだまだ日本のファンが知らない強豪が数多く存在する。

 


【試合結果】

『ONE Friday Fights 167 & The Inner Circle 27』
8月21日(日本時間)
タイ・バンコク/ルンピニースタジアム


▼フライ級キックボクシング

○ベン・ロングスタッフ選手(英国)
TKO 1R 1分44秒
※3度のダウン

●山﨑一央選手(TEAM TEPPEN)