NBAサンダーのエース シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが“フロッピング揶揄広告”に法的措置…問われるのは「ジョーク」か「無断商用利用」か

2026.5.31

【©️Oklahoma City Thunder 】

NBAで2季連続MVPに輝いた経験を持つ

シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(SGA)が、

ついに“フロッピング論争”へ法的カードを切った。

舞台となったのはコートではなく、

急成長を遂げる米スポーツゲーム業界だった。


 

発端は、スポーツゲーム企業Underdog

がプレーオフ期間中に展開したプロモーション

「Unethical Hoops(倫理に反するバスケットボール)」である。

同企画は、1965年発売の米国玩具『Operation』を模したボードゲーム風デザインを採用。プレーヤーがボールを取り出す際、SGAを模したキャラクターへ触れるとブザーが鳴る仕様となっており、“接触を誇張してファウルを誘う”とされる

SGAのプレースタイルを揶揄する内容だった。

単なるネットミームで終わらなかった理由は、

この企画が「商業プロモーション」だった点にある。

 

米メディア報道によると、SGA側は代理人弁護士を通じて停止通告書を送付。

そこでは、SGAの氏名、肖像、キャラクター性など、いわゆるNIL(Name, Image and Likeness=氏名・肖像・パブリシティ権)の無断利用が行われたと主張している。

実際、米国法では著名アスリートの肖像や特徴的イメージを、本人の許諾なく広告や商品販売へ利用した場合、「パブリシティ権侵害」と判断される可能性がある。特に今回は、SNS投稿にとどまらず、100個限定の現物配布キャンペーンとして展開されたことが大きい。

つまり法的争点は、「風刺そのもの」ではなく、“商用利用を伴った風刺”なのだ。

 

米国では表現の自由を保障する憲法修正第1条の保護が極めて強い。

一方で、その保護は万能ではない。

広告や販促活動において、特定人物の知名度やイメージを利用して経済的利益を得た場合、企業側が責任を問われるケースは過去にも存在してきた。

特に近年、NILビジネスは大学スポーツ界を含め急速に拡大。

トップ選手の“名前そのもの”が巨大資産として扱われる時代へ移行している。

SGA側が敏感に反応した背景には、単なる名誉感情ではなく、

「ブランド価値の毀損」という側面も透けて見える。

一方で、『Underdog』側は撤回姿勢を見せていない。

広報担当者は「スポーツ文化に存在するユーモアを取り入れている」と

あくまで強気な姿勢で説明。

ジョークや風刺の範囲内であるとの立場を崩していない。

もっとも、ここで興味深いのは、SGA本人の姿勢との温度差だ。

今季プレーオフを通じ、SGAには“フロッピング疑惑”がつきまとってきた。

過去4シーズンのプレーオフを含めたフリースロー試投数はリーグ内でも突出。

今年のプレーオフではフィールドゴール成功数114本に対し、

フリースロー成功数が120本を超えた。

SNSでは「少し接触しただけで倒れる」「笛をもらう技術がうますぎる」といった批判も噴出。対戦相手との接触シーンは、たびたび拡散されている。

それでもSGA本人は、「何の影響もない。長い間対処してきた」と冷静に語ってきた。

だが今回、問題は“ファンの野次”では終わらなかった。

企業がそのイメージを商品化し、販促活動へ転用したことで、

論点はスポーツ論争から知的財産・肖像権ビジネスの領域へ移ったのである。

NBAは現在、選手個人のブランド価値がリーグ経済を支える時代に入っている。

SNS時代において、スター選手は単なる競技者ではなく、

一つの巨大IP(知的財産)でもある。

SGA対『Underdog』の対立は、“フロッピング論争”という表層以上に、

「どこまでが風刺で、どこからが無断商用利用なのか」という、

現代スポーツビジネス特有の境界線を問うケースとなりそうだ。