ミラノ・コルティナ五輪 氷上で坂本花織選手が示した「完成度」という答え―ラスト五輪、その初日を支配した78・88点

2026.2.7

【=Getty images】

ミラノ・コルティナ五輪の氷上に、過剰なガッツポーズはなかった。
あったのは、静かなうなずきと「よかった」という一言だけだ。

フィギュアスケート団体戦女子ショートプログラム。

日本のエース・坂本花織選手(シスメックス)は、今季世界最高となる78・88点を記録し、堂々のトップに立った。3大会連続の五輪出場、そして今季限りでの現役引退を表明して迎えた“最後の五輪”。

その幕開けとして、これ以上ない完成度の演技だった。


 

「緊張はあったけど、いい緊張感だった。今できる、自分の一番いい演技ができたと思う」

演技後の言葉は、勝利の高揚というよりも、安堵に近い。

団体戦という舞台で、自身の結果がそのまま「チーム・ジャパン」の行方に直結することを、誰よりも理解しているからこその感情だった。

坂本選手にとって団体戦は、特別な意味を持つ。

国別対抗戦や国体など、チームで戦う舞台では常にモチベーションの中心にいた。

応援席を自ら飾り付ける姿は、象徴的なエピソードでもある。

個の競技でありながら、チームを背負う覚悟・・・

その姿勢が、この日の安定感につながっていた。

 

今大会に向けて掲げた目標は「団体、個人ともに銀メダル以上」。

北京五輪では団体で繰り上がりの銀、個人で銅を獲得したが、世界選手権3連覇という実績を積み重ねてきた今、視線はさらに高みを見ている。

日本フィギュア史上初となる“五輪2冠”も、決して夢物語ではない。

 

現地入り後はミラノ郊外ヴァレーゼで調整を重ね、男子の鍵山優真選手、佐藤駿選手らとともに練習。

仲間がミスなく滑れば、ベテランの中野園子コーチから檄が飛ぶ。

「あの環境がすごく良かった」。坂本選手の言葉通り、チーム全体の空気が、そのまま演技の質へと還元されていた。

団体戦は日本にとっても重要な試金石だ。

男女シングル、ペアと世界のトップを争う布陣で、開幕初日から主導権を握った意味は大きい。坂本は8日のフリーでも起用が見込まれ、シングルを含めれば大会中に4演技を担う可能性がある。