RIZIN.54=佐藤将光が計量オーバーのパッチー・ミックスに3-0判定勝ち 試合後に異例のメッセージ「行動で示せば信頼を取り戻せる」
格闘技の厳しさだけでなく、選手同士だからこそ分かる覚悟もリングに刻まれた。
「RIZIN.54」が8月11日、東京・TOYOTA ARENA TOKYOで開催され、第9試合の61.0キロ契約では、佐藤将光選手(38=FightBase都立大)が、元Bellator世界バンタム級王者のパッチー・ミックス選手(32=米国)を3-0の判定で下した。
ミックス選手は前日計量で63.85キロを記録。契約体重の61.0キロを2.85キロ上回ったため、試合は特別ルールで実施された。
勝者となった佐藤選手が最後に残した言葉は、対戦相手への批判ではなかった。キャリアの岐路に立つミックス選手に対し、再び信頼を取り戻す可能性を示す、異例のメッセージを送った。
▪️計量オーバーのミックスが減点2▶︎佐藤が3-0判定で勝利
試合前、佐藤選手は計量をクリアできなかったミックス選手に対し、「試合で説教する」と語っていた。
その言葉通り、両者は5分3Rを通じて激しくぶつかった。
1Rはミックス選手がグラウンドで主導権を握る。佐藤選手を寝技に持ち込むと、四の字ロックをセット。佐藤選手は苦しい展開を強いられながらも、冷静にエスケープしてピンチを脱した。
2R以降はスタンドでの攻防が中心となった。
佐藤選手はカーフキックを織り交ぜながら、細かなパンチを的確に当てていく。ミックス選手も最後まで前に出る姿勢を崩さず、両者の意地がぶつかる展開となった。
決定的なフィニッシュには至らないまま、勝負は3Rを終了。
判定に委ねられると、3人のジャッジはいずれも佐藤選手を支持した。
結果は3-0。
佐藤選手が元Bellator王者を振り切り、勝利を手にした。
▪️佐藤選手がリング上で語った「再起」の可能性
今回の一戦は、ミックス選手の大幅な計量オーバーによって、通常とは異なる条件で行われた。
ミックス選手がリミットを2.85キロ超過したため、佐藤選手が勝利した場合のみ公式記録として認定されるノーコンテストルールが採用された。
それでも佐藤選手は試合後、ミックス選手の今後について、あえて前向きな言葉を口にした。
「良い大会で分かりにくい試合をしてすいません。パッチーは終わったという人もいるよ。彼がこの先どういう選択するか分からないけど、真摯に誠実に向き合ってれば必ず見てくれている人もいる。行動で示せば信頼を取り戻せる」
試合に勝った選手が、敗れた相手の未来に言及するのは決して多くない。
ましてミックス選手は、前日計量で契約体重を大きく超過していた。通常なら、その問題点に厳しい言葉が向けられても不思議ではない。
しかし、佐藤選手が選んだのは「責める」ことではなく、「これから」を語ることだった。
38歳の佐藤選手にとって、今回の勝利はもちろん大きな意味を持つ。
元Bellator世界王者という実績を持つミックス選手との試合を最後まで戦い抜き、判定で勝利。スタンド、グラウンドの双方で粘り強さを見せ、3人のジャッジから支持を集めた。
一方、敗れたミックス選手にとっては、試合内容だけではなく、計量オーバーという課題とも向き合う必要がある一戦となった。
それでも、リング上には次につながる言葉が残された。
「行動で示せば信頼を取り戻せる」
格闘技は、勝敗がすべてを決める世界でもある。
だが、選手のキャリアは一試合だけで終わるものではない。佐藤選手が投げかけた言葉は、ミックス選手に対してだけではなく、敗戦や逆境を経験したすべてのアスリートにも通じるものだった。
今回の一戦で勝者となったのは佐藤選手。
そして試合後の言葉には、長くリングに立ち続けてきたベテラン選手だからこそ語ることのできる、格闘技への誠実な向き合い方がにじんでいた。
