乙坂智選手がマリナーズ傘下3Aで戦力外通告 “挑戦の旅人”もメジャーの厚い壁に阻まれる

2025.6.29

藤浪晋太郎投手の退団からわずか11日、

また一人、日本人選手が夢の舞台に届かぬままマイナーの地を去った。

【©️Tacoma Rainiers】

米大リーグ・マリナーズ傘下の3Aタコマ・レイニアーズは6月28日(日本時間29日)、外野手・乙坂智(30)を自由契約とした。5月にマイナー契約で入団してからわずか2か月足らず。9試合出場、打率.261と決して悪くない数字を残していたが、メジャー昇格のチャンスは最後まで巡ってこなかった。

 

2011年に横浜(現DeNA)へドラフト5位で入団して以降、乙坂の野球人生は挑戦の連続だった。2017年には日本のプロ野球在籍中にもかかわらず、単身でメキシコのウインターリーグへ参戦。DeNA退団後の2022年以降は、メキシコ、ベネズエラ、アメリカ独立リーグと、言葉も文化も異なる地を渡り歩いてきた。

今年は独立リーグ・ヨークで打率.405のハイアベレージを記録し、再びアメリカ球界から声がかかった。しかし、念願のメジャー昇格はついに叶わず。マイナー契約を勝ち取った5月から、わずか1か月半で契約解除の知らせを受けた。

 

「結果を出しても届かない」―

乙坂の道のりは、メジャーの舞台がいかに遠く、高く、

厳しいかを痛感させるものだった。

ちょうど同じタコマには、今月17日(日本時間18日)に藤浪晋太郎も在籍していたが、彼もまた志半ばで退団。

日本のトップレベルで活躍した選手たちでさえも、

米球界では“ふるい落とされる”対象となる厳しさがここにはある。

乙坂がどこで次のプレーの場を求めるかは未定だ。

しかし、その飽くなき挑戦心は、結果を超えて多くの人々に勇気を与えてきた。野球に国境はないとはいえ、メジャーの壁は、想像以上に高い。