RIZIN仙台大会 メインイベント 神龍誠選手 因縁の師弟対決を制し新王者に 扇久保博正選手は流血激闘の末に敗戦「本当に強くなったな」

2026.6.6

【©️RIZIN FF】

RIZINフライ級戦線の歴史が、大きく塗り替えられた。
6月6日に宮城・ゼビオアリーナ仙台で開催された「RIZIN LANDMARK 14 in SENDAI」のメインイベントで、神龍誠選手が王者・扇久保博正選手との因縁のタイトルマッチを制し、新フライ級王者に戴冠。かつて“師弟関係”にあった両者が、地元・東北のケージで激突した一戦は、単なるタイトルマッチを超えたドラマを生み出した。


 

大会メインを飾ったのは、RIZIN MMAルールによるフライ級タイトルマッチ。

挑戦者・神龍誠選手(American Top Team)が、王者・扇久保博正選手(THE BLACKBELT JAPAN)を3-0の判定で下し、悲願のベルト奪取を果たした。

試合は序盤から、神龍選手の冷静さが際立った。
1ラウンドでは巧みな距離感からテイクダウンを奪取。ケージ際で扇久保選手を封じ込み、グラウンドで主導権を掌握した。王者・扇久保選手もプレッシャーをかけ続けたが、神龍選手は焦ることなく対応。タイトル戦らしい緊張感の中で、着実にポイントを積み重ねていった。

そして勝負を決定づけたのは最終3ラウンドだった。
互いに意地をぶつけ合う壮絶な打撃戦の中、神龍選手の左ヒジが扇久保選手の頭部を直撃。扇久保選手は大量出血しながらも前進を止めなかったが、最後は神龍選手がグラウンドでコントロールを維持したまま試合終了のゴングを聞いた。

判定はジャッジ3者とも神龍選手を支持。
25歳の新王者が、ついにRIZINフライ級の頂点へと駆け上がった。

試合後、神龍選手は感情を押し殺すようにマイクを握った。

「ここまで悔しい思いもして、応援してくれるみんなを傷つけたり、泣かせたりしてしまった。でも、こうして一つ形にできて本当に良かった」

さらに、過去に確執も伝えられてきた扇久保選手へ向けて、こう語った。

「扇久保先生、あなたのことを嫌いだったし、いろいろあった。でも、あなたのおかげで強くなれました」

かつての師弟関係だからこそ生まれた、複雑な感情。
その言葉には、勝者だけでは語れない積み重ねられた時間の重みがにじんでいた。

一方、王座陥落となった39歳の扇久保選手も、試合後には敗者とは思えない堂々とした表情で神龍選手を称えた。

「本当に強くなったな。今までいろいろ言ってごめん。RIZINのフライ級を世界一の階級にしよう。一緒に盛り上げよう」

東北の夜に交わされた言葉は、“因縁清算”という一言では片づけられない深みを持っていた。

試合後会見で扇久保選手は、腫れ上がった顔で静かに胸中を明かした。

「勝ちたかったです」

その一言に、地元・東北大会への特別な思いが凝縮されていた。

岩手県久慈市出身の扇久保選手にとって、東北でRIZINのメインイベントを務めることは長年の夢でもあった。

「次の世代につないでいかなきゃいけない。今日の試合を見て、“俺もやりたい”と思ってくれる子が1人でも出てくれたら・・・」

敗れはしたものの、その背中は、なお東北格闘技界の象徴だった。

そして今後について問われると、「まだ分からない」としながらも、「続けるならベルトを取り返したい」と吐露。

会見の最後には「多分続けるんでしょうね」と笑みを浮かべ、

現役続行への含みも残した。


【文:高須基一朗】