RIZIN=秋元強真選手が元王者クレベル戦で得た確信 左手骨折の痛みを抱えても崩れなかった「自分の戦い方」
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勝利の裏側には、リング上では見えなかった痛みと、
想定を超える相手との攻防があった。
11日にTOYOTA ARENA TOKYOで開催された『RIZIN.54』。メインイベントで元RIZINフェザー級王者のクレベル・コイケ選手と対戦した秋元強真選手は、鋭い打撃と冷静なグラウンドワークを組み合わせ、試合をコントロール。
最後まで大きくペースを崩すことなく、元王者を退けた。
試合から4日後となる16日に秋元選手は自身のYouTubeチャンネルを更新。
あらためてクレベル戦を振り返り、試合中に感じていた相手の強さ、
そして左手の骨折を抱えながら戦っていた詳細について明かした。
▪️「あんなにスピードがあるとは思わなかった」
秋元選手がクレベル選手との対戦で最も強く印象に残ったものとして挙げたのが、相手のスピードだった。
クレベル選手といえば、寝技、特に一本を狙う柔術を武器としてきたファイター。しかし秋元選手が実際に対峙して感じたのは、グラウンドだけではない身体能力の高さだった。
「あんなにスピードあるとは思わなかったです。タックルもあんなに低く、膝をついてまで来るとは思わなかったです」
事前のイメージと、実際にケージの中で向き合った相手には違いがあった。
それでも秋元選手は、クレベル選手の組みの圧力を受けながら試合を組み立て、スタンドでは距離を保ちながら打撃を当て、テイクダウンを許した場面でも冷静に対応した。
勝敗を分けたのは、相手の得意分野に付き合うのではなく、自分が積み重ねてきた準備を最後まで遂行できたことだったのかもしれない。
▪️試合中に左手には「激痛」が走っていた
そして今回の振り返りで細かく明らかになったのが、
秋元選手が万全の状態で戦っていたわけではなかったという事実だ。
試合後、秋元選手は左手中指の骨折が悪化したことを明かし、
勝利者インタビューには包帯を巻いた状態で登場していた。
さらに左足にも負傷を抱えていたという。
16日に公開された動画では、左足について「だいぶ良くなった」と説明。
負傷直後には曲げられなかったものの、徐々に動くようになってきたといい、
「多分、肉離れですね」と語った。
一方、左手については明確だった。
「手はちゃんと骨折です」
ただし、骨が大きくズレているわけではなく、過去にヤマニハ選手と対戦した際の亀裂骨折に近い状態だという。
秋元選手自身は「軽傷」と表現し、回復を見ながら練習を再開する考えを示している。
興味深いのは、負傷そのものよりも、秋元選手が試合中にどのように対応していたかだ。
クレベル選手の右ストレートをかわし、
左ボディーを狙う場面で、秋元選手は本来とは異なる右ストレートを選択した。
理由は、左手だった。
「本能的に痛かったのか、右ストレートだったんですよ。初めて試合中に『痛った……』と思った」
さらに3ラウンドに左オーバーハンドを当てた場面についても、
「あれもう激痛」と振り返った。
画面越しには分からない。
しかし、秋元選手は痛みを抱えたまま、最後まで試合を成立させていた。
▪️「スタンドバックを難なくクリアできた」ことが大きな収穫
今回の勝利を、単純な「元王者撃破」として片付けるのは少しもったいない。
秋元選手自身が大きな収穫として挙げたのが、クレベル選手のスタンドバックを危なげなくクリアできたことだった。
クレベル選手の強みを考えれば、グラウンドで背中を取られる展開は大きな危険を伴う。
それを幾度も しのいだ経験は、今後のタイトル戦線を進むうえでも大きな意味を持つ。
秋元選手は、その背景に青木真也選手との練習があったと語っている。
「青木さんとのキツイ、痛い練習から逃げずにやってよかったと思う」
強敵との試合で結果を出すためには、試合当日のパフォーマンスだけでは足りない。
普段の練習でどれだけ苦しい局面を経験しているか。
そこで身につけた対応力が、本番で無意識の判断として現れる。
クレベル選手との試合は、その積み重ねが形になった一戦だった。
▪️元王者を越えた先に見えるもの
秋元選手にとって、今回の勝利はランキング上の一勝にとどまらない。
元王者を相手にスタンドで主導権を握り、得意とするグラウンドでも大きなピンチを作らなかった。さらに、試合中に想定外のスピードを感じながらも、戦い方そのものを崩さなかった。
そして何より、自分自身が「このレベルでも戦える」という確信を得たことが大きい。
もちろん、次のステップに進むためには負傷からの回復が先になる。
秋元選手は左手の状態を見ながら、
まずはランニングなどから基礎練習を再開していく考えを示した。
元王者を倒したことで、秋元選手の視線はさらに上へ向かう。
【文:高須基一朗】

