RIZIN.54=スダリオ剛選手 1年3カ月ぶりの復帰戦で豪快TKO 酒井リョウを右一撃で沈め、ヘビー級GP決勝へ
「いい感覚が掴めた。11月の決勝、めちゃめちゃ面白い試合をします」
長いブランクを経てリングに戻ってきたスダリオ剛選手が、いきなり大きな仕事をやってのけた。
8月11日、東京・TOYOTA ARENA TOKYOで開催された「RIZIN.54」。ヘビー級トーナメント1回戦で酒井リョウ選手と対戦したスダリオ選手は、1R4分20秒、右ストレートからの猛攻でTKO勝ち。11月に予定される決勝への切符を手にした。
約1年3カ月ぶりとなった実戦で、スダリオ選手が見せたのは、かつての豪快な打撃だけではなかった。
慎重に距離を測りながら、相手の攻撃を見極め、決定機を逃さない。試合の流れを一気に変えたのは、1R終盤だった。
▪️右ストレート一閃 試合の流れを変えた
両者ともオーソドックス構え。中央を取ったスダリオ選手に対し、
酒井選手は右ローでけん制する。
スダリオ選手も右カーフを返し、互いに大きな攻撃を出さないまま慎重な立ち上がりとなった。
酒井選手がローを放てば、スダリオ選手は蹴りを返す。ボディーへのストレート、ジャブからの右。少しずつ相手との距離を詰めていく。
酒井選手も左のカウンターを狙い、右を交錯させながら応戦。会場には緊張感が漂っていた。
そして試合が動く。スダリオ選手が左ジャブで前に出ると、酒井選手をコーナーへ追い込む。そこから放った右ストレートが、酒井選手の顔面を正確に捉えた。
被弾した酒井選手の足が泳ぐ。ここを逃さなかった。
スダリオ選手は左から右を連続して当て、崩れた酒井選手に対してさらに攻撃。最後はレフェリーが割って入り、1R4分20秒でTKO勝ちが告げられた。
長期ブランクを感じさせない、鮮やかなフィニッシュだった。
▪️「慎重に見てしまった」それでも手応え
試合後、スダリオ選手はマイクを握ると、復帰戦を振り返った。
「1年3カ月ぶりの試合ということもあって、慎重に見てしまったところがあったんですけれど、いい感覚が掴めて」
ブランクを不安材料として語るのではなく、実戦の中で感覚を取り戻せたことを強調した。
そして視線は、すでに11月へ向いている。
「11月の決勝、多分……どっちが上がってきてもいいんですけれど、めちゃめちゃ面白い試合をします。必ず優勝します」
短い言葉の中に、復帰戦を終えた安堵感と、次なる大舞台への自信がにじんだ。
▪️元力士からMMAへ 異色のキャリアを持つスダリオ
スダリオ選手は、もともと格闘技だけのキャリアを歩んできた選手ではない。
中学時代には、現在NBAで活躍する八村塁選手と競い合った経験を持つなど、幼少期から高い身体能力を発揮していた。
2013年には貴乃花部屋へ入門。
弟の貴賢神選手とともに双子の関取候補として注目を集めた。
その後、角界を離れ、2020年9月にRIZINでMMAデビュー。ディラン・ジェイムス選手をTKOで下し、鮮烈なスタートを切った。
その後も海外でのトレーニングを経験するなど、MMAファイターとしてキャリアを積み重ねてきた。
一方で、順風満帆だったわけではない。
勝利と敗戦を繰り返し、負傷による長期離脱も経験。2023年には上田幹雄選手にTKOで敗れ、2024年にはBreakingDownで安保瑠輝也選手とキックルールで対戦するなど、さまざまな舞台で戦ってきた。
2025年5月のヘビー級GPではジョゼ・アウグスト選手に判定負け。
1回戦敗退となった。
その後、単身でブラジルへ海外修行へ。
ブラジルでのトレーニングなどを重ね、
今回、再びRIZINのヘビー級GPへ戻ってきた。
そして迎えた復帰戦で1R4分20秒のTKO勝利だった。
▪️酒井リョウも再起を懸けて大舞台へ
一方の酒井選手も、長いキャリアを持つヘビー級ファイターだ。
2012年にプロデビューし、DEEPメガトン級を主戦場として活躍。
RIZINでも関根“シュレック”秀樹選手やシビサイ頌真選手らと対戦してきた。
2022年には赤沢幸典選手をTKOで下してDEEPメガトン級暫定王座を獲得。
翌年には水野竜也選手との再戦を制して王座防衛にも成功した。
その後、王座統一戦やRIZINでの戦いを経験。
2026年3月には荒東“怪獣キラー”英貴選手をTKOで下し、再起を果たしていた。
6月には貴賢神選手との試合に臨み、敗れながらも、その戦いぶりが評価されて今回のGP出場につながった。
39歳の酒井選手にとっても、今回のトーナメントは大きな意味を持つ舞台だった。
だからこそ、スダリオ選手との一戦は、単なるGP1回戦ではなかった。
互いに積み重ねてきたキャリアを懸けた一戦だった。
▪️11月にヘビー級の日本の頂点へ
今回の勝利によって、スダリオ選手はヘビー級GP決勝へ進出。
日本の重量級を代表するファイターたちが集結するトーナメントは、いよいよクライマックスへ向かう。
スダリオ選手にとって、今回の試合は復帰戦であると同時に、再び頂点を目指すためのスタートラインでもあった。
約1年3カ月ぶりの実戦で、右ストレートから勝負を決めた。
そして次に待っているのは、11月の決勝だ。
「めちゃめちゃ面白い試合をします。必ず優勝します」
復帰戦を勝利で飾ったスダリオ選手は、すでにその先を見据えている。
