与座優貴選手「どん底」から世界王座再挑戦へ ハガティー戦敗戦を糧に決意「日本格闘技界を引っ張っていく」
【©️ONE Championship 】
世界王座挑戦で味わった悔しさは、再び世界の頂点を目指す原動力へ変えられるのか。
7月17日、タイ・バンコク・ルンピニースタジアムで開催される『ONE Friday Fights 162』を前に公式計量とフェイスオフが行われた。バンタム級キックボクシングで対戦する与座優貴選手(team VASILEUS)は65.2キロ、ベン・ウーリス選手(英国)は65.3キロで、ともに一発クリア。万全のコンディションで決戦の日を迎える。
今回の一戦は、与座選手にとって単なる再起戦ではない。世界タイトル戦で喫した敗戦から立ち上がり、再び世界王座戦線へ返り咲くための重要な試金石となる。
▪️世界王座挑戦で味わった「どん底」
K-1王者として国内トップ戦線を席巻した与座選手は、ONE Championship参戦後も勢いを維持。元王者スーパーレック選手ら世界トップクラスを相手に3連勝を飾り、今年4月の『ONE SAMURAI 1』では現ONEバンタム級キックボクシング世界王者ジョナサン・ハガティー選手(英国)の王座へ挑戦した。
試合では持ち前のカーフキックで王者を苦しめる場面も見せたが、ハガティー選手の巧みな試合運びに屈し判定負け。世界王座獲得は次回へ持ち越しとなった。
あれから約3カ月。与座選手は「あの敗戦」を振り返り、自身の心境を率直に明かした。
「負けたというより、大げさではなく、本当に人生が終わったと思いました。それぐらい懸けていました」
さらに、あの試合を一言で表現してほしいと問われると、「どん底ですかね」と言葉を絞り出した。
しかし、その敗戦は同時に大きな学びでもあったという。
「ONEのベルトは、ファイターではなくアスリートにならないと取れないと思いました」
従来の「強ければいい」という考え方を改め、睡眠や食事、生活習慣まで徹底的に見直したという。格闘技のために生きる――その覚悟こそが、世界王者への条件だと痛感した。
▪️「世界トップ戦線へ戻るための試合」
今回対戦するベン・ウーリス選手は、プロ30勝7敗を誇る英国の実力者。今年3月のONEデビュー戦では元ONE世界王者ジョン・リネカー選手をカーフキック一撃でKOする衝撃的な勝利を挙げた。
一方で、続く元王者ペッタノン選手には判定負け。
与座選手は「世界トップ戦線へ戻るための試合」と位置付けながらも、自信をのぞかせる。
「ハガティー選手と自分だから、ああいう試合になった。ベン選手が同じことをやっても、あの時の自分ではありません。レベルの違いを見せます」
ONEルールへの適応も進み、
「ONEで負けない自分のスタイルを作れた。応援してくれる人のために勝ちたい」
と手応えを語った。
敗戦後、与座選手が最も強く感じたのは、多くのファンの存在だった。
「負けて、自分が思っていた以上に多くの人から応援されていたことに気付きました。その人たちを落ち込ませてしまったことが一番悔しかった」
だからこそ、今回のテーマは内容よりも勝利だ。
「苦戦しても、どんな展開になっても、絶対に勝ちを届けたい」
勝利への執念が言葉の端々から伝わってくる。
武尊選手から受け継いだ「やり返す」という精神
TEAM VASILEUSの先輩であり、日本格闘技界をけん引してきた武尊選手が現役を退いた今、与座選手はその意思を受け継ぐ覚悟を隠さない。
「武尊さんが体現してきた『やられたらやり返す』という姿勢を間近で見てきました。『やり返します』と言えない選手では駄目だと思っています」
さらに、自身が今後の日本格闘技界を背負う存在になるという強い決意も口にした。
「本当に、自分がこれからの日本格闘技界を引っ張っていくという意識しかありません」
世界王座はゴールではない。
「ベルトは目標ですが、最終的には通過点。一つずつ積み重ねていきたい」
▪️世界への道は、ここから再び始まる
計量では、与座選手が鍛え上げられた肉体を披露し、力強くマッスルポーズ。ハガティー戦敗戦後に積み重ねてきた時間を物語るような、引き締まったコンディションを見せた。
対するウーリス選手も落ち着いた表情で計量をクリア。フェイスオフでは互いに鋭い視線を交わし、一歩も引かない緊張感が漂った。
世界最高峰のONE Championshipでは、一度の敗戦がランキングやタイトル戦線を大きく左右する。
だからこそ、このウーリス戦は単なる再起戦ではない。
再び世界王座へ挑む資格を証明するための90秒×3ラウンドとなる。
『ONE Friday Fights 162』は、日本時間7月17日20時30分より開催される。
【文/高須基一朗】

